2022年5月の本棚
2022年5月に読んだマンガまとめました。
ダンダダン 5巻 / 龍幸伸(集英社)
呪いの家編続き。地主の一族と接触し、土地神様的な存在の大蛇(UMA)の供物にされそうになるオカルン一行。
呪いの家とジジに纏わりついていた怪しいブリーフ男の関係が明かされ、覚醒するジジ。これ毎回、怪異の悲しい過去を描いてからの仲間と融合、覚醒していく流れなのかな?ジジの「はい勝ち〜!!」の表情とポーズがお気に入りです。
株式会社マジルミエ 2巻 / 岩田雪花・青木裕(集英社)
職業魔法少女マンガ第2巻。新米魔法少女として日々業務をこなしながら少しずつ成長していくカナ。
努力家な性格と持ち前の記憶力、そしてマジルミエのメンバーとの連携が実を結んでいくのが喜ばしい。社長のキャラクターがやっぱり好きです。良い上司。
ハイパーインフレーション 4巻 / 住吉九(集英社)
ショーハショーテン! 2巻 / 浅倉秋成・小畑健(集英社)
お笑いの道に進むべく、最初の関門「高校生お笑いバトル」に挑む畦道と太陽のコンビ。限られた時間と手札で、超アウェーの空間に笑いの渦を巻き起こす渾身のネタとは!?
「笑-1甲子園」の予選開幕に合わせて大量の新キャラ登場でちょっと置いてけぼり感を食らったけど、ここから突っ走ってほしいところ。
守れ!しゅごまる 1巻 / 伊原大貴(集英社)
普通に彼氏が欲しいだけのお嬢様・王城さなぎは正体不明の暗殺者「スカル」に命を狙われているという。そこにボディーガードとしてやってきたのは鉄虎守護丸という10歳の少年だった。理屈が通じない暴走ハチャメチャボディーガードに守られるさなぎの運命や如何に。
守護丸が遊戯王好きという設定で、作中に割とディープな遊戯王ネタが出てくるということでまんまと釣られて買ってみましたが、注釈入りでガッツリとカード画像も出てきて笑いました。決闘描写は1巻ではまだ出てきていませんが、今後出てくるみたいなのでとりあえずその辺までは読んでみようと思います。
カモのネギには毒がある 加茂教授の人間経済学講義 1 / 甲斐谷忍・夏原武(集英社)
天才経済学者・加茂教授が提唱する「カモリズム経済理論」。この世はカモる人間とカモられる人間によるカモリズム社会を説く加茂教授に振り回される形で展開していく経済学エンタメマンガ。加茂教授のキャラがとにかく強烈。
経済弱者をカモるペテン師たちに毒を喰らわす痛快感が堪らない作品でした。ドラマ向きな気がしますね。
セシルの女王 1 / こざき亜衣(小学館)
『あさひなぐ』のこざき亜衣先生の新連載作。女王エリザベス1世に仕えた忠臣ウィリアム・セシルの姿を描いた歴史モノ。
ヘンリー8世の統べる16世紀のイングランドが物語の始まり。父に連れられ城に登ったセシルが見たものは、暴力、裏切り、不貞の数々。夢見ていた宮廷の景色とはかけ離れた日常の様に落ち込む彼の希望は、王妃アン・ブーリンの存在だった。彼女が身籠る"未来の王"に仕えることを誓うセシルだったが、その赤子こそが、後に大英帝国の礎を築く女王だということをまだ誰も知らないーー。
1巻のラストが最高に盛り上がる形で締められており、興奮せざるを得ませんでした。百点満点の引き。
出来るだけ史実の細かいネタバレを調べず、新鮮な気持ちで読んでいきたい作品です。
マリッジグレー 1〜2 / 轍平(集英社)
勤務先の元アルバイトで10歳以上歳下の憙乃(よしの)と結婚した会社員の直継(なおつぐ)。
自己肯定感が低すぎる直継は、自分なんかと結婚してくれた憙乃に対してどこか疑念を持ったまま新婚生活を送っていた。マリッジブルーとは違う、マリッジグレーを描いた新婚ノロケマンガ。
