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【セミナーレポート・2時間目】「小1の壁」解消に、企業とNPOができることは?

こんにちは!今回は「小1の壁」オンラインセミナーのダイジェストレポート2時間目をお送りします!

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1時間目


2時間目:企業の皆さまに知ってほしい放課後の現状

◎放課後の現状

2時間目は、企業の皆様に知っておいていただきたい放課後の現状についてです。小学校低学年の放課後・長期休みの時間は約1,600時間/年と、学校で過ごす1,200時間/年より長いと言われています。*小学校低学年における放課後の時間および長期休暇の合計(2016年 全国学童保育連絡協議会調べ) 放課後の時間はこのように長く、楽しい時間であるはずなのですが、現在は子どもの犯罪の多くが14-18時に起きているという事実があり、なんとなく放課後は危ないという感覚がいまの保護者にはあると言えます。また、20年間で学童保育の利用者数は3.5倍増加し、現在では年間約130万人が利用しています。

警察白書より作成

そしてこのグラフは、保育園と学童保育の待機児童数を示したものです。
平岩 「『学童にも待機児童がいるんだ』、と驚かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、2019年に保育園の待機児童数を超えており、待機児童の問題はいわば、保育園から学童保育へ移っていると言えます。また、そもそも諦めて申請をしないケースや、小学生なので家で留守番をしたり、習い事を繋いだりしてしのぐケースもあります。良い学童保育があればぜひ利用したいと考えている潜在的な待機児童数はさらに飛躍的に数が増え、30万人、40万人、いやいやそれ以上、と言われることがあります。いずれにしても学童保育が足りていない状況であり、課題は大きくなり続けています。」 

厚生労働省資料より作成

―平岩 「他にもあります、放課後の悩み。習い事の送迎をしている方が6割以上いらっしゃいます。この習い事の送迎がしたくて、仕事を辞めたり、パートに変えたりという話も私の周りではよく聞きます。また、保護者の年収によって習い事などの体験活動の差に大きな影響が出ていて、経済格差が子どもの体験格差につながっているといえます。」

◎学童は2月に落ちる、留守番のお願いをする自治体も

―平岩 「皆さん、学童って2月に落ちるって知っていましたか?2月に落ちたら困りますよね。ある自治体では、1年生を今年は受け入れたいので、2年生になったら学童を利用しないよう、留守番の練習をしてもらいたいと依頼したということがニュースで報じられました。2015年4月の児童福祉法改正により、学童保育は6年生までに拡大となっているのに、事実上小3までという現状。場合によっては『小2の壁』、『小3の壁』と、『小1の壁』がずっと続くという状況が起きてきているということです。」

そして今春、「#学童落ちた」がSNS上で見られるとともに、メディアも「小1の壁」を取り上げ、そして国会で岸田首相も「小1の壁」を喫緊の課題と言及しました。
 
平岩 「放課後について言えることは、時間が学校の時間よりも長いということ、また、量が足りない、私の周りでは、先ほどの事例にあったように、行き渋りがちょっと増えているなという感覚です。習い事で繋ぐというケースもありますが、様々に課題が山積しています。昔は、『小学生になったらもう安心ねー』と言われていたと思いますが、現代はそうではないです。この一言だけは『小1の壁』で困っている保護者の方には言わないであげてほしいとおもいます。」

◎職場について言えること

次に、3つの目の要因だった、「職場」のほうに話は移りました。
リモートワークが進んだ印象がありますが、本格的に浸透したとはいえず、地域格差もあるというのが現状ではないでしょうか。また、短時間勤務制度は65%強の企業が小学校入学前に短時間勤務制度が終了してしまいます。

―平岩 「職場について言えることは、子どもの小学校入学を機に、正社員離脱が発生するリスクがあることをぜひ知っていただきたいです。私の感覚でいうと、このタイミングでパートに切り替えた方は結構いらっしゃいます。子どもが中学3年生を卒業するタイミングで正社員転職を考えるけれども、50歳を超えるタイミングとなり、なかなか正社員になれないという方もいらっしゃいました。もし正社員で頑張りたい方がいらっしゃるのであれば、その方々に対して、柔軟な働き方や短時間勤務を延ばすという働き方制度の見直しを検討いただけるとありがたいなと思いました。」


2時間目、いかがでしたか?「小1の壁」は、いま異次元の少子化対策として国が推し進めている社会構造や意識改革の必要性と非常にリンクしていると感じました。3時間目は、「小1の壁」について企業の方へのメッセージを中心にお伝えさせていただきます。