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クラシック 記事まとめ

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クラシックの楽曲・作曲家などについて書かれた記事をまとめていく公式マガジンです!主にハッシュタグ「#クラシック」が付けられている記事を自動で追加し、紹介していきます。
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#チェンバロ

オルガン&チェンバロを聴く トン・コープマンのリサイタル

トン・コープマンのチェンバロ&オルガン・リサイタルに行ってきました。 今回は、チェンバロとオルガンを、なんとダブルで楽しめるという、実に贅沢なリサイタルでした! コープマンのチェンバロ生演奏を聴いたのは初めてでした。 チェンバロは、鈴木雅明氏所有の、ヴィレム・クルスベルヘン(ユトレヒト)が1982年にバロック期の名工リュッカースの楽器をモデルに製作した2段鍵盤(8フィート×2と4フィート)だそうです。 鈴木氏も鑑賞にいらしてました。 バッハをはじめ、クープラン、ヘンデルな

愛知室内オーケストラ第78回定期演奏会

今日は愛知室内オーケストラの定期演奏会へ行きました。 台風と仕事の残業が心配されましたが、無事に行けました。今日の名古屋は天気が良くて穏やかでした。 今日のプログラムは注目です。 権代敦彦さんの新曲。もちろん世界初演です。 ハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲をヴァイオリンではなくてマリンバでやります。そんなのできるのかと思いました。ヴァイオリンは弾く、メロディーを歌う、マリンバは叩く、メロディーというのには程遠い。ハチャトゥリアンの協奏曲は結構アクロバティックで、マリンバ

チェンバロで演奏する月光ソナタとジュリエッタ

前回、文明開化の明治日本において行われた西洋音楽輸入の時代に活躍して悲劇的な最期を遂げたピアニスト久野久のことを語りましたが、久野久の得意曲は、いわゆるベートーヴェンの「月光ソナタ」でした。 わたしはこの曲を暗譜しているほど大好きなのですが、今回は次の三点に絞って解説したいと思います。 例によって、当時のピアノ(フォルテピアノ)と現代のピアノ(19世紀半ばに完成されたグランドピアノ)の楽器の性能の違いから読み解く視点からの分析です。 <1>月光ソナタという誤称まずは名前

スペインの初期ピアノとアルベロのソナタ(194)

フィレンツェのバルトロメオ・クリストフォリ(1655-1731)の発明したピアノは、当時イタリアではほとんど普及しなかったようです。もしイタリアでピアノがたちまち大流行していたら、今この楽器はイタリアでの通称であった「マルテレッティ」と呼ばれていることでしょう。 一方ドイツやフランスではジルバーマン一族によってクリストフォリのピアノのコピー品が製造されましたが、極めて複雑で高価なため、次世代鍵盤楽器の主流とはなりませんでした。その後のピアノの歴史はクリストフォリのピアノに比

バッハを聴く ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロの親密

バッハのヴィオラ・ダ・ガンバ・ソナタを聴きにサントリーホール(小ホール)に行ってきました。 さて、ヴィオラ・ダ・ガンバはどんな楽器?ヴィオラ・ダ・ガンバは「ガンバ(脚)」という名称が示すように、両脚で挟んで弓で弾く弦楽器です。 形はヴァイオリンやチェロに似ていますが、全く別の楽器です。 6本あるいは7本の弦とフレットのついた指板を持ったこの楽器の特徴をひとことで表すなら、弓で弾くギターです。私は以前、二胡を習っていたのですが、ヴィオラ・ダ・ガンバと同じように弓を下から持つ楽

バッハも参考にした、シャルル・デュパール

ここではバロック時代の作曲家、シャルル・デュパールを紹介します。彼はフランス生まれ、後にイギリスで活躍した音楽家で、生没年は諸説ありますが、最近だと1676~1751という説が出ているようです。これが本当なら、あの大クープランである、フランソワ・クープラン(1668~1733)と同時代の人物ということになります。 デュパールの生涯については詳しいことはわかっていませんが、イギリスへ移住し音楽家として活動していたことは残っています。後半は教師としても活動していたようです。

モーツァルトの弾いたピアノ③:アンシャン・レジームのピアノ事情(188)

1778年の3月から9月にかけてモーツァルトは求職活動のためにパリを訪れています。この三度目のパリは苦難に満ちたものとなりましたが。 上に引用したのはモーツァルトが父親への手紙の中でド・シャボー公爵夫人 Elisabeth Louise de La Rochefoucauld (1740 - 1786) を訪問したときのことを回想しているところです。この訳者は、昭和18年という時代的に致し方ないことながら、「Clavier」を全部「ピアノ」と訳してしまっているので注意が必要

