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内村航平さん 引退会見 代表質問の質疑応答のすべて
2022年1月14日、内村航平さんが現役引退会見を開きました。
その中で代表質問の質疑応答のすべてです。
私の中では会見やインタビユーの言葉ってすごく大事に思っています。それは雑誌や記事は要約して載っているのでインパクトのあるキーワードが載りがちですが、その前後の言葉を略していると本当の意味が違って見えたりしてしまうからです。
本人の言葉を全て聞くと、本当の真意がわかります。少し長い記事になりますが、自叙伝のような小説だと思ってご覧ください。
誤字があったらすいません。では
内村航平さん:
皆さん、本日は私の引退会見にお集まりいただきありがとうございます。
そして、新年あけましておめでとうございます。
特に、なんかその、引退会見ということで、特別な感はそこまでなくてですね。
ただただ、あぁ〜、引退するんだなぁって感じで、実感は今のところないです。
思い返すと3歳から好きで体操始めて、1/3で33歳になって、体操歴も30年になって、30年中16年間、ナショナル強化選手として活動させていただきました。
人生の半分以上を日の丸を背負ってやってこれたというのは、誇りでありますし、今後自分が何をやっていくにしても、自信を持っていろんな事を発言していけるんじゃないかなと思ってます。
こうして今日、引退会見ということで、いつ決めたかと言うのは、まぁ
オリンピックが終わって、次の世界選手権、北九州の世界選手権に向かう道中、練習していく中で、まぁ、ちょっとしんどすぎたといいますか、このままではちょっと先が見えないなというのを感じて、世界選手権の前にはもうこれが最後かなという感じで…世界選手権に挑みました。
だから、まぁ本当に最後の最後は決勝に進んで、着地を決めて終わりたいという気持ちで演技をして、それをやり切れたので。
まぁ、結果は伴いませんでしたけども、下の世代の選手たちにも『これが体操だ』『本物の着地だ』というものを、僕らしいところを最後見せられたと思うので、まぁ、そこは良かったかなと思っています。
なんか最初に5、6分喋ってくださいって言われてるんですけど、僕としては質問されて答える方が得意なので、実際いま何を喋っていいかわかってないんですけど。
今日、引退会見をやってますけど、本来の引退は3/12なんです。
というのも3/12に最後の舞台というのを東京体育館でやりたいと思っていて、まぁ、そこで最後この全身痛い体に鞭を打って、六種目やろうかなと思っています。
どういう形でやるかは今後しっかり打ち合わせをして、他の選手も呼びたいなと思っているので、そういった中で自分の最後、しっかり見ていただいて、最後にしようかなと思っています。
なので、最後に六種目やるということで、東京オリンピックの代表になるより苦しい事をやらないといけないのかと。ちょっと憂鬱になってますけど。
そこまではしっかりやりきりたいなぁというふうに思っています。
こんぐらいで大丈夫ですかね?
じゃあ、あとは質問で答えていきますので、よろしくお願いします。
Q:いまのお話の最中、笑顔が多かったと思いましたが、私自身競技人生を振り返った時に、とてもスッキリした気分で引退会見をすることができたんですが、内村さんの今の実際の気分というのはどのようなものでしょうか?
A:実際よくわかってないです。あんまり辞めたいと思ってないというか、やれるならいつまででもやりたいと思っていたので。
まぁ、でもやっぱり、世界選手権に向かうまでで、ちょっと今後は本気で選手としてやっていくのは厳しいなと感じたので、まぁ、引退という決断をしたんですけど、僕の中では、そこまで重くも、そしてスッキリとも捉えていないというか。
まだ3月までやるというのがあるので、今こういう心境なのかもしれないですけど、世界選手権に向かうまでは、結構これが最後なのかなぁという気持ちではありましたね。
本当に実際、よくわかってないのが今一番の心境です。
Q:改めて30年の体操人生を振り返ってどんな競技人生でしたか?
A:実績だけ見ると、結果はかなり残せたかなと思うんですけど、実際いま振り返ると、まだまだやれたなぁ、あの時、あぁしとけば良かったなというのも凄く思うので。
本当に自分の競技人生に満足出来ているかっていうと、そうではないかなと思いますね。
まだまだあの時もっとやれただろうっていうのがすごく思います。
Q:いま感謝を伝えたい方はどなたでしょう?
A:いまは、うーん。いろんな方がいますけど。
その中でってなるとやっぱりコーチの佐藤ですかね。
Q:どういう思いを伝えたいですか?
A:この5年間一緒にマンツーマンでやってきて、かなり迷惑もかけたし、ほんとは最後、オリンピックで金メダルかけてあげたいなって気持ちがあったんですけど、それが出来なくてちょっと残念だったなっていう気持ちもあるし。
ただ、2人で体操を研究してきたっていう、一緒に練習してきたコーチと選手という関係ではなく、同じ立場というか、本当に研究する立場という感じでやってこれたし、この場で、少しの時間で語り尽くせないぐらい濃い時間を共に過ごしてきたので。
いまここに立ってるのも彼のおかげかなと、本当に素直に心から思っているので、本当にそう感じてます。
Q:ご自身の体操の中でもっともこだわってきたもの。そして、誇れるものはなんでしょうか?
