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    歌う日々のあれこれ。

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    10th Anniversary Come Back Home 2023

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    そのまんま。おふ。

最近の記事

泣いていた町、燃えつづけた森

いつかは終わってしまう。この命も、この世界も。 今まさに世界が終わりに向かっているのか、それともわたしたちの想像を越えるような未来が待っているのか。一体どこへ向かっているんだろうか。 そう思えば思うほど、ただ歌っていられる喜びを日々噛み締めています。 ようやく秋めいてきた旅の空。 9月、少しずつ復旧復興へと進んでいた能登の町が、豪雨災害によってまたひどく傷ついてしまいました。 地元の人たちも、支援活動を続ける仲間たちも、さすがに心が折れていると聞いています。また降り出

    • 八月のふるさと、能登のおと

      なかなか日本から離れてくれなかった台風10号。今は形を変えて、わたしの町は降ったり止んだり、不安定な空模様。みんなは無事ですか。みんなの町はどんな空模様ですか。少しでも早く、心休まる日常を取り戻せますように。 まだまだ暑い日が続くけれど、夏の思い出と一緒に暑中見舞いとさせてください。 8月11日は郡山Hip Shot Japanにて風の吹くまま郡山編を開催。11周年記念の意味合いも込めて、たいせつな家族や仲間、友達を呼んで、心あたたかな一日になりました。福島からいつも応援

      • ただ笑っていて | セルフライナーノーツ

        Redemption 最後のセルフライナーノーツ。 「ただ笑っていて」 曲を作っている時、自分が紡いだメロディと言葉に涙が溢れ出すことが稀にあります。モヤモヤの奥にある核心に触れて、湧いてきた感情の真意に気づいて、ほんとうの声が生まれる。わたしにとってそれは私自身を救う瞬間。「ただ笑っていて」この曲もそうです。 幼い頃、父が何に苦しんで怒っているのか、母が何に悲しんで泣いているのか、わたしにはまだ理解できなくて、部屋が悲しみと怒りで充満するたびに、不安な気持ちでいっぱい

        • Redemption リリースツアー / FINAL 日比谷野外音楽堂

          4月20日 日比谷野音ワンマンを終え、Redemptionリリースツアー、無事完走。 このツアーにご参加いただいたみなさま、全国から野音に駆けつけてくださったみなさま、改めてどうもありがとうございました!! わたしの核心に一歩踏み込んで作ったアルバム、Redemption 各地でこのアルバムの歌を歌うたび、そこに住む人たちの日常やその時の社会情勢と重なって、何か大切なことを伝えなくちゃという想いに駆られました。閃くままに伝えることが出来た時も、全然上手く伝えられない時も、

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        • あの日のこと、あの町のこと
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        記事

          いつの日か | セルフライナーノーツ

          「いつの日か」 この歌を歌いながら心に描く景色がいくつもあります。 たとえば東北沿岸の町、おじいちゃんの畑と子供たち、三陸鉄道や南阿蘇鉄道、球磨川の鯉のぼり… あげたらキリがないほど。 ここでは福島の景色を。 震災から2年経った福島沿岸の町。復旧や復興にはまだ程遠く、まさに心を砕きながらそれぞれが頑張っている最中でした。海沿いの線路は津波の被害で、国道6号線は原発事故の影響で、開通の目処はたっていませんでした。 富岡町の住宅地には帰宅困難区域のフェンスやバリケードが張

          いつの日か | セルフライナーノーツ

          不幸自慢 | セルフライナーノーツ

          「不幸自慢」 男と女のずるさと弱さが交錯し、昭和歌謡の雰囲気が漂う歌。 お互いを知り尽くして、付き合いたてのようなときめきや甘さはもうなくて。あるのは慣れ、倦怠感。 そばにいられるだけで幸せだと頭ではわかってはいても、あともう一歩先の幸せを求める女心。その一方で、将来の話を持ちかけても煮え切らない彼の反応。 夢を語る少年のように自由気ままな彼の言動に、時折呆れながらも、自分にしか見せない弱さに安心して、つい甘やかしてしまう彼女。惚れたわたしが悪いんだけどね〜、と憂いと惚気

          不幸自慢 | セルフライナーノーツ

          そんな神様がいるもんか | セルフライナーノーツ

          「そんな神様がいるもんか」 2022年7月。安倍さんの銃撃事件。 あまりにも悲痛な、目を疑うような出来事。 どんなに恨みを抱いていても、奪っていい命なんてない。 SNSやニュース番組では、事件に胸を痛める声、批判の声が溢れ返っていました。 そして、山上容疑者が犯行に至った動機が明るみになったとたん、状況は一変。とある宗教団体と政治家の癒着問題が浮き上がってきました。一国の元総理を暗殺するまでに彼を追い込んだのは、親が信仰している宗教団体への恨み。母親の高額献金によって破産

          そんな神様がいるもんか | セルフライナーノーツ

          Wild Planet | セルフライナーノーツ

          「Wild Planet」 時々、自然の中に身を置いて、童心に帰りたくなる。 葉っぱや木の実、まつぼっくり、花の色や雲の形、働き蟻の行列、樹液に集まる虫たち。子供の頃は、自然界と混ざり合うことを無条件に許されているのか、いつまでも遊んでいられました。 ポケットがいっぱいになるまでどんぐりを拾い集めたり、おたまじゃくしが泳ぐみずたまりを覗き込んだり、緑のトンネルを潜って、森の奥へと探検したり。まるでとなりのトトロのメイちゃんみたいに。 好奇心を広げて、想像力を自由に羽ばたかせ

