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#音楽 記事まとめ

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楽曲のレビューやおすすめのミュージシャン、音楽業界の考察など、音楽にまつわる記事をまとめていきます。
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2018年11月の記事一覧

J・マスキス インタビュー

近年は、ダイナソーJr.と交互にソロ名義のアルバムをコンスタントに発表するようになっているJ・マスキス。当初はアコースティック弾き語り色が強かったが、3作目『Elastic Days』では、自らベースやドラムを重ねて、基本線は同じながらも、よりバンドっぽいサウンドになってきた。今後はソロ作品も、ダイナソーと同じくらい、彼の創作活動において大きなウェイトを占めていくことになるような予感がする。 とはいえ、例のキャラは不変なので、メールによるインタビューでは予想通り、だいたい以下

モノラルの音楽プレーヤーをデザインした理由、そして音楽の未来

主に一側性難聴者をターゲットにしたモノラルミュージックプレーヤーアプリ「New Monaural」を今月にリリースしました。ステレオの楽曲をヘッドフォンの片側だけで聴いたとき、一般的なモノラルとは違うサウンドで音楽が楽しめるようにデザインされたものです。 クライアントワークと並行しながら個人プロジェクトとしてずっと進めてきたのですが、初期の企画から完成までに3年もかかってしまいました。長過ぎですね。 設計や開発はもちろん、「なぜモノラル再生なのか」「本当にそんなものが必要

音の揺らぎでそこはユートピアになる。

 少し前まで、「宇宙コンビニ」というバンドが京都にあった。このバンド名はふたつに分割することができる。すなわち、宇宙とコンビニのふたつだ。宇宙はこのバンドの壮大さを、コンビニはこのバンドの身近さを、それぞれ表現している。このバンドはよく、「マスロック」と「ポップ」を融合させたと言われてたのだが、まさに「宇宙コンビニ」というバンド名はこのふたつの要素をよく表していたのだとおもう。  この「宇宙コンビニ」というバンド、今は解散してしまいもう存在していない。解散の理由はメンバー間

フェスアプリのデザイン - 日本のフェス編

冬。それは抑鬱の季節。ここで一発ぶりひさのnote決めるで...。 UIディッザイナッのわたしは国内外のフェスにちょくちょく行きます。そういうときに気になるのが、そのフェスのアプリ。海外フェスはオフィシャルでアプリがリリースされているものが多く、これが結構便利なのです。この間の香港Clokenflapもアプリに結構助けられた。 今回は、日本のフェスはどうだったかなと思って調べた結果を簡単にまとめます。 もくじ - ROCK IN JAPAN FESTIVAL - Jフェ

Steven Stapletonが日本の音楽を(少しだけ)耳にした + Voice Recordsのこと

 前回の最後に書いたように、今回は筆者が2018年10月にSteven Stapleton(NURSE WITH WOUND)の自宅を訪ねた際、持参した日本の音楽を一緒に聴いた時のことを記す。場所はSteveの工房、馬小屋の隣にある小さな家屋。ライヴ時の物販スペースで売る予定のCDをパッケージする作業時のBGMとして流した。用意したものの半分ほどしか流せなかったほか、彼の感想も録音していなかったので、メモ程度のものであるとご容赦ください。 また、後半は彼が過去に集めていた日本

運命の黒い糸 掴めたらいいな

『運命の黒い糸』 「なにか気づかない?」 会っていきなり 僕に出された小テスト ふふふって 君はいたずらっぽくはにかむ 新しいスカート?ピアス?もしかして髪? 目が合ってドキッ めっちゃかわいいな すぐ 答えられる人 過去いたのかもって ああ ちょっとだけ センチメンタル 運命の黒い糸 掴めたらいいな たった数センチ 気づきたいんだ 答えひとつで 未来変わるかもって 美しい君に 僕の気持ちはからまる 「前髪でしょ」って僕が言ったら 「考え過ぎ」って君が笑う 運命の黒い糸 掴みたい 掴めたらいいな 作詞 : 阿部広太郎 作曲:優佳 イラスト : 安達翼

fragment

11.14 BEST ALBUM "fragment"  無事リリースしました。 手に取ってくれた人も、何かしらのかたちで聴いてくれた人も、どうもありがとう。集大成を発売できるまでに、曲を出してこれたこと、活動をしてこれたこと、純粋にうれしいです。 ありがとう、ありがとう。そればかりです。 今年でメジャーデビューして5年。そんなおめでたい年なのだけれど、まず触れておきたいことがひとつ。この春、今までお世話になってきた事務所を離れるという発表をしました。いつも応援してく

