なかなか寝なかった日の話
先日、ディズニーランドに行ってきた。
平日かつ天候は雨予報であったが(有休と予約の関係で、雨天決行)、季節はハロウィン。どこもかしこも混雑するのは目に見えている。朝イチの入園を目指して、当日は大人は5時、子どもは6時前に起きることとなった。
早く起きる日の前日は早く寝たい。
できれば6時間。
万全を期したくて、前日の夜ご飯はマックのテイクアウトにし、調理や後片付けの時間を省いた。「風邪ひいたらディズニー行けないよ!」と子どもを追い立てるように風呂に入れ、9時過ぎには寝室に閉じ込めた。
……のだが。
寝ない。我が家の子どもたちは本当に寝ない。
寝室に絵本棚が置いてあるので、寝室に入るとまず各自お好みの絵本に飛びつく。その間に髪の毛を乾かすなどして、さぁ寝ようと子ども二人の間に体を横たえ、電気を消す、そこからが長い。
「◯◯ってさ」
と話し出す5歳兄。ねんねのときは、おしゃべりしないよ。脳みそが動いて、眠くなくなっちゃうんだよ。たしなめるとちょっと黙るが、すぐ忘れてまた話し出す。
そうこうしているうちに、3歳妹がゴロゴロと体を動かし始める。にぃちゃん(娘のこと)、体動かさないよ。動かしてる間は眠くならないよ。一瞬止まるが、次の瞬間腕をバタバタと上下に振り上げて遊びだす。だからやめんかい。
「明日はいつも保育園行く時間より早いんだよ! 起きない子は置いてくからね!」
脅してはならぬという育児書のセオリーを毎日のように破る私。しかし効果は抜群で、二人ともピッと大人しく布団をかぶる。
「バク食えバク食えバク食え」
呪いを唱えるのは兄だ。
物心ついてからやたらと色々なものを怖がる兄は、「眠ると悪夢を見るから怖い」と言い、一時期眠るのを嫌がった。困った私がググって見つけたのが、悪夢を見ないバクのおまじないである。
彼はこれを高速で数回唱えてからでないと眠らない。
二人とも、目を閉じるんだよと指示を出し、しばらく経って、そんな息子の片目がうっすらと開いていることに気がついた。
「えっ、何で片目あけてんの?」
「目を開けてないとこわい夢を見ちゃうから、片方開けて寝てるんだよ」
いや、そんなことしてるの初めて見たけど!
両方つぶらないと眠れないよ! 大丈夫だから眠って!
しぶしぶ両目を閉じたのを確認し、しばらく薄闇の中で眠気を堪えながら(翌日の準備が終わっていなかったのだ)じっとしている。すると今度は娘が悲しそうな声で叫んだ。
「ママぁ、にぃちゃん、スコーンのざいりょうかうのわすれちゃったぁ」
何で今?
父の日に、娘と一緒にイギリス式スコーンを大量に焼いた(紅茶党の私がたまに作っていたものを旦那が至極気に入り、それ以来プレゼントといえばスコーンなのだ)。それが楽しかったらしい娘は、数ヶ月たって突然「にぃちゃん、スコーンつくりたいなぁ」と言い出したのである。じゃあ材料を買いに行こうね……と言いつつ、必要なものは私一人の時に買い揃えてしまった。
だから、材料がない!と思っているのは娘の勘違いなのだが……それにしたってタイミングがおかしい。
大丈夫大丈夫、ママ買ったよ。ディズニー行ったあとに作ろうね。
なだめながらスマホの時計を見ると、時刻はすでに十一時を回りそうだった。
ね、寝てくれ……!!
結局、子どもたちが眠りについたあと、私が自分の荷物の準備を終え、就寝できたのは日付を越えてからだった。
寝不足のディズニーによる疲労が、4日経った今でも取れない。
睡眠は大事である。