          Wild Planet | セルフライナーノーツ

          密かな幸せ | セルフライナーノーツ

          「密かな幸せ」 幸せを歌ってみようと思いました。 けれど、わたしにとっての幸せってなんだろう? 一等地に豪邸、高級車を乗り回して、欲しいものはなんでも手に入る幸せ? 風呂無しのボロボロなアパートで、お金はなくても誰かと笑っている幸せ? 新宿の路上に段ボールを敷いて仰向けになっているホームレス。よく見ると、耳にはイヤフォンがついていて、まっすぐな目で空を眺めている。今わたしに見られていることも、通り過ぎていく雑踏も、何ひとつ気にすることなく平然と。 都会の喧騒のなかで、好

          密かな幸せ | セルフライナーノーツ

          ロックバンドがやってきた | セルフライナーノーツ

          「ロックバンドがやってきた」 東日本大震災が起きて間もなく、わたしの町には、傷ついたあの町には、全国からたくさんの人が支援に駆けつけました。 年中ライブツアーをし、全国の仲間たちとの繋がりを持つロックバンドは、東北の音楽仲間の安否と現地の状況を聞きつけて、真っ先に動き出しました。空っぽの機材車に、支援物資を詰め込んで、津波の被害を受けた東北沿岸の町へ。ライフラインが戻れば、次は音楽で元気づけるために。偽善、売名と叩かれても、何度も、何度でも。 そして2012年、津波の被害

          ロックバンドがやってきた | セルフライナーノーツ

          Tom Waits | セルフライナーノーツ

          「Tom Waits」 トムウェイツと言えば、古びたバー、ジャズピアノ、酒焼けしたような声、吸い殻でいっぱいの灰皿。 それから、映画「コーヒー&シガレッツ」のワンシーン。 禁煙中のトムウェイツとイギーポップの永遠に噛み合わない会話。ふたり煙草をふかすと、それまでのぎこちない空気がほぐれて、ほんの数秒わかりあう。ひとりになって至福の一服を楽しむトムウェイツが、可笑しいというか可愛らしいというか。そしてなんでだろう。おもむろに煙草を取り出して、ぼんやり煙をふかす姿に、憂いや色気

          Tom Waits | セルフライナーノーツ

          Blah Blah Blah | セルフライナーノーツ

          「Blah Blah Blah」 アルバムの中でも一番新しくて、そして難産だった曲です。 おおはたさんに弾いてもらったギターリフに切迫感や怒りのパワーを感じて、わたしの心には"気候危機"という難題が浮かんできました。聴く人によっては政治批判ともとれるこの内容を形にしたところで、世に出していいものか?畳みかけるような言葉の羅列を、書いては消してを繰り返して、何度も何度も見つめ直しました。 レコーディングでは勢いに任せて、ピッチやリズムのズレはほとんど直さず、荒々しいまま曲が

          Blah Blah Blah | セルフライナーノーツ

          風の吹くまま | セルフライナーノーツ

          ここからは順不同に書いていこうと思います。 今日は「風の吹くまま」 都内一人暮らしの夜ご飯。自炊したとしてもどこか味気ない。バラエティやドラマでまぎらわしてもこころの隙間は埋まらない。そう感じていた20代後半のわたしには楽しみな日課がありました。 それは"男はつらいよ"を見ながら夜ご飯を食べること。昭和の下町人情に心が和むからか、旅先の日本の原風景に魅せられるからか、見ているとあたたかい気持ちに心が帰っていくのです。 寅ちゃん、今頃どうしてるかね〜?旅に出かけたまま帰って

          風の吹くまま | セルフライナーノーツ

          予兆 | セルフライナーノーツ

          アルバム「Redemption」のセルフライナーノーツをはじめます。 1曲1曲に込めた気持ち。ちょっとした制作秘話など。 まずは、「予兆」 この曲は7年も前に作って、当時はリリースには至らず、密かに自分の中であたためていた曲です。 いつだか大自然のいろんな色をこの目で見てみたいと思い立って、北海道の知床へひとり旅をしていた時のこと。計画も立てず無鉄砲に来たおかげで、なんと台風が直撃。しばらく屋外はどこにも行けずに、網走監獄や博物館や、やたらと屋内観光ばかりをしていました

          予兆 | セルフライナーノーツ

          わたしにとっての

          こんにちは〜。年明けから名古屋、京都、徳島、神戸、岡山、松山、高知、今は高松。ツアーもようやく折り返し。 あたらしい曲たちが身体に馴染んで、少しずつ自由になっていくのを日々感じています。今いる町や出会う人たち、世の中の動きに影響されて、今日のわたしはどの曲で何を伝えたい?今日をどんな日にしたい?と、答えが明確な日も、わからない日も、ただただ自然に湧いてきた気持ちを歌に乗せています。シンプルに、ライブで歌うのがどんどん楽しくなっている!しあわせです。 お越しのみなさま、来てくれ

          わたしにとっての

          2024

          まずはじめに。年明けに起きた能登半島地震。やるせない気持ちです。 お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りいたします。被災された方々、救援や救護に携わる方々の安全と健康を心から願っています。 行動に移せる機会を探りながら、微力でも自分に出来ることを考えています。一刻でも早く復旧が進みますように。少しずつでも平穏な日常を取り戻せますように。どうか、悲しいだけじゃない、優しさで溢れた一年になりますように。2024年のあなたがどこかでちゃんと笑っていますように。 明日から再開する