むかしむかしあるところに、死体がありました。を読んでみた
みなさんご存知、一寸法師、花咲か爺さん、鶴の恩返し、浦島太郎、そして桃太郎。子供の頃から触れたことがあるだろう物語ですが、どこにもミステリーの要素なんか無いはずなのにこの本は面白おかしくミステリーに仕上げてます。
まずは一寸法師。小さな小さな一寸法師は都に出て立派なお侍になる、という物語のはずが実は恐ろしい計画を実行するために都に出てきたのでした。都の東にある村で冬吉という男が殺されているのが発見されました。この殺人事件を発端に疑惑の目が徐々に一寸法師に向けられます。しかし一寸法師にはアリバイがあり、冬吉を殺す動機も見当たりません。一寸法師の仕掛けたトリックは見破れるのか?そのトリックとは?打ち出の小槌の使い方に注目です。
花咲か爺さん。心優しいお爺さんとおばあさんと飼い犬のシロ。隣の意地悪爺さんにシロを殺されてしまいますが、心優しいお爺さんとおばあさんは穏やかに暮らしましたとさ。のはずが、心優しいお爺さんが何者かに殺されてしまいます。村の人達は怪しい人物を次々に取り調べますが、決定的な証拠が無く犯人探しは難航します。が、些細な違和感から意外な犯人に行き当たります。その犯人は?そしてお爺さんを殺した動機とは?犬の言葉が解る男の正体とは?
鶴の恩返し。「絶対に襖を開けないでください」のセリフでお馴染みの恩返しのために人の姿になった鶴のお話です。自分の羽で綺麗な反物を織って世話になった男にその反物を渡して去って行く。はずが反物が思いのほか高く売れることに味をしめた男は人の姿になった鶴に何度も反物を織るように要求します。そんな折、村の庄屋さんが殺されます。この物語は犯人探しよりも最後まで読んだ時に訪れる作者が仕掛けたトラップにしてやられます。
浦島太郎。助けた亀に連れられていった竜宮城で素晴らしい時間を過ごす太郎。しかし、竜宮城で起きた殺魚?事件に巻き込まれる太郎。竜宮城の見取り図を時折見返しながら物語を読み進めるのですが、どうしても物理的に不可能な場面に行き当たります。太郎が浜辺に帰ったら何十年も経っていた、この現象は竜宮城のあるシステムによって起きていたことだったのです。そしてそのシステムが殺魚事件の謎を解く鍵になっていたのです。
最後に桃太郎。村を襲った鬼を退治するために鬼ヶ島へと向かった桃太郎。宝物を手に村へと凱旋しました。が、鬼ヶ島では次々と鬼が何者かに殺され一人減り、二人減りして全滅寸前。残された鬼たちはお互いに疑心暗鬼になりながらも生き延びようと犯人探しをします。そして事件の真相にたどりついた時、最後の一人も殺されます。前出した物語に出てきた様々なアイテムがこの物語に登場しますが、これが事件の謎を解く鍵になってます。驚きの犯人の正体はそう、あの人です。
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