録音で聴くチェンバロの音の違い

チェンバロはタッチで音に強弱をつけることは殆どできません。そのため乱暴に言えば誰が弾いても、猫が歩いても、同じ楽器なら同じ音が出ます。そのため演奏者の腕前と同じぐらい楽器が重要であるといっても過言ではありません。 そしてチェンバロはスタイルによって音質が大いに異なります。ヴァイオリンであればストラディヴァリとシュタイナーの音の違いを聴き分けるのは相当詳しくなければ無理でしょうが、ルッカースとゼンティの違いなら誰にだってわかります。 しかしチェンバロは調整次第で同じ楽器でも

「ヴァイオリン伴奏付き」鍵盤ソナタについて(183)

これら K. 6 - 9 の4つのソナタは2冊に分けてパリで出版され、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの最初の出版作品となりました。ちなみにモーツァルトは1756年1月27日生まれで、この手紙の時点でもう8歳でしたが。 そして現在は「ヴァイオリン・ソナタ」とされることの多いこの曲集の本来の題名は『クラヴサンのためのソナタ集、ヴァイオリン伴奏付きで演奏可能 Sonates pour le Clavecin Qui peuvent se jouer avec l'Acc

J.C.バッハとモーツァルト(181)

1725年に書き始められた2冊目の『アンナ・マグダレーナ・バッハの音楽帳』の中でも、一際稚拙な筆致で書かれたヘ長調の無題の小品(BWV Anh. 131)、これはJ.S.バッハの末息子であるヨハン・クリスティアン・バッハ Johann Christian Bach(1735-1782)の幼少時の作品(W. A 22)と見られています。 1750年7月28日に父のJ.S.バッハが亡くなった時、ヨハン・クリスティアンはまだ14歳でした。彼は異母兄であるベルリンのC.P.E.バッ

ソレールのファンダンゴ(180)

「ファンダンゴ Fandango」はイベリア半島伝統のペアで踊られる三拍子の舞曲で、現在の民族舞踊としてのスタイルは地方により様々ですが、一般に八音節詩の歌を伴い、ギターとカスタネットで奏されます。 もっぱらこちらのほうが有名であるフラメンコのファンダンゴは、古典的なファンダンゴとは殆ど別物です。 ファンダンゴの起源は語源も含めて明らかでありません。北アフリカやアラブ圏由来とする説もありますが、現存最古のファンダンゴの楽譜は『Libro de diferentes cif

スカルラッティとセイシャス(178)

ドメニコ・スカルラッティが1719年8月にヴァチカンの職を辞した後、いつどうしてポルトガルに渡ったのかは20年くらい前までは謎でした。1719年9月3日のとある日記に「スカルラッティ氏はイングランドに向けて旅立った」という記述があったため、ロンドンで賭博にはまって借金を作ったせいでポルトガルに逃げたのだという説もあったぐらいです。 現在では資料の発見によってスカルラッティはポルトガル王ジョアン5世によってリスボンの王室礼拝堂のマエストロとして招かれていたのだということがわか

バッハ エピソード28 339回目の誕生日を祝う

3月21日はJ. S. バッハのお誕生日(旧暦)です。 グレゴリオ暦だと3月31日になります。 今日は339回目のお誕生日です。 お祝いしましょう! ハッピーバースデー! 今日はこれを聴いてみましょう。 4台のチェンバロのための協奏曲イ短調BWV1065 この曲は、ヴィヴァルディ作曲の協奏曲集作品3『調和の霊感』第10曲の4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲ロ短調RV580のリメイクです。 バッハは,ワイマール時代、『調和の霊感』に含まれる協奏曲をはじめとしたヴィヴ

ピアノのバッハ 12: バッハは笑う

ゴルドベルク変奏曲の後半部のカノン特集の続きです。 5.6 第六のカノン(六度) 第十八番変奏曲。 拍子はアラ・ブレーヴェ、息の長い二拍子。 Cのような記号に縦線の入った速度記号はルネサンス時代以来の古い記譜法の名残りなので、おおらかに歌う音楽が拍子記号から求められています。 楽譜も伸びる音の多くてたくさんの余白があり、非常に声楽的。 だから実はチェンバロで演奏するよりも、よりカンタービレなピアノの方が美しいと個人的には思います。 弦楽器や管楽器だとさらに素晴ら