A:着地です。これまで個人総合で散々優勝してきた中でも、やっぱり鉄棒の着地…全種目ですね、そこはこだわって世界チャンピオンとしてオリンピックチャンピオンとして着地を止めるというのは当たり前のことだと思ってやってきたので。
現役選手として最後の舞台になった世界選手権の最後も、どういう演技でもいいので着地は絶対に止めてやろうという気持ちでやれたので、そこは自分がこだわりを持ってやってきたのと、本当に最後の意地を見せられたという思いがあるので。
もちろん美しく見せるとか、他の選手と同じ技でも違うような動きにみせたりというのももちろんあるんですけど…まぁ、やっぱり着地を止めてるという印象を皆さんお持ちだと思うし、僕自身もそこを本当に追い求めてやってきたので、そこかなと思います。
Q:これまでの体操人生の中で最も熱く盛り上がった瞬間はいつの演技になるでしょうか?またその理由も教えてください。
A:2つあります。
2011年、東京でやった世界選手権。個人総合決勝、全六種目と
リオオリンピックの個人総合の鉄棒ですね。
それは今でも感覚とか見た視界とかが記憶に残ってて、
2011年の世界選手権はもう、今まで感じたことないぐらいのZONEを感じて、朝起きる2、3分前、もうすぐ目覚めるなみたいな感覚あるじゃないですか?それくらいから、「あぁ、今日は何をやっても上手くいく」っていう感覚で目覚めて、試合が終わるまで全て自分の思い通りにいったっていう感覚があって、あれはもう一生出せないっていうのをそこでもうこれは一生でないなって感じたし、ここまで自分の思い通りにいくっていうのはもうないっていうぐらい凄い日でした。
あとリオオリンピックの鉄棒に関しては、あれだけの点差を逆転できたっていうのもそうなんですけど、オリンピックの体操の歴史にも残す、残せる激闘をオレグ選手とあのオリンピックの会場を2人で支配できたっていう雰囲気を感じれたのが、凄く記憶に残っているので、その二つは絶対にもう今後味わえないだろうなっていうのをそこで感じてましたね。
Q:3/12の引退試合をご自身でやろうと思った理由を教えていただけますでしょうか?
A:元々は2年前の3月に自分の名前の試合をやろうとして、コロナで出来なくなってしまって、それをまたやりたいと思ってたんですけど、そんな中で僕ももう現役最後になるので、試合としては難しいと判断をしたので。
じゃあそこで今まで体操選手が引退する時に、引退試合というか最後の舞台をやった選手はいなかったので、そういう場を自分で作ってやるっていう。
これを引退していく選手達にはスタンダードみたいな、目標にもしてもらいたいという気持ちもあったので、なかなかみんな出来るわけではないと思いますけど、これだけ結果を残して体操をやっていけたら、こういうことも出来るんだよっていうのをみんなにも伝えたかったというのと、
僕自身はオールラウンダーというのでずっとやってきたので、本当に最後の最後六種目をやって終わりたいという気持ちがあったのでそうしたいなっと思ってやろうかなと思いました。
Q:引退を決意した後に、また練習で追い込んで六種目やるっていうのは相当辛いことだと思うんですけど、そこに最後の最後六種目にこだわった思いというのはどんなものなんでしょうか?
A:やっぱ、やりたくても六種目で代表が目指せないから鉄棒で目指したのであって、僕としてはどんな時も六種目やっていきたい、やりたいという気持ちがあったので。
今回の東京オリンピックを目指すまでの過程が今まで皆さんが見てきてない部分なだけであって、僕は常に六種目はやりたいと思ってたし、練習をやってたので、やることは普通だと思ってるんですよ。
もちろんキツイこともわかってるんですけど、体操は六種目やってこそって気持ちもあるし、後輩達もずっとそこは受け継いでいってほしいところでもあるので。
あと心底好きだからということもあるので、まぁ、なんか最後鉄棒だけやって終わるっていうのもなんか自分としては自分が自分じゃない感じがするので、六種目やってこそっていう気持ちが強いですね。
Q:今後の活動についてはどのようなビジョンを思い描いていますか?
A:今後はこれといってこれを絶対やっていきたいっていうのはなくて、日本代表の選手たち、後輩達に自分が今まで経験してきたことを伝えていったり、小さい子供達に体操って楽しんだよっていう普及活動をしたり。
体操に関わる全てのことをやっていけたらいいかなっていう。
僕自身も完全に体を動かすということをストップしないと思うので、やれる時に少し体を動かして、自分が動いて見せてやるっていうのもあると思うので。
体操に関わる全ての事をチャレンジしていきたいですね。
Q:30年連れそってきた体操競技への思いはいかがでしょうか?
そして、そんな体操競技になんて言葉をかけたいですか?
A:ありがとうとか、そんな軽い言葉じゃ感謝を伝えられないというか。常に僕、体操しか知らないので。3歳からやってて、これだけ体操というもので内村航平が作られて、人間性もそうだし、競技としても結果をすごい残せたし、その感謝している気持ちを返していかなきゃいけないという気持ちが強くあるので、
体操っていうことに対して、世界で一番知っている状態に今後したいと思っているので、ずっと勉強し続けたいですね。体操のことについては。
極めるっていうことよりずっと上の所まで行きたいと思ってます。
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