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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2019年2月の記事一覧

STUDY:シティポップとは何だったのか?第1回

インド渡航を明日に控えた人のnoteではないのは分かっている。 インドに行って何かを喪失しそうな、もう以前の自分に帰れないような気がしてならなかったので、以前の自分がずっと考えてきたテーマを完結させてやろうじゃないかと、この一週間ひたすら机に向かって書き上げた文章。シティポップー。その言葉にとらわれてきた半年間、これを書くことで、自分の中のブームを終結させようとしていた、が…より悪化してしまったのは言うまでもない。ということで、この一週間の短期研究の成果をここに提示したいと

Bluefaceはなぜヒットした?

今回のBluefaceのヒットはどう受け取ればいいのだろうか? クールなラッパーが現れたと取るか、つまらないフェイクが現れたと取るか。意見は別れるところである。 2018年が終わりに差し掛かるとBluefaceという1人のラッパーが急にスターダムを駆け上がっていった。しかしこのヒットの構造は今までにない、かなり奇妙なものであったと感じる。 まだラップを初めて1年ほどと語っている通り、彼のラップスキルは疑問点が多い。完全にビートから切り離されたラップは、ビートとマッチしてい

KID FRESINOと言うアーティストの好きなところ

3回目の投稿になりますが、本日は大好きなアーティストについて紹介したいと思います。 まず初めに、noteでは有りませんが大好きな書き手を最初に紹介したいと思います。Pto6(ぴーとろっく)さんです! https://twitter.com/utttk http://pto6hiphop.blog.fc2.com/ こちらの方ブログをみて、幅広く深くいろんな曲、バトルを聞くことが出来ています。hiphopを全く聞いたことない方はこちらのブログを参考に聞いてみると面白くが聞けると

集まりと再現性──Tohjiくんに触発されて

ポコラヂについて ポコラヂは「Red Bull Studios Tokyo」を拠点に、2015年末から始めたインターネットラジオ。レギュラーメンバーはマルチネのtomad、トラックメーカー/DJのMiii、レトリカの松本と僕。その後フォトグラファーのJun Yokoyama(ジュンさん)が合流し、毎回ゲストを呼びつつ月イチで放送している。途中から放送スペースをジュンさんと僕で運営する「リアルハウス」に移し、さらに手作り感を増しつつお届け中。 ポコラヂそのものの歴史や内容など

GRAPEVINEを“科学”する-vol.3 第1フェーズ:他者との関係の構築-

だいぶ期間が開いてしまいましたが、田中さんの歌詞を分析していきます。テキストマイニングツールの説明については、こちらの回をご覧ください。 +++ 第1フェーズ テーマ:他者との関係の構築 作 品:『覚醒』(1997)~『イデアの水槽』(2003) 【ワードクラウド】 「君」「わかる」が中央に大きく表示されている。この2つのワードは全体のデータで見たときと同じ位置にある。 じゃあ、「君」のことが「わかる」のかと言えばそうではない。「わかる」は、主語によってこのように分

ドラムマシンと音楽ジャンルの関係性と考察 前編 (黎明期~TR-808の登場まで)

何故自分はドラムマシンを集めだしたのかのきっかけの一つに、聴いてきた音楽の中に多くの特徴的なドラムマシンの音が存在していたという事があります。 気になるドラム音があるとそのミュージシャンがどのマシンを使っているかなどを調べていた時期がありました。 ドラムマシンが数々の音楽ジャンルを生み出した!って、そんな大げさな事は思いませんし、実際そのジャンルのオリジネーターが偶然そのマシンを用いて音楽を作り始めただけって事もあるので声高に言える事では無いかなとは考えています...がしか

なぜ自分はドラムマシンを集めだしたのか?。何故、未だにハードウェアなのか?。

現在50台を超えるハードウェアドラムマシンを保有していますが、なぜこんな数を集めるようになったのか、なぜハマったのかを書き残しておきたいと思います。 まず、最初にドラムマシンというモノの存在を知ったのがちょうど1990年ぐらいの高校生の頃。ちょっと前から電子音楽を聴き始め、ダンスミュージック特にテクノに興味持ち出した頃で自分でシンセで音作りし始めた時です。 当時はまだ気軽に買えるドラムマシンなどなく、ドラム音は当時持っていたPC(FM TOWNS)の内蔵のPCM音源を使っ

田中和将2万字インタビューまとめ(後編)

