子どもの社会課題解決に取り組む企業4社が交流~NPOと企業が協働する意義とは~
2024年5月下旬。放課後NPOアフタースクールと協働してくださっている企業との交流会を実施しました。
放課後NPOアフタースクールは、体験格差の解消を目指し、さまざまな企業と協働して各企業の強みや想いを生かした体験プログラムを開発し、日本全国の子どもたちに届けるという活動をしています。今回の交流会にお越しいただいたのは、カゴメ株式会社、住友生命保険相互会社、ソニーグループ株式会社、栗田工業株式会社の4社の皆さん。
ご担当者の皆さんと、これまでの協働やプログラムで印象に残っていること、今の活動のやりがいや価値など、放課後NPOスタッフと企業担当者の方々でざっくばらんに語り合いました。
それぞれの社会貢献活動にかける想いや協働の意義についてお互いに確かめ合った、笑顔に満ちた1日の様子をお伝えします。
体験活動の価値を感じる時間に
4社のプログラムを体験し合う
交流会では、アイスブレイクとして普段子どもたちに届けている各企業のプログラムの一部をそれぞれ体験しました。
グループに分かれて、他の企業担当者と一緒にプログラム体験を楽しみます。皆さん真剣かつ積極的にプログラムに取り組んでくださり、プログラム体験は終始大いに盛り上がりました。
「普段他の企業のプログラムを体験する機会はなく、どんなプログラムをつくってどのように子どもたちに届けているのか知らなかったので、知る良い機会になった」とのお声もいただき、他の企業のプログラムパンフレットを読み込む方もいらっしゃいました。
プログラムを届けた放課後の子どもたちは今…!
その後は、これまでにプログラムを実施してきた日本全国の放課後事業者の皆さんから届いた、子どもの成長エピソードを紹介する動画を視聴しました。
動画では、現地の放課後事業者のスタッフの方々が「体験プログラムは、普段現場ではできないことを子どもたちが体験する機会になり、プログラムが終わった後もそのテーマについて考え続けていた」と語り、皆さん嬉しそうな表情で動画に見入っていました。
また、「子どもたちにとって、普段出会えない企業の方、さまざまな職業、生き方の大人に出会えることはとても大切なこと」「体験活動はこれからの人生を生きていく糧になるもの」という声も届き、うなずきながら聞いている方も。さらに、動画では「体験活動は、現場では時間や人手が足りないためなかなか実施できず、体験格差が広まってしまう」といった現状も語られていました。
動画をふまえて、企業担当者の方々は、「体験活動の大切さを感じた」「これからも継続していきたい」と想いを語ってくださいました。
また、「プログラム後に実施されるアンケートで子どもたちの変化を知ることはあるが、直接子どもたちや現地スタッフさんの声を聞くことはないので、プログラムを届けている意義を強く感じ、感動的で思わずうるっときてしまった」という方もいらっしゃいました。
志を共有し、異なる強みを掛け合わせることで生まれる価値
交流会後半のトークセッションでは、各企業の担当者の方々とプログラム担当の放課後NPOスタッフで集まり、これまでの取り組みやプログラムで印象に残っていること、今の活動のやりがいや価値などについてお互いに語り合いました。
心に残っているのは、子どもたちのキラキラした目
1つ目のテーマは、これまでの取り組みやプログラムで印象に残っていること。企業担当者の方々も放課後NPOスタッフもすらすらと書いていき、あっという間に何枚もの付箋でうまっていました。生き生きとした表情で和気あいあいと語り合います。
「子どもたちのキラキラした目」や、「子ども同士が声を掛け合う姿」「はじめは話さなかった子が、プログラム終わりには発言するようになったこと」など、子どもたちの笑顔や取り組む姿勢、変化が印象的だという声があがりました。
また、現地の放課後事業者の皆さんの「子どもたちの食いつき方や集中力がいつもと違う」という声が印象的だという方も。さらに、「子どもたちの意外な発想や視点、ひらめき」に驚かされるという方もいらっしゃいました。
「子どもたちの人生に関わっている」という実感がやりがいに
2つ目のテーマは、今の活動のやりがいや価値、楽しいと感じること。
「子どもたちの心に一生残る可能性がある体験を届けられること」や「プログラム終了後の子どもたちの変化を体感できること」など、子どもたちの人生や未来に関わっている実感がやりがいになっているという声が多くあがります。
さらに、「普段は会えない、さまざまな分野のプロフェッショナルに触れることに目を輝かせている子どもたちや、現地の放課後事業者さんの笑顔に触れられることがやりがいになる」と語ってくださる方も多くいらっしゃいました。
また、「体験することの大切さを実感する時に価値を感じる」方や、「子どもたちだけでなく、家庭や周りの大人の気付き、変容に繋がっていることにやりがいを感じる」方もいらっしゃいました。
NPO×企業で協働する価値
最後に、NPO×企業での協働だからこそできることをお互いに語り合いました。
放課後NPOスタッフからは企業担当者の方々に対して、「企業の専門性や独自の強みが子ども達の好奇心や興味につながっている」という声が多くあがります。各企業が持っている社会課題解決への想い、専門性や強みがあるからこそ、子どもたちに価値のある体験プログラムを届けられることを改めて確認し合いました。
また、「一緒に社会をよりよくしたいという話ができる」「同じ目線でプロジェクトのことを考えてくださる」といった声や、「立場の違いがあっても、いつもワンチームとして関わってくれる」という声もありました。
企業担当者の方々から放課後NPOスタッフに対しては、「企業にない子ども目線や示唆」「心から子どもたちに向き合うパッション」が素敵だという声が多くあがります。各企業の持つ想い、専門性や強みを、どう子どもたちのために活かせるかを考え続けることで、体験プログラムが一人ひとりの子どもにとって意味のある体験になることを再び確認し合いました。
さらに、「志を同じくしてくれる」「まるでうちの社員!?と思うくらい、企業のやりたい事を理解してくれる」ところが嬉しいとのお声もいただきました。
双方から、「それぞれ異なる強みを持っているからこそ、お互いの強みが組み合わさることで、社会に貢献できる」ということが共通認識として共有されていました。
企業はある分野のプロフェッショナルな視点を持っており、放課後NPOは子ども目線で物事をとらえる視点を持っているため、それらが組み合わさることで、より多くの子どもたちにさまざまな価値を届けることができるのではないでしょうか。
どちらが欠けても成立し得ない、全国の子どもたちの放課後を豊かにするプログラム。お互いの強みを生かして協働するには、志が共有できていることがとても大切で、志を共有できているからこそ、そんなプログラムを届けることができてきたのだと確認する時間になりました。
放課後NPOアフタースクールでは、今後とも多くの企業の皆様と共に手を取り合い、全国の子どもたちに体験機会を届けていきたいと思います。
文:コミュニケーションデザインチーム・伊藤