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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2023年7月の記事一覧

駒沢裕城へのインタビュー。日本を代表するペダル・スティールギター奏者がその半生を語る。「これだけ可能性がある楽器という事が、伝わっていない」

はっぴいえんどの『風街ろまん』への参加をはじめ、はちみつぱいや大瀧詠一、松任谷由実、矢野顕子など数多くのミュージシャンのレコーディングやライブに参加してきたペダル・スティールギター奏者の駒沢裕城。同氏がミディよりリリースした3作品が5月18日(木)、デジタルにて配信開始となりました。 今回はそんな駒沢氏へのインタビューを行い、これまでにミュージシャンとして辿ってきたキャリアや自身の音楽性、楽曲制作の哲学に至るまで、包括的に語ってもらいました。駒沢氏の音楽がさらに深く楽しめる

2020年代のアメリカン・シューゲイザー新世代と国内シーンの諸相

はじめに本記事は、2022年12月に音楽情報サイトSTEREOGUMに掲載された記事 The New Wave Of American Shoegazeや、シーン内で活躍する各アーティストのインタビューを手引きとしつつ、筆者の音楽鑑賞履歴を元に、先行記事に記載されていない側面や日本国内の状況に関する情報を付け加えたものです。 本記事で紹介するアーティストや作品には、すでに国内の個人ブログやECサイトで日本語による紹介がなされているものも多くありますが、それらを単体で紹介し

【Review】MAD MIKRIS Soundtrack/MIKRIS "MADSKILLを持つのは誰だ!?"

厭世主義が蔓延る狂った世の中で正気を保つためには、『時計じかけのオレンジ』よろしく逆説的に自身が狂わなければいけないのかと思うことがある。そんな時、耳元から唯一無二のMADな世界へ誘い、行き場のない鬱積を晴らしてくれるのが完全無欠の”MADSKILL”を持つ千葉のMC・MIKRISだ。 90年代前半にヒップホップと出会い、15歳からリリックを拵え続けたMIKRISが2003年にデビューEP「Who’s The MADSKILL!?」を世に放ってから今年で20年。その周年を記

cero「e o」〜ポストパンデミックの都市音楽〜

ceroの新譜「e o」は不思議な音楽だ。 2023年5月に配信開始となって以降、気づけば延々と聴き続けている。 朝も、夜も、家でも、外出先でも、どんな場面でも、飽きることなく。 まるで清涼飲料水のように身体に染み渡っていくこの感覚は一体何なのだろう。 元々ceroは特定のジャンルに依存しない独自性の高い音楽を作り続けているが、本作は正にノンジャンル、説明の難しい音楽だ。電子音楽の範疇ではあるが、国内外のチャートを賑わすポップミュージックとは明らかに異質であり、かとい

ブルーノ・メジャー『Columbo』

ロマンチックな楽曲に甘いヴォーカル、洗練されたサウンドプロダクションで人気の男性SSW、ブルーノ・メジャーの新作アルバム『Columbo』(2023年)。日本盤CDはBEATINKから2023年7月21日に世界先行リリースされます。この日本盤CDの解説を書かせていただきました。このnoteでは、ブルーノ・メジャーのこれまでの活動やおすすめの楽曲などを紹介します。 まず簡単に略歴を。ブルーノ・メジャーは1988年イギリス生まれのシンガーソングライター/ギタリスト。大学ではジャ

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2023年上半期ベストアルバム記事を箱根駅伝の総括っぽく書く

今年も上半期ベストの時期になりました。が、正直ダーッとタイトルやレビューが並んでる記事があんまり好きではない(というか読みづらくて印象に残らない)のと、自分らしい書き方でもないなとぼんやり思ったので、音楽と並ぶくらい好きな箱根駅伝に例えて書くことにしました(暴挙)。 1区間=1ヶ月として、その月毎に聴いたアルバムについてレース展開になぞらえて書いていきます。ではスタート! 1区(1月) 今年も始まった箱根駅伝(音楽シーン)。近年1区は様子見の展開となることが多いが、スター

80年代洋楽名盤ベスト10(私選)

'80年代に発表された洋楽アルバムの中から、お気に入りの10枚を選んでみました。 ※マイルール。各アーティストにつき選べるのは1枚 10.『Zero Set』Moebius-Plank-Neumeier('83)クラスターのディーター・メビウス、コニー・プランク(エンジニア)、グル・グルのマニ・ノイマイヤーによるアルバム。ジャーマン・ロックの名盤のみならず、電子音楽の金字塔とも言える作品になっている。 '90年代に突如、イギリスのクラブチャートでトップ10入りした逸話も持つ