もう本当にただのノロケでしかなかったです(褒め言葉)。馴れ初め自体はよくあるやつで、疑いの余地なんかカケラもない二人のラブラブっぷりをひたすら堪能する作品。GJ連載なだけあって性描写は割とストレートなので注意な方は注意です。
おとなりに銀河 4巻 / 雨隠ギド(講談社)
契約破棄の儀式を終え、晴れて?普通の恋人同士となった久我くんと五色さん。依然ラブラブだけど、漫画家としての悩みや愚痴、急な体調不良の壁を越えてまた少し前進していく二人を眺めるのはとても楽しい。
久我くんの妹・まちちゃんの頑張る姿に目頭が熱くなりました。小さい子の抱く「早く大人になりたい」気持ちってかなり尊いな、って。
TVアニメ化決定やったー!!五色さん役が和久井優さんなのも嬉しい。
弱虫ペダル SPARE BIKE 10巻 / 渡辺航(秋田書店)
そういえば本編でちゃんと描かれてなかった3年生組の卒業式後のエピソードからの、田所大学編スタート。
自転車競技部のない筑士波大学に進学した田所は、自転車競技への情熱を持ちながらも、サイクリング部での「自転車旅」に胸を躍らせていた。しかしどうしても消えないレース熱。それを冷ますかのように走った筑波山の登りで、東堂尽八と出会う。
まさかここでこの二人が出会う展開になるとは思っても見なかったので胸熱でした。田所と尽八(と修作)でイチから自転車競技部を作り上げていくことになった筑士波大学組。明早大組や洋南大組とレースで会う日が待ち遠しい(弱ペダ本編より全然面白い)。やっぱり東堂尽八が一番カッケェんすよ…。
SANDA 3巻 / 板垣巴留(秋田書店)
「若さ」への執着から「老い」に抗う学園長。サンタクロースの力を取り戻した三田との対決は手に汗握る熱いものだった。師匠的なポジションの理事長や、半地下に潜む大人殺しの「10組」の生徒たち。三田クロースの戦いは続く。
サンタクロースの一般常識が作中の設定に落とし込まれていて(子供が寝ると強くなる、とか)面白いなって思うことが多々あります。展開自体はサクサク進むので読みやすいですが、物語の核心部分はまだ明かされ切れていない感じ。
きみのご冥福なんていのらない 3巻 / 松尾あき(秋田書店)
夏休み期間の閉寮に伴い、ゾンビの小野も連れて実家に帰省した篠原。イチャイチャが必要不可欠な二人の事情を知らない家族たちの反応が面白い。冷やかす姉と小野に懐く妹ちゃんとノリノリな母と戸惑う父。
確実に距離を縮めていきながらも、「小野の死」という抗いようのない事実が二人の間に確かに存在していて、イチャイチャとのギャップを演出しています。切ないッ
おなかがへったらきみをたべよう / たばよう(秋田書店)
少女が見る夢に出てくる遥か昔を生きる原始人の少年と子マンモス。住処も家族も失った一人と一頭は寒さと飢えに耐えながら彷徨う。生きるか死ぬかの極限状態になった時、友情が芽生えた相手を食べられるか、という内容を独特な描き方で綴った異色作。
少年は最後にマンモスを食べるのか、それとも仲良く飢え死ぬのか、ハラハラしながらページをめくりました。紙で買ったけど裏表紙の装丁が少し禿げていて悲しかった…
ゴゴゴゴーゴーゴースト 2巻 / 蛭塚都(KADOKAWA)
色々終わってるダメOLのウシロと彼女に取り憑くオネエ幽霊の正子の「この恨みはらさでおくべきか」系マンガ第2巻。元不倫相手の先輩と遭遇したウシロ。正子がここからどういう存在になっていくのか、見ものです。