前回、田中さんがGRAPEVINEに出会うまでの来歴をまとめた。今回は、GRAPEVINEのメンバー募集の貼り紙を見つけるところから。 +++ 「ちょっと黒い音を入れつつ、オリジナル・ロックをやりたい。当方、スライ、ニール・ヤング好き」――。 その貼り紙を見た田中さんは電話をかける。相手は当然、ダーリーこと西原誠だ。声の印象は「低音でバフバフ(笑)」ながらも、温かい感じだったため「いい人や!」と決め込んだそうだ。 ここからは、『ROADSIDE PROPHET』リリー

GRAPEVINEを“科学”する-vol.2 全体のデータ-

今回は、テキストマイニングツールの解説を含め、GRAPEVINEの歌詞全体のデータ解析してみたい。 今回、対象となる作品は、前回の記事で紹介した1stミニアルバム『覚醒』~16thアルバム『ALL THE LIGHT』の作品。そして、『OUTCAST~B-SIDES+RARITIES~』以降のシングルのカップリング曲だ。220曲以上はある。ただし、ここには“青い魚”(作詞:金延幸子)、“窓”(作詞:西原誠)は含まない。あくまで田中さんが手がけた歌詞とする。 これを、テキス

GRAPEVINEを“科学”する-vol.1 フェーズ分け-

今回は、GRAPEVINEの作品をフェーズ分けしていこうと思う。 バンド結成は1993年。その4年後、1997年にメジャーデビュー。キャリアとしては、今年で22年目になるベテランバンドだ。これまでリリースしてきた主な作品は以下の通り。 1997/09/19  1stミニアルバム『覚醒』 1998/05/20  1stアルバム『退屈の花』 1999/05/01  2ndアルバム『Lifetime』 2000/03/15  3rdアルバム『Here』 2001/08/01  

田中和将2万字インタビューまとめ(前編)

田中和将という人間の人となりを知りたい――と思ったときに、これを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。『ROCKIN'ON JAPAN』(1999年12月号)である。 表紙巻頭は、田中さんの2万字インタビューだ。いわゆるライフヒストリー・インタビューである。出生地、生年月日、初めての記憶に始まり、学生時代、バンド結成、そして現在までを赤裸々に語っている。 今でこそアルバムが出てもインタビューは6ページほどしか割いてもらえないGRAPEVINEだが、当時は大ブレイ

『Future Pop』はPerfumeの未来を照らすことができたのか?(五百蔵さんとの振り返り①)

2/23の上海公演から過去最大規模の海外ツアーが始まったPerfume。 そしてその流れでコーチェラという大舞台が控えています。 進んでいるようで狙い通りの成果が出ているというわけでもなさそうなPerfumeの海外展開。今回の一連の動きで何らかのきっかけを掴んでほしいと心から願っているところです。 さて、昨年のPerfumeは、アルバム『Future Pop』のリリースを筆頭に、年間を通じて精力的な活動が目立ちました。年が明けてから少し時間が経ってしまいましたが、今回か

「音楽は何も救えない」からの復活:岡城千歳「坂本龍一ピアノワークス3」がもたらす癒やし

このところ、ピアニスト岡城千歳の「坂本龍一ピアノワークス3」を繰り返し聴いている。こういう音楽を聴いていると、音楽は言葉にならない世界を扱っているから音楽なんだ、という当たり前のことを考えてしまう。 それでもあえて言葉にすると「癒やし」の音楽といえるかもしれない。といってもイージーリスニングとか、J-POPのオルゴール版みたいなゆるいものではない。たとえば、宮崎駿監督の映画「風の谷のナウシカ」のあるシーンを思い出すようなアルバムだ。 魔のスクリャービン沼に引き込まれる岡城

Spotifyで話題のkolmeとリミックスでコラボした、制作者的セルフライナーノーツ。

2月22日(金)、現在10代〜20代を中心にSpotifyで話題となっている女性3人組ユニット「kolme」さんと、リミックスという形でコラボレーションを果たしました。 彼女たちは作詞作曲に止まらず、ダンスも自分たちで考えて表現活動を行う非常にアクティブなユニット。22歳のメンバーの皆さんが、ステージで表現する姿に心を打たれ、今作のアイデアにも大きく影響を受けました。 そして、楽曲はこちら。彼女たちの2018年リリースシングル「Hello No Buddy」を、Spoti