(書評)世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか? 山口周 光文社新書
トピックス
・本との出会い
・本の構成、内容
・より詳しい内容
・本との出会い
書店をぶらぶらしていた際に、アート的な感覚を養えるようなタイトルを見かけて衝動買いをして、読了した。
背景としては、仕事ではどちらかというと論理的な思考ややり方を求められることがあり、バランスをとりたいと思った。
しばらく間をおいて、NewsPicks マガジンVol2 の必読書特集で、明石ガクト氏がクリエイティブ分野で推薦していて、改めて手にとって、書評を書くに至った。
・本の構成、概要
本書のテーマは、経営におけるサイエンスとアートのバランス。
ずばり、主題である世界のエリートはなぜ美意識を学ぶのかへの答えが、第6章で以下の様に示される、
長いこと普遍的とされた論理、法律、市場調査といった客観的な物差しから真善美、直感、倫理・道徳、審美感性という主観的な門差しへの比重転換が図られている。
これらの転換が図られている背景について、冒頭に著者が様々な企業や人へのインタビューでの気付きをまとめて、社会の3つの変化を第1~3章でそれぞれ解説している。
それらはまとめると下記である
1. 論理・理性的な情報処理スキルの限界が露呈している
2. 世界の市場が自己実現消費に向かいつつある
3. システムの変化にルールの策定が間に合っていない
それらを踏まえ、6章~7章では作者の考える美意識を磨き方・鍛え方、実例が述べられており、タイトルが気になって購入した読者の疑問にも答えを提示している。
・より詳しい内容
ここからは、印象に残った箇所を抜粋して、紹介する。
1章 論理的・理性的な情報処理スキルの限界では、論理と理性に軸足をおいた経営では他社と同じ結論に至りレッドオーシャンで戦うことになる。
またミンツバーグによれば経営はアート、サイエンス、クラフトのバランスと組み合わせで意思決定のクオリティが変わるというが、この問題は最終的にはアカウンタビリティに行き着くと言います。
なぜそのようにしたかを説明できることを言い、アートはその点で他の要素より不利。
なので3つをうまく機能させる経営ガバナンスの仕組みが必要で、グローバルに高い競争力を持つユニクロや無印良品はそういったものがうまく機能している。
2章 巨大な自己実現欲求の市場登場では、グローバルな経済発展の結果、自己実現欲求の消費が広がり、著者はこの変化は日本人にとって、大きな機会をもたらすという。
日本がどのように認識されているか、古今の観察者の文章を引用しながら、コピーができない世界観やストーリーの重要性を説いている。
3章 システムの変化が早すぎる世界では、DeNA社が巻き起こしたコンプガチャとキュレーションメディア問題が題材。システムが急激に変化する社会で明文化されたルールだけを拠り所にするのではなく、倫理や美意識を持つことの重要性が言われている。
これらの問題意識に続き、6章美のモノサシでは、表題に対する答えを述べたあとに美意識を打ち出して成功したマツダのデザイン戦略について考察がされている。
美のリーダーシップとして、同社の前田育男氏の取り組みが紹介されており、近年権威あるデザイン賞と受賞するなど目覚ましい発展の背景に、デザインの良し悪しを「自分が良いと思うか、ピンとくるか」を意思決定の立脚点にし、リーダーシップを発揮したことと分析している。
7章の美意識をどう鍛えるかでは、以下5つの行動が鍛え方として紹介されている。
・絵画をみる
・ビジュアルアートを用いた鑑賞力教育
・哲学に親しむ
・文学を読む
・詩を読む
尚、今回の書評も活かし、11/4にNPマガジン読書会を開催します。
オフ会(先着5名限定) NewsPicks マガジン読書会@仙台
https://eventon.jp/14995/
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