【読書論】行間を読みたい。
幕末の名著「言志四録」に学ぶ
東洋の生き方学 No.12
言志録 第十二条
『行間を読む』
読書をするとき、文字に囚われてはいけない。
文字に囚われては、
頭の中で無意識のうちに取捨選択が始まる。
"良いとこ取り"の読書は、
未知なる世界へ私を誘わない。
"良いとこ取り"の読書は、
知の世界での停滞を招く。
"この本から何を得たいのか?"
書に向かう前からそんなことを考えていたら、
どの書を読んでも、
得られるものは、自分が得たいと思っているものだけになる。
実用書やハウツー本と呼ばれる書物を読むならば、
その姿勢は非常に大事かと想う。
しかし、自己の生命を躍動させる読書を志ならば、
理性を棄て、知識を棄てそして書と向き合わねばならない。
人間の思考/脳の機能、
自分の理解できること、共感できるもののみに
価値を感じるようになっている。
逆を言えば、
人間の思考は自分の理解できないものには
価値を感じないようにできている。
故に、理性を超えた読書をすることが、
未知なる世界へと私を誘い、
結果として、真に"役に立つ"読書になりうると考えている。
だから、文字に囚われてはいけない。
文字に囚われず
自分の中にその総てを受け容れるつもりで向き合わなければ、
真の読書とは言えない。
行間を読むとは
損得勘定を捨てる読書である。
行間を読むとは
自分と向き合い、作者と向き合い
己の憧れと向き合う読書である。
文字に囚われてはいけない。
文字にならない
自己の理解を超えた偉大な精神と繋がるのだ。
言志録 佐藤一斎著 第十二条 引用
【原文】
三代以上の意思を以て、三代以上の文字を読め。
【訳文】
三代以上の見識を持って、三代当時の文字を読む。即ち、そこに記されていない宇宙の大精神を読み取れ。
※三代:夏・殷・周
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