ウシロの性格がちょっともう「面白い」を通り越して不快になってきたタイミングで、ストーリー的にも進展があったのでなんとか読めました。明智が羽柴に討たれる展開になっていくのかな?なってほしいです。
言葉の獣 1巻 / 鯨庭(リイド社)
言葉を「獣」の姿で見ることができるという共感覚(その獣の棲む〈生息地〉という空間を夢のような形で他人と共有できる)を持つ東雲と、言葉や詩に強い関心を持つクラスメイトの薬研(やげん・通称やっけん)。
教室で孤立しがちな東雲に薬研が声をかけたことをきっかけに、「この世で一番美しい言葉の獣を見つけたい」という目的のために協力し合うことになった二人。
言葉や詩、それらが孕む意味、伝え方や受け取られ方といった内容を「獣の姿」で描くというコンセプトがまず凄まじい。
獣のデザインも幻想的かつキメラのような見た目で、現実からかけ離れすぎていないのが親しみやすくて好きです。『生きる』の言葉の獣なんてシシ神(もののけ姫の)みたいで思わず息を飲んだ。
(どちらかと言えば)感情的な東雲と理性的な薬研というキャラクターは対照的なようで、二人ともしっかりと物事の本質を捉えられる面を持ち合わせていて、自分たちの状況や指針をハッキリとさせているのも読者的にもありがたいなと思うところでした。ツールもTwitterという現代仕様。
この1巻だけでもかなりの満足感でしたが、これから物語がどう進んでいくのか楽しみです。おすすめの詩集とかあれば教えてほしい、薬研に。
今日から始める幼なじみ 3巻 / 帯屋ミドリ(新潮社)
幼なじみという「設定」を家族やクラスメイトに打ち明けるかどうかみたいな問題に発展しかけつつも、いつもどおりの関係を楽しむ楓と航平。進むような雰囲気でもないけど、今まで二人だけだった関係が少しだけ広がっていく第3巻。
航平姉が「お姉ちゃん」してたのが、主人公二人の幼稚さ、初々しさが際立っていて良かったです。名前も「帆波」で「航平」と関連づいてて個人的には好きポイント。兄弟姉妹の名前が微妙に関連づいてるの良くないですか。
可愛いだけじゃない式守さん 13巻 / 真木蛍五(講談社)
みんな揃って3年生へ進級。文理で若干の分裂はあったけどいつものメンバーは変わらず仲良し。
風紀委員姿の式守さんはかなり解釈一致な気がしました。ここのところ「カッコいい属性」が薄れがちな気がしていたので…。過去に式守さんとの因縁があったそうな後輩キャラも登場。
制服の下にパーカーとか着たりしてみたい学生時代だったな…(陰キャ並感)
ソアラと魔物の家 1巻 / 山地ひでのり(小学館)
孤児として戦闘の腕だけを磨いてきた主人公・ソアラは終戦に伴い、行き場をなくしていた時、魔物建築士のドワーフ族・キリクとその仲間たちと出会う。彼らに同行する形で様々な魔物たちのマイホームを大改造していく、という異世界版『劇的ビフォーアフター』。
ゴブリン、グリフォン、スライムと魔物によってそれぞれ練られた「家」の設定がどれも細かく、眺めるだけでも楽しかったです。安心安全で夢の詰まったマイホームに住みたい!という想いは人間も魔物も同じ。魔物狩りから建築士見習い(?)にジョブチェンジしたソアラの冒険は続く。
君は冥土様。 5巻 / しょたん(小学館)
雪さんの妹の情報を持つというイーシンという情報屋を訪ねた人好&雪さん&グレイス先生。
裏社会の洗礼を受けるかと思われたけど、イーシンがただのストーカーのような、ただのファンのような、ただの父のような、ただの兄のような、おもしろポジションに落ち着いて一件落着(?)。
雪さんの妹・フウアも向こうから来日してくれそうで、次巻は姉妹対決かな?
