足湯のススメ
足湯は、体の声に耳を傾ける心地よい習慣です。
内にある悩み、辛さ、痛みや苦しみにそっと寄り添い、
その一つ一つが、自然に変わっていくのを促します。
両足を、ぽちゃんとお湯につけることを想像するだけで、
ほんわかとした温かな感じがしてきます。
よく乾いた気持ちの良いタオルと靴下、熱い差し湯を用意して、
足湯桶にお湯を入れ、手でかきまぜて温度を観る。
その時点でもう、心身の心地よい変化が始まっています。
足湯の効能は実に幅広く、また的確です。
生理前のイライラや、生理痛が嘘のように楽になったりするのは序の口。
慢性的な冷えはもちろん、便秘や食欲不振、
下痢や腹痛の時にも卓効があるし、
腰痛や肩こり、頭重や頭痛までもが軽くなっていくのだから不思議です。
時々差し湯をしながら約6分。
足が温まってくると、骨盤がゆるんで、頭がポカンとしてきます。
そして、左右の足の温まり具合を比べて、
赤くなっている側は先によく拭いて靴下を履き、
差し湯をして、白っぽい側をさらに2分ほどつけてから上げる。
左右の温まり具合をそろえることで、左右の骨盤もそろっていきます。
骨盤の左右差があったり、
ねじれていることに普段はなかなか気づきませんが、
こうして左右差を確かめ、調整を行うことで、
つかえていた骨盤の動きが回復し、
骨盤が動き出すと全身が元気になります。
足湯の習慣から、性に関することがみんなスムーズになっていきます。
子宮や卵巣の異常がなくなったり、
不妊で悩んでいた方が子宝に恵まれたりするのもそのためです。
また難しい病気のほとんどは性がからんでいるので、
がんなどもなくなってしまうこともあります。
精神的に落ち着いてぐっすり眠れて、
朝の目覚めがよく、呼吸も深くなり、
毎日がなんだか気持ちよく、
小さなことに幸せを感じることも多くなるでしょう。
女性は、骨盤が元気になると
本当に元気になりますし、美しくなります。
肌も綺麗になることが多いです。
生理の初日と2日目が、足湯が最も功を奏するタイミングです。
男性も骨盤が体力の元。
体調に何か変化があった時には、まず足湯をしてみるとよいでしょう。
「あっ風邪かな」と思ったらすぐ足湯。
「何か変だな」と思ったらすぐ足湯。
「流行りの感染症かも」と思った時もすぐ足湯。
こうして、自分の体とていねいに向き合う習慣ができると、
病は敵ではなく、むしろ味方のような働きへと姿を変えます。
足湯をして、
スムーズに風邪を経過した後には、
スッキリした体が手に入る。
足湯をして、腰の痛みが自然に楽になっていくと、
しなやかで強い腰が手に入る。
そうした経験をぜひ積み重ねていってください。
普段の足湯は、足のくるぶしがちょうど湯に隠れるぐらいの深さで。
頭や心が疲れているときは、アキレス腱が浸かるようにして、少し深めに。
下痢や腹痛のときは膝下までお湯につける膝湯が効果的です。
たかが足湯、されど足湯。
まず、自分でその心地よさと効能を体験し。
人から人へ、伝えていってください。
文 天野泰司
NPO法人気功協会運営責任者
「足湯のやり方リーフレット」(からだの日・編集)
に寄稿した文章を加筆修正。
足湯のやり方
足湯の基本は8分。長くても10分以内。
乾いたタオルと靴下、差し湯を手元に。
足をつけるお湯は、ぬる過ぎず、熱過ぎず、ちょうどよい温度に。
ふだんの入浴より2℃高めが目安です。
部屋の温度を快適に、冬なら靴下も温めておきます。
足首まで両足を6分つけます。
ぬるくなったら差し湯をして温度を上げます。
ぽかぽかしてきたら、足をあげて左右を比べ、
赤いほうをよくふいて靴下をはきます。
差し湯をし、もう片方をプラス2分。
左右差の調整です。
左右の足が両方とも赤くなったら
骨盤の左右のゆるみぐあいが揃ってきます。
入った時より、上がる時の温度が高くなります。
温めた後は冷えやすくなるので、よくふいて冷えないように。
足湯のあとは、お水を飲むことを忘れずに。
ゆっくり味わうように飲むと、体が潤います。
一定温度が続くと体は鈍るので、足浴器なら保温はオフに。
足湯を行なっている間は、携帯、テレビ、本や漫画を見たり、考え事はNG。
ポカンとしながら、この今の心地よさに集中します。
膝湯のやり方
足湯と同じ流れで、膝下まで温めるのが膝湯。
浴槽のふちに腰掛けて
時々追い焚きしながら行うとやりやすいでしょう。
膝湯は腹痛、下痢、消化不良、食欲不振、便秘など、
消化器系の異常がはっきりしている時に卓効があります。
足湯や膝湯は就寝の直前は避け、一時間ぐらいあけましょう。
ポカポカのまま寝てしまうと、
かえって足が冷え、眠りが浅くなってしまいます。
気功をしたり、ゆったりした時間を過ごし、
それから床に就くとよいでしょう。
一般的な入浴の場合も同様です。
温まった後の気功は、とても気持ちよく、
心身のゆるみが深まりやすいものです。
『季節をめぐる気功』(春秋社)より
絵 吉田純子
文章は著者本人が加筆修正しています。 天野泰司