グラスゴーの男女デュオKELORAは新しいケルト音楽を称するエレクトロポップ。

KELORAはグラスゴーのキティ・ホールとベネディクト・ソルターによる男女デュオです。彼らは自分たちの音楽をfuture medievalやnu celticと言った表現で表しています。アイスランドのエレクトロシーンやフォークトロニカといった音楽との共通点も感じます。また同じくケルト音楽を現代にアレンジしているアイルランドのエンヤの音楽性に通じる部分を感じるのもケルト音楽のエッセンスを昇華している一点なのでしょう。各音色のアンサンブルが美しく、そこに乗ってくる教会音楽のような

ポーランドジャズライター、ポーランドのジャズミュージシャンに曲を捧げられる

僕の肩書のひとつは「音楽ライター」なのですが、専門はポーランドのジャズです。 肩書と言うからにはいちおう「仕事」なわけですが、これまでほとんど誰もやってこなかった分野なので、「案内人」としての義務も感じていますし、加えて「いいものを人に薦める」ことへの充実感みたいなものもあります。 実はそんなにジャズというジャンルが特別に好きというわけではない僕にとって、ポーランドのジャズはまったく新しい扉を開いてくれるものでした。この国のジャズは、なんか違うんですよ。 そんな僕にとっ

アントニオ・ロウレイロ『リーヴリ』 公開ライナーノーツ② 文:原雅明

ブラジル最注目のシンガーソングライター/マルチ奏者、アントニオ・ロウレイロが、2018年10月に6年ぶりとなるスタジオ録音作『リーヴリ』をNRTより発表しました。 本稿では、CD・LPの購入特典であることが常の解説文を「公開ライナーノーツ」と題して試験的にリリースしていく試みです。第二弾の原稿を音楽ジャーナリストの原雅明氏にお願いしました。 ※『リーヴリ』公開ライナーノーツ① 文:高橋健太郎 ※『リーヴリ』公開ライナーノーツ② 文:原雅明 これからの音楽についての、さまざ

ニューミュージックという呼び方

ニューミュージックについて調べていたら、同時期に同じように調べている人を見かけた。人の行動というのは偶然重なるものだ。せっかくなのでメモを書き留めておくことにした。オチはない。 前衛ジャズとしてのニューミュージック 植草甚一の『ジャズの前衛と黒人たち』(1967年5月10日発行)は、植草がジャズ専門誌『スウィング・ジャーナル』で書いていたコラムをまとめた本だ。そこに掲載されているテキストを二つ紹介したい。 一つめ。「ESPグループの内部の声を聴いてみよう」。このコラムには

¥100

あいみょんがブレイクするまでの検索数をまとめてみた

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Puma Blue「Blood Loss」

 生々しい傷跡を晒し、華奢な体を震わせながら涙する1人の男が目に浮かぶ。「愛の儚さと、手がかりを見つけようと頭にある思い出をひっくり返していることについて書いてる」という“Midnight Blue”が収められたその作品は、いまにも横溢しそうな哀愁で私たちの心をかきむしる。その哀愁を纏うのは、ドン・バイアスのサックスに影響を受けたスウィートなヴォーカルだ。呼気が聞こえてきそうなほどの親密さを漂わせ、まるで流麗なフィギュアスケーターの滑りみたいに、聴き手の心に入りこむ。

Twenty One Pilots「Trench」を共に作り上げた第三のメンバーの正体

こんばんは、更新サボり気味なナカジです。 ここのところBROCKHAMPTONの事ばかり書いてましたが、今日は久しぶりに別のアーティストのことを書きます。 2018年10月5日、Twenty One Pilotsが待望の3rdアルバム「Trench」をリリースしました。 もうお聴きになった方はどんな感想を持たれたでしょうか。 私が一周聴き終わって真っ先に思ったことは これ3分の1くらいMutemathの新作じゃんね??? ということです。 何を隠そう、「Trench