ほのぼのと殺意のバランスが丁度良い感じでした。ほのぼの100%でもいいくらい日常パートが面白いですけど。ナカちゃんが雪さんに負けず劣らずめちゃ可愛い。
これ描いて死ね 1巻 / とよ田みのる(小学館)
『金剛寺さんは面倒臭い』などのとよ田みのる先生の最新作。
島暮らしのマンガ大好き高校生・安海相(やすみ あい)は憧れの漫画家・☆野0(ほしの れい)先生がコミティア(創作同人誌即売会)で10年ぶりに新作を頒布することを知り、船に乗り東京へと向かった。そこで相を待っていた経験が彼女の人生を大きく動かす。「マンガって描けるんじゃん!」
マンガが大好きだけど、マンガを描くことに関してはド素人な主人公が創作することの喜びを見出していくという"漫画家マンガ"。
ただこの作品は「マンガを描きたくて描きたくてしょうがない」みたいな漫画家のサガや業のようなものや、マンガの描き方や構成について説く所謂「漫画論」的な側面はちょっと薄い。
あくまで純真無垢な少女が未知の世界に足を踏み入れていくワクワク感が本筋としてある。
もちろん、そういう爽やかな疾走感だけではなく、相を導くポジションである先生のキャラクターが自身の過去もあって、現実的でちょっと言葉厳しい(それが大人として正しい姿勢だろうし、先生の過去について描いた読切『ロストワールド(デビュー)』も巻末に収録されていて、これまた良かった)。
それと反対に、相や仲間たちのキャラクターが「漫画の描き方はさっぱり!でも大好き!」とパワフルでエネルギッシュ。「漫画家になって成功してやる!」という野心なんてカケラもなく、ただただ「好き」を原動力に動いている。だからこそ、展開が読めるようで読めないのも面白い。
この温度差というか、対比の作りが良いなと思いました。
マンガを愛するとよ田先生が描く、マンガを愛する少女の成長物語。とってもとってもと〜〜〜〜っても面白かった!!ほんとに!!!
愛に満ち溢れていて、爽やかで、もちろん楽しいことばかりじゃないのかもしれないけど、それを跳ね返すくらい底抜けに明るくて、読むと元気になれる素敵な"漫画マンガ"でした。タイトルは若干物騒ですが手に取って損はない一冊です。
作中に登場する「漫画内漫画」も、とよ田先生ご自身の手によってコミティアで頒布されていたみたいで。ZINでお取り寄せができたので手に取ってみました。相のバイブル的作品『ロボ太とポコ太』は本当に導入部分という内容だったので最後まで読んでみたい。相の処女作『ネコ太とニャン太』は普通に感動しちゃった。
オタクは、キャラクターの絵がプリントされているグッズとかより、キャラクターが作中に実際使っているもののレプリカとかに唆られる生き物なので、こういう作中の資料を実際に手に取ることができてうれしい。今後も出てくるであろう「漫画内漫画」も頒布していくのかな。本編共々楽しみです。
金剛寺さんは面倒臭い 1〜7巻 完結 / とよ田みのる(小学館)
上述の『これ描いて死ね』の前作。
正論柔道女子の金剛寺金剛と地獄から来た優しい鬼の樺山くんの恋模様と、その本編に大きく関わりの無い数多のサイドストーリーを描いた”愛”しかない至極のハッピーエンドマンガ。
遅ればせながらちゃんと最後まで読みました。
結論から言うと(1話の最後で物語の結論は述べられるので悪しからず)、金剛寺さんと樺山くんは付き合うし、手繋ぐし、チッス(キス)するし、結婚して子供も生まれるし、最期は老いて死ぬ。
この二人の壮大でありふれた人生において、起こり得るすべての事象が圧倒的な表現力と漫画力(まんがぢから)をもって全34話に詰め込まれており、この作品を読むことでしか味わえないゑも言われぬマンガ体験がそこにはありました。
最初から最後まで「予定調和」の連続で、いい意味で終始振り回されながら読み切ったので、もう少し落ち着いて読み直そうと思います。多分何度でも振り回されそうですが。笑
うるわしの宵の月 4巻 / やまもり三香(講談社)
そういえばまだ正式に付き合っていなかった先輩と宵ちゃん。先輩の嫉妬心を見て、自分の気持ちに改めて気付く宵ちゃんが夏祭りで想いを告げ、晴れてお付き合いすることに。
今回も王子様ヒロイン・宵の可愛さが遺憾なく発揮されておりました。付き合ってからも照れ隠しであれこれルールを設けて自分の首を絞めている姿とかも全部可愛い。次回は夏休みみたいなのでイチャラブが見られそうですがが、二人が付き合うことを良く思わない輩が出てくる展開になりそうでちょっと不安な気持ちです。
生き残った6人によると 3巻 / 山本和音(KADOKAWA)
物語の最序盤でリタイアした木内誠。その妻を名乗る女性・海ととその弟で水上と同級生の少年・渚が新たにパンデミックシェアハウスへとやってきた。2人は果たして敵か味方か。
封鎖された千葉のショッピングモールを舞台に極限状態の人間たちによるサバイバルラヴが加速する。
総理ー!早く何とかしてくれー!!