2023年上半期、僕の心を震わせた「邦楽」ベスト10

ライター活動を始めた2018年の年末から、「僕の心を震わせた〜ベスト10」と題した邦楽・映画の年間ランキングを発表し、2019年の年末からは洋楽を含めた3つのランキングを発表し続けてきた。また、2019年からは、その年の中間報告として、毎年6月末頃に上半期のベスト10をまとめてきた。 今年からは、スケジュールなどの兼ね合いで、上半期のランキングをまとめるのをストップして年末の年間ランキングのみ発表する形にしようと考えていたけれど、やはり、邦楽のみ、どうにか時間を作って上半期

みんなが「選ぶ」ことで、未来は変わる。その魅力をつくるのが表現者の使命。 Special Interview | 音楽家・小林武史さん

音楽家、音楽プロデューサーとして数々の名曲を世の中に生み出してきた小林武史さん。その一方で、櫻井和寿さんや坂本龍一さんとともに設立した〈ap bank〉による野外音楽イベント『ap bank fes』や、「農」と「食」と「アート」の複合施設『KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)』など、音楽や食といった誰もが親しみやすいテーマから、人々が環境問題について考え、アクションできる“きっかけ”を創出されています。 今回は『KURKKU FIELDS』を提携拠点のひとつと

GINZAの新音楽シーンを、世界に紹介。

leift(レフト)※僕のシンガー名義のプロジェクトのワンマンライブが無事に盛況のうちに終われて、早速新しいプロジェクトがスタートした。 自分自身らしさを追求し続けたファーストアルバム『Beige』のプロジェクトを経て、段々と視界が内から外に向き始めたタイミングで、素敵なお話をいただき始めたプロジェクト。今日は、その紹介と想いを話したい。 -- -- マリオットグループ「アロフト東京銀座」との協業数年前にnoteでも紹介したことがあったけど、この度改めて、銀座にあるホ

Killer Mike年表

アトランタのラッパー、Killer Mikeが先日リリースしたアルバム「MICHAEL」のレビューをTURNに寄稿しました。 私とKiller Mikeの音楽との出会いからどう接してきたのかを振り返りつつ、今回のアルバムの参加アーティストやサウンドを論じるものになっています。 Killer Mikeは近年はEl-PとのユニットのRun the Jewelsでの活動で広く知られていますが、それ以前からDungeon Familyなどで活躍していた長いキャリアを持つラッパーで

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audiot909の近年の活動まとめました

Amapianoを中心にトラックメイカー、DJ、ライターとして活動していますが、ありがたいことにここ数年様々な方面で活動させて頂くことが増えまして、分野ごとにまとめてみました。 画像クリックで該当音源、記事に飛べるようにしています。 依頼の参考してもらえると幸いです。 依頼は audiot909trackmaker★gmail.com(★→@)かツイッター、もしくはインスタのDMまでお願いします。 トラックメイカーとしての活動Willy Nilly トラック提供、ミキシ

日本が無視したトランスジェンダー・パンクスの世界 -Against Me!/Transgender Dysphoria Blues-

 『Rolling Stone Japan vol.23』ガールグループ特集に、「ガールグループという呼称が消え去る明日のために」と題されたコラムを寄稿した。トランスジェンダーの生存と尊厳をめぐる諸問題を考えつつ、「ガール/ボーイ」の線引きについて疑を呈した文章だ。その中に、言及されないトランスジェンダーの表現の例として、Against Me!というパンクバンドのアルバム『Transgender Dysphoria Blues』(2014年)の紹介をした。米国では当時の本家R

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DSXTX & ARIGATO MANE「Shinto Souljas Namida」レビュー&インタビュー

東京のラッパーのDSXTXとビートメイカーのARIGATO MANEがリリースしたミックステープ「Shinto Souljas Namida」について、二人からコメントを取りながらレビューを書きました。作品はこちらから各種配信サイトで聴ける・ダウンロードできます。 UGK、8Ball & MJG、Luniz、Mobb Deep……と、ヒップホップ史では様々なデュオが活躍してきた。ラッパー二人組だけではなくラッパーとプロデューサーによるデュオも多く、近年でもLNDN DRGS

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