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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2020年1月の記事一覧

Prog Metalの2010年代を振り返る:後編

前回の続きでございます。 4. ジャズ/フュージョン/変異系まず前編で触れたインストゥルメンタル勢の項とも共通するが、メタルをベースとしつつフュージョンやジャズ領域の音楽を本格的にやっているバンドが多数存在する。ドイツのCounter-World ExperienceやPanzerballettはまさにジャズメタルというべきアグレッシヴなアンサンブルを展開しているし、Animals as LeadersのJavier Reyesによる別バンドMestisも、引き出しの多さと

Prog Metalの2010年代を振り返る:前編

何事においてもそうだが、直近の10年をその前の10年と比較した際に何もかもがガラッと変わっていることなどありえない。2010年の音楽が2009年の音楽とまったく違うなどということは当然ないのである。 しかしながら「10年間」というスパンで俯瞰してみると、そこには確実に「流れ」と「変化」が存在する。 ではプログメタルにとって2010年代とは何がどう変化した、そして変化しなかった10年間だったのか? まず言えるのは、「プログメタルとは何か」を一言で定義することがこの10年を経

音楽よもやま話-第7回 Awesome City Club-繰り返すアンビバレンス

2017年の秋、ドライブの休憩がてら、街はずれの中華料理屋であんかけ焼きそばを食べているとき、僕はそのバンドの名前を知った。 「今度さ、ある音楽学校の演奏会に特別ゲストでオーサム来るんだよね、行かない?」と友人Aは友人Bを誘う。知らないバンドだったけれど、僕はなんとなく仲間外れにされたくなくて連れて行ってくれとAに懇願した。 当時、僕は高架下のレンタルCD・DVDショップでバイトをしていたのだが、そういえば確かに何人かの客が時折彼らのCDをレンタルしに来ていることを思い出し

本当のアーティスト・ファーストを勝ち取るには? tofubeats/dj newtownに学ぶ

「21世紀の音楽ビジネス」を学び、それを担うプロを育てていくプロジェクトとして、今年の7月より本格的にスタートした「New School of Music|新しい音楽の学校」。プロジェクトの一環として、11月30日(土)に音楽と仕事の明日を考える1Dayカンファレンス「NSOM_HR」が開催された。当日は国内外の先駆者たちによる3つのレクチャーに加え、大手レコード会社3社(ソニー・ミュージックエンターテインメント、エイベックス、ユニバーサル ミュージック)と直接対話ができる特

年間MY BEST Album フルアルバム編

今年も昨年に引き続き超豊作の素晴らしいアルバムが目白押しの1年で、デジタルオンリーのリリースも増え昨年よりは購入枚数も過去最高に増えました。 例年よりちょっとポップ寄りの選盤になったかも。 そして2019年の年間ベスト上位には1stアルバムが多い。今シーズンのセリーグ新人王争いのようでした。 スプリングスティーンやWHOのような超大御所はわたくしなどがランクするのは失礼なので特別枠ということで。 1位はスウェーディッシュパワーポッブの重鎮とも言えるArvidsonのロジャー

偉大なるソヴィエトウェイヴの、思ったより奥深い世界

いつも、知る必要がない人は一生知ることがないような音楽の話ばっかり書いていますが、今回も大変です。今回はSovietwaveと、あとついでにRussian doomer musicとlaborwaveについて紹介していきます。 SynthwaveやVaporwaveの派生として「○○wave」と名乗るジャンルがポコポコと湧いてきては、結局は内輪受けでごく少数の盛り上がり程度でフェードアウトすることも多いかと存じますが、Sovietwaveに関してはそれなりの台頭を見せているよ

アルバムレビュー - Kali Malone『The Sacrificial Code』

スウェーデンのストックホルムを拠点とする音楽家Kali Maloneによる、シンプルなオルガンの演奏をCD3枚組に渡って収めたアルバム。 2019年はドローン・ミュージック、特にオルガンを用いたドローン的な傑作が多くリリースされた年でしたが、中でも最も多方面から高く評価された作品が本作でしょう。 サブスクやbandcampのデジタル版では10曲が一纏めに表示されますが、1~3、4~6、7~10曲目で録音の場所が異なっており、CDもそのように分割されています。オルガンの