ことり文書 1~2巻 / 天野実樹(KADOKAWA)
おてんばお嬢様の小鳥と生真面目執事の白石。
大きな屋敷での二人の日常を描いたハルタ作品らしいきめ細かいタッチで描かれるドタバタほっこりコメディー。
小鳥が好奇心旺盛、明朗快活で可愛い。でも母親とは幼いころに死別していて、父親は優しくも仕事で世界を飛び回り、仲良しの兄も小鳥とは現在留学中。普段は明るく元気に振る舞う彼女も本当は一人の寂しがり屋の女の子で。そこに堅物の執事の白石が父親のように、兄のようにぎこちなくも愛情をもって接する、二人の関係が素敵です。
空っぽの少女と虹のかけら 1巻 / 紀ノ目(マッグガーデン)
周りから虐げられて育ち、感情を失ってしまった少女・歩世子(ぽよこ)。
彼女はある日、不思議な声に誘われて迷い込んだ異世界で魔物に襲われ、その世界での重要なアイテム”虹のかけら”を体内に取り込んでしまう。
歩世子を助ける謎の少年、姿を消した虹の王、歩世子の持つ虹のかけら。空っぽの少女が歩む異世界ダークメルヘンは不穏で謎多い旅路。世界観好きです。「歩世子(ぽよこ)」の名前も好き。
でーじミーツガール / 丸紅茜・波之上青年団(フレックスコミックス)
ショートショートアニメをキャラクター原案・シリーズ構成を担当した丸紅茜さんが自らコミックス化。
沖縄。家業の小さな宿を手伝う少女・舞星(まいせ)は宿泊客の謎の生年と出会う。それと同時に起こり始める不思議な現象の数々。夏が始まる今の時期にぴったりな一夏の”でーじ”な大事件。
1ページ1ページがイラスト作品のようで、丸紅茜さんファンの僕にとって至高の一冊でした。一冊完結で爽やかな読後感。オススメです。
とか言うてたら、丸紅茜さんがこの5月いっぱいで活動をすべて終了されるそうで…さみしいです。でもお疲れ様でした。グッズや本、大切にします。
大丈夫倶楽部 1巻 / 井上まい(レベルファイブ)
日々「大丈夫」の追求を日課とするOL・花田もね。
彼女は、ある日出会った謎の生物・芦川と、学生時代からの夢だった大丈夫の研鑽を活動目的とする部、通称「大丈夫倶楽部」を設立する。
もね曰く「大丈夫」とは、夜寝る前に「ま… 明日もいけるか」と思える精神状態のことを指すそう。まず、この指標というか心意気がいいな~と思った。何かと気が滅入る現代社会において、自分の「大丈夫」とは何かを理解し、それを保てる人間でいたい。入部届提出したいな。
レベルファイブ(イナズマイレブン、ようかいウォッチetc.)が運営するマンガサイト「コミック5」で2020年から連載されており、この1巻が出たのは先月2022年4月。2022年5月31日現在で84話も配信されている。
配信自体は最近流行りの「縦スクロール形式」で(コミックスは普通にS読み形式)、それを活かした「端末を上下逆さにして読む回」があるなど、新しい時代のマンガといった感じ。それでいて題材は「大丈夫」という多くの人の心にストンと入ってくるものなのがまた良い。読むと「大丈夫」になること間違いなし。
読後に何か変なテンションになってApple Musicでタイトルが「大丈夫」という曲を集めた『大丈夫倶楽部プレイリスト』を作成してしまった(謎)。でもこれを聴きながら読むと"より"大丈夫になれる、かも。
はじめラブコメ オガベベ 1巻 / おきらくボーイ(小学館)
まだ「恋」の概念が存在しなかったかもしれない旧石器時代。幼馴染のオガに対して芽生えたべべの土器土器(ドキドキ)の正体とは。これは人類史上はじめて観測されるラブコメの記録。
べべがドキドキする度にいちいち出てくる火焔型土器とハート型土偶が面白い。この感情にどうやって「恋」という名前がつくのか。基本くだらないギャグと見せかけてちょっとロマンチックで面白かったです。
ウマ娘 シンデレラグレイ 7巻 / 久住太陽・杉浦理史ほか(集英社)
伏兵オベイユアマスターの勝利で幕を閉じたジャパンカップ。
年末の大一番・有マ記念を「ラストラン」と定めたタマモクロスを前にしてオグリキャップは何を思うのか。芦毛と芦毛の最終対決の火蓋が切って落とされる。
オグリの史実的に作品はまだまだ続きます(多分)が、この1988年の有マ記念が一番盛り上がる気がするし、盛り上がってほしいので、いつも以上に画にも熱が入りそうな予感です。期待大!!
