植物食の栄養と健康推進の効果

植物食に関しては色々な情報が錯綜しています。特に日本語環境で、包括的で客観的な情報を探すのはかなり大変です。

そこでハーバード大学医学部が発行する、Harvard Health Publishingに掲載されていた植物食の記事の概略を紹介します(日本語は情報提供を目的とした概略であり、完全な翻訳ではありません。全文読みたい人は英語のリンクに行ってください)。これから植物食を始めたい人にも、自分の食事を見直したい人にも役立つ内容です。

With a little planning, vegan diets can be a healthful choice
バランスの取れたveganの食事は健康的な選択

POSTED FEBRUARY 06, 2020, 10:30 AM
Katherine D. McManus, MS, RD, LDN

世界中で大勢の人が植物食を実践している理由:
①肉類が入手できない、高価で買えない
②宗教上の戒律
③動物虐待に対する懸念
④健康増進
その他
植物食が健康に良いという説は、研究結果にも表れている。

科学的な裏付けの数々

JAMA Internal Medicineに掲載された統合分析
調査内容:植物食(vegetarianとveganを含む)と2型糖尿病のリスク
調査対象:全部で30万人以上
植物食を最も忠実に実行した場合、2型糖尿病のリスクが23%低減

American Journal of Clinical Nutritionに発表された研究
調査対象:男性2万6千人の食生活
内容:前立腺がんの発生率
期間:ほぼ8年
結果:veganは前立腺がんのリスクが35%低減

The Lancet に発表された文献の照査結果
植物中心の食事によって、
①世界で年間約1100万人の死亡を防ぐことができた
②今後の人口増を考えても、環境を破壊せずに食糧供給ができる

Academy of Nutrition and Dieteticsの見解
適切なバランスを考えたvegetarian(veganを含む)の食事は
健康的
栄養も充分
③さまざまな疾病の予防と治療に効果がある
妊婦、授乳婦、乳幼児、小児、思春期、成人に適している

Veganの食事は健康的だが、蛋白質、カルシウム、鉄分、ビタミンB12
その他のバランスに注意

蛋白質:大豆製品(豆腐、枝豆、テンペ)、セイタン、レンズ豆、エンドウ豆などの豆類、nutritional yeast(酵母の一種)、スピルリナ、豆乳、カシューミルク、種実類、種実バター、植物性バーガー、代替肉製品
健康増進効果のある油脂類:植物油(オリーブ、菜種、ヒマワリ、ベニバナ、大豆、トウモロコシなど)、種実類、アボカド、亜麻(flaxseed)、チアシードなど。
体内でオメガ3(DHA、EPA)になるα-リノレン酸:亜麻(flaxseed)、亜麻仁油(flaxseed)、チアシード、大麻油、胡桃、胡桃油、菜種油、大豆油など。亜麻仁油の栄養補助食品もある。
カルシウム:豆腐、カルシウムを強化したジュース、火を通した白菜、大根や蕪の葉、芥子菜、collard greenなどの葉菜、カルシウムを強化した植物性ミルク(豆乳、アーモンド、カシューナッツなど)。不足しがちな場合はカルシウム剤。
ビタミンB12:栄養強化食品(ビタミンB12を強化した植物性ミルク、代替肉製品、シリアル、nutritional yeastなど)またはビタミン剤。1日6マイクログラムが摂取できない場合はビタミン剤について医師に相談することを推奨。
ヨウ素:ヨウ素添加塩や海藻を摂取しない場合は不足しやすい。ほとんどの海塩、塩分調味料、たまりなどにはヨウ素は添加されていない。

多種類の野菜、果物、未精製の穀類を含めること。

追加:必須脂肪酸はflaxseedの栄養補助食品が最も一般的です。錠剤は無味ですが、食品として摂取すると味も匂いも癖があります。普通の総合ビタミン剤にはビタミン12も鉄分も含まれています。

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