【選曲解説】キラキラポップ: ジャパン vol.148(20200107)

毎週火曜日の朝更新、選曲を担当しているSpotify公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン vol.148(20200107)』【20,191フォロワー】の選曲を担当しているふくりゅう(音楽コンシェルジュ)です。 新年早々、2万フォロワー突破記念として、毎週プレイリスト選曲にまつわる選曲理由や分脈などを解説していきます。ぜひ、下記Spotify公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』フォローして聴きながら楽しんでちょ。 今週は、2020年最初の更新ということで、動

BIG LOVEはビリー・アイリッシュを売るべきか

早くも書くのに飽きたか逃避か。逃避です。このまま書くのを忘れそう忘れてます忘れたいであった数日間でしたが、noteどころかSNSを全く熟さないスタッフのマルくんが突然「フフ、noteは影響あるんですよ」とか言い出したので書く。 ビリー・アイリッシュはすごく普通の子だと思うけど、だからあれだけ支持されているわけで、だから普通の子なわけで、だから僕はビリー・アイリッシュを認めません。例えばウチの近くの原宿や青山のファッションやカルチャーしかもストリート寄りというかアンダーグラウ

noteを始めるにあたって

新藤晴一 ポルノグラフィティ                    ギタリスト      作詞作曲 作家 脚本 noteを始めるときは、その所信を表明しておくのがここのマナーらしく。僕もそれにならって。 といっても、常々、クリエーターでいたいと思っている僕が、「個人のクリエイターが自分のメディアとしてコンテンツを発表するためのプラットホームです」というnoteにたどり着くのはまあ自然のことかなあと。東横線に乗ってたら、渋谷駅に着くくらい自分にとっては自然なことかなあと。

32歳の僕が吉田拓郎に魅了されてしまう理由を示すおすすめ10曲

僕はこのまま、吉田拓郎について無言を貫いたまま、死んでいきたくない。 吉田拓郎を好きな理由をネットの海に投げ込んでおきたいと思う。 僕はビートルズが大好きで、他にもAerosmithとかMR.BIGとか日本でも人気のある王道のロックバンドが好き。あとB'zも大好きだ。別に特別「音楽マニア」というわけでもないと思うし、ビートルズがベースにあるので、ふんわりと古めのロックが好き。普通の32歳。 今あげたバンドたちは非常におすすめしやすいし、そもそもわざわざおすすめしなくても

平手友梨奈を語るとき、僕は無傷でいられなかった(それは当然の話)。

平手友梨奈さんが欅坂46からの脱退を発表しました。 アイドルの世界ではグループからの脱退を“卒業“と表現するのが一般的なマナーとなっていますが、今回は平手友梨奈さん本人の意思によるり“脱退”と発表されたそうです。 彼女は脱退発表当日、ラジオ番組で脱退について「(理由を)今はお話したいと思わないので、いつか自分が話したいと思ったときにどこかの機会があればお話しさせていただこうかなと思っております」と多くを語らなかったので、真相は分かりません。しかし、この”脱退”という表現に

評伝 『ECDEAD あるラッパーの生と死』第1回 「あるリスナーの回想(前書きにかえて)」 磯部 涼

2018年1月に57歳で他界したラッパー、ECD。私小説家でもあり社会運動家でもあった彼の生涯を、『ルポ 川崎』が注目を集めたライター・磯部涼が描く。2000年代初頭からECDと親交を深め、併走してきた著者にしか描けない画期的評伝! その夜、ダンスフロアで  ECDについて考えると思い出す光景がある。  高速道路の高架に空を覆われた通りの、雑居ビルの地下にある小さなクラブ。薄暗い店内はふたつのスペースに仕切られていて、左半分がバー、右半分がダンスフロアになっている。平日の深

全アーティストのための音楽ストリーミング基礎講座

これからのストリーミング時代に向けて、いますぐできることをまとめました。必ず抑えておいてほしいことと考え方です。 インディーアーティストで自分で楽曲を配信しているアーティストの方、メジャーレーベルと呼ばれる大手レーベルのアーティストの方問わず参考になればと。 ストリーミングに関しては今後主戦場になるので、早めにファンベースを築き上げるのが最良の選択となります。ストリーミングは積み上げ型のビジネスですので。 Apple Music、LINE MUSIC、Spotify、Yo