花は咲く、修羅の如く 2巻 / 武田綾乃・むっしゅ(集英社)
Nコンに向け、課題図書選びに悩む花奈。先輩たちのアドバイスを受けながら、自分の「好き」に正直に従うか、あくまで「勝ち」に拘る同級生の杏の言葉を聞き、「適正」に合った作品を選ぶか。放送部スポコンマンガ第2巻。
杏が勝利を渇望しまくっていて、なんかトゲトゲしすぎでは?って思っちゃった。いや負けず嫌いなのは結構なことですし、それだけ本気なのはわかりますが、同じ部の花奈にまであそこまでの態度を取るのは損しかしていない気が…笑
隣のお姉さんが好き 1巻 / 藤近小梅(秋田書店)
『好きな子がめがねを忘れた』の藤近小梅先生が描く新たな「好き」の物語。
お隣に住む3つ歳上で映画好きなお姉さん・心愛(しあ)さんに一途に恋する主人公の佑(たすく・通称たーくん)。
おすすめの映画を教えてもらうことを口実に、毎週水曜日の映画鑑賞に全力で臨むたーくんの想いは果たして心愛さんへ届くのか。超超超重要な書き下ろしおまけも収録・これが完全に「第0話」だった。
純情で直球で、ちょっと無神経な男子中学生のクソガキと、夢を持っていてミステリアスで、でもちょっと抜けたところもある女子高校生のお姉さん。二人の微妙な心の機敏が逐一楽しいです。たーくんの敵は兄か、トムホか、それとも自分自身か。
唐突ですけど、《隣のお姉さん》って存在がもう「宇宙」なんですよね。一番近いのに一番遠くて、知っているようで何も知らなくて、世界の中心であって世界の全てで、一は全で全は一で(?)、そういう《この世の謎》そのものを「ヒロイン」に据えたような、奥ゆかしくて、苦くて甘い、今一番見逃せないラブコメだと個人的には思っています。
因みに所謂おねショタ的要素はほぼないです。映画ネタはちょっと出てくるので映画好きにもオススメかもしれません。
ごくちゅう! 2巻 / こんぱる&ふじしまペポ・草下シンヤ・雨宮(講談社)
大○取締法違反、業務上横領罪、傷害罪、???(罪状不明)の囚人たちが集う豚箱にやってきた賭博場開帳図利罪の賭け事大好きな新囚人。さらに賑やかになったゆるふわ獄中体験記マンガ第2巻。福本信行先生とのコラボ(?)もあり。ざわ…ざわ…
夏の暑さ、テレビや散髪事情。慰問、特食、甘シャリといった聞き慣れない用語の数々と、今回も人生で一生活用したくないウンチクが満載でした。次巻はフィリピン人の新メンバーが登場らしい。国籍が東南アジア系なのがなんかリアルだ。
音盤紀行 1巻 / 毛塚了一郎(KADOKAWA)
『青騎士』連載。それぞれ舞台も時代も異なる「レコード(音盤)」にまつわるエピソードを収録したオムニバス。
温かみのあるタッチと緻密な線で描かれていて、音楽への愛を感じる素敵な一冊でした。
音楽の歴史は人の歴史。100年後1000年後の音楽を聴く術はないけど、今、自分が聴いている音楽を50年後とかに聴いたらどんな気持ちになるんだろう、ってのは気になります。生きよう。
ブルーピリオド 12巻 / 山口つばさ(講談社)
2年生になり、多分4年間で一番楽しい時期なのにも関わらず、相変わらず悩み続ける八虎。悶々と過ごす日々の中で出会った「ノーマークス」という芸術集団とその代表・フジという女性に心酔していく。
課題に追われる"焦燥感"。選択すること・考えることへの"疲労感"。大学に通うこと自体に対する"疑心感"。それでも湧き上がる美術への"好奇心"。…どうする八虎ァ!!?
なんかヤバそうな集団と関わりを持ちがちなのが「大学生み」あってよかったです(よくない)。カリスマなフジさんも別に悪い人ではなさそうなので、旨い具合に好影響を受けられたらいいけどどうなるのか。
美大のネガキャン的な方向に進んでほしくはないですが、先生が明らかに「敵」のように描かれていて、そこはちょっとどうなんだろう。ああいうものなのかな?
気になる引きで終わったのでそこは早く続きが読みたい。
Q、恋ってなんですか? 3巻 完結 / FiokLee(講談社)
Qさんのオリジン(宇宙人のQさんが容姿をコピーした地球人)の雪乃さん。彼女と青井くんを「人間」のサンプルとして収集するのもまた、地球生物収集の一環だと捉えるQさん。でもそこで芽生えるQさん自身の未知なる感情。
3年後、収集した生物を保管する〈休眠室〉が満杯になり、Qさんは故郷へと帰ることに。故郷の星と地球の往復にかかる年月はおよそ1000年。地球上の生物には到底辿り着けない遥か彼方へとQさんが旅立つ日。青井くんは宇宙船に飛び乗った。
3巻だけの短期連載(打ち切り…?)でしたが、Qさんと青井くん、その周りの人間模様を生物の愛と神秘に重ねながら描くという面白い作品で、読者としては満足の内容でした。
人間も他の生物と同じく、愛し、愛され子孫を残していくけれど、中には突飛で思いもよらない重大な決断を下す、下せてしまう個体も存在する。これが人間という生物の面白いところなのかもしれないなー、なんて思ったりしました。連載お疲れ様でした。
わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女子と星屑男子とフェミおじさん~ 1巻 / 瀧波ユカリ(講談社)
サブタイトルの通り鍵垢女子(SNSを非公開にしている女子)と星屑男子(可愛いけど性格がクズな男子)とフェミおじさん(男女の価値観を平等に保つ紳士おじさん)とその周りの人たちの主張を描いたちょっとめんどくさい作品。
この手の作品全般に言えることですが、まず、主人公のSNSとの付き合い方がどうしようもなく腹が立ちます。本人は上手く使っているように思っているのもちょっと不快(マイナスな感想ですみません)。
鍵垢を運用するのも、好き勝手呟くのも、無痛恋愛がしたい気持ちも大いに理解は出来るだけに主人公の性格がどうしてもキツかった印象でした。
どうしようもない大人たちによるどうしようもない恋愛群青劇。展開自体は面白かったので多分次巻も買います。
サクラ、サク。 4巻 / 咲坂伊緒(集英社)
咲、陽希、琴乃の三角関係。思っていたものとは少し違ったけど人が人を好きなだけ。美斗士のポジションが切ない。これから絡んでくることはあるのかな?
井竜くんが今のあの性格のまま咲へ矢印向けてきたらちょっとめんどくせぇなと思っちゃいました。
自転車屋さんの高橋くん 1~5巻 / 松虫あられ(リイド社)
内気なOL・飯野朋子(通称パン子)はある日、自転車のメカトラを自転車屋のヤンキー・高橋くんに助けてもらう。普通に生きていると絶対に出会わないであろう二人が普通に出会って恋に落ち、惹かれ合っていくというラブな作品。
ヤンキーアレルギーなので、ずっと敬遠していたんですが、2巻まで無料公開されていたのを読んでそんな今までの自分を恥じました。
まず意外だったのが、パン子が30歳で、高橋くんが26歳と比較的年齢設定が高めだったということ。OLと高校生くらいの歳の差モノだとばかり。
かと言って「大人の恋愛」を描いているわけではなく、二人の関係自体はむしろかなりピュアですが、取り巻く環境やバックボーンなども含めた作中の温度変化は想像以上に大きく、結構重いシーンも。パン子の闇がだいぶ根深い…
神さまがまちガえる 1巻 / 仲谷鳰(KADOKAWA)
『やがて君になる』の仲谷鳰先生の最新作。
周期性例外事象、通称「バグ」が日常的に引き起こる世界。主人公の中学生・紺は自分の住むシェアハウスの大家にしてバグ研究家の女性・かさねの手伝いをする生活を送っていた。
街がジャングルと化していたり、空中を自由に歩けるようになったり、左右が反転したり。些細なことから生活がガラリと変わるものまで絶えず起こり続ける社会。空気感は『猫が西向きゃ』みたいな感じでした。
静かに始まった「不思議日常系共同生活型微おねショタ」。キャラクターたちの関係はまだまだこれからと言った感じでした。どういう方向に進んでいくのか。
三拍子の娘 2巻 / 町田メロメ(イーブックイニシアティブジャパン)
平凡な三姉妹の愉快で穏やかな日常をスッキリとした線で美しく、奏でるように描いた傑作。
来月6月の紙版刊行に先駆けてebookjapanで先行配信と相成りました。ebjユーザーでよかったと心から思った瞬間。
三姉妹の性格が、各々自立しているというか、飄々としているというか、それでいてちょっと抜けていて人間味も覗かせてくる。この具合が本当に絶妙。作品全体の雰囲気もやっぱり大好きです。
大袈裟な言い方ですけど、キャラクターたちがすごく魅力的な生き方をしているなと感じるんですよね。派手なことは全くないですが、そこにまた憧れます。
本の虫ミミズクくん 1巻 / カラシユニコ(小学館)
読書家の祖父の影響で、読書をこよなく愛する小学4年生の男の子・加藤剣、通称ミミズクくん。名作文学を読み耽る彼は、文学の力を借りて日常で出会う小さな困難を乗り越えてゆく。『燃えよ剣』や『星の王子さま』といった実在するタイトルやセリフも数多く登場。
ミミズクくんが小4とは思えぬ思慮深さと子どもらしい一面の両方を持ち合わせていて、素敵な少年でした。やっぱり「読書」って人格形成において大事ななんだなとフィクションながらも感じたところです。
おじいちゃんのキャラクターも強烈で、家族に読書を半ば強要してくる"本の獣"だけど、ちゃんと本を読むことそのものの本質(本だけに)を説いてくれているような、師匠ポジションなのが好きポイント。家族もみんなまんざらでもなく読んじゃう根っからの読書家一家。
登場する作品は恥ずかしながら中身まで読んだことあるものはほとんどありませんでしたが、それでも全然楽しめました。読んだことあればより楽しめそう。
『ムーミン谷の彗星』と『父の詫び状』を取り上げた、ミミズクくんのクラスメイト・モーロン(毛呂くん)関連の話が特によかったです。友達が親友になる瞬間って、尊い。
細かい部分ですが、各話の終わりに収録されている作者・カラシユニコ先生のよもやま話(取り上げた文学作品の解説)にて、「今回この作品を取り上げるにあたって〜」と書くところを「今回ミミズクくんが読むにあたって〜」と、あえてミミズクん目線で書いているのがなんかいいなと思いました。登場人物へのリスペクトを感じられて。
雑記
以上、5月に読んだマンガまとめでした。
『これ書いて死ね』を読んだときの感動が今月一番大きかったかもしれません。マンガを愛する全ての人に読んでほしい。
普段、一部作品を除き、誌面・アプリの連載をほとんど追っていませんが、ジャンプ+新連載の『正反対な君と僕』が琴線に触れすぎました。元気女子とクール男子のラブコメ。初々しい二人がもう可愛くて可愛くて堪りまりません。7月にJC発売が待ち遠し〜!!
一つの作品について、内容・感想を140字くらい(1ツイート分)で収められたらいいなと思いつつ、だらだらと中身のない駄文を書き連ねてしまいがち。
ただただ読みづらいだけと我ながら感じているので、もっと上手にまとめられるようになりたいな~と思う今日この頃です。でもまぁ自分用の備忘録だしこんなもんか〜とも思ったり。
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