Rushdie の長編を読み終えたので読書対象を気楽なものに今回は変更します。といっても英語はきびきびしていて一語一語から香り出す中身は読者の知恵の巡り具合に競争を挑むかのようです。
"The Washing Tub" by W S Maugham はここに無償で公開されています。
同じ景色を文章で表すにしても、モームの技にかかるとその景色の見事さの格が一味も二味も高まるようです。 これはリアリティを装飾で幻想のものに変えてしまう力だとも思えます。 リアリティこそ最重要だという哲学に生きる私としては、警戒心を高めて読むぞ、騙されないぞと心を引き締めて取りかかることになります。
1. Maugham が休暇で訪れる町、Positano ですが、Wikipedia の Positano 紹介記事には何と次のような情報があります。
この文章にあっては、書き手が意識して平坦な文章、飾りをつけすぎたり、書き手の好き嫌いを表に出したりしないようにしていることが解ります。加えて、その結果もたらされる記事全体の単調さ・退屈さを克服するために、有名人の言葉、ここではスタインベックの言葉を引用することで個人的な・感情的な表現を持ち込んでいます(というのが私の見解)。
2. この Positano がモームによって描き出されます。Wikipedia に見つけた文章[原文 1]と比べるのは一興です。
ここに引用するのはこの短編 "The Wash Tub" の冒頭に置かれて、読み始める読者をこの短編の世界に引き込む役目を担っている文章です。
3. モームの文章、作品を読んで楽しい、おもしろいと思うのですが、何故に読者のそのような気持ちが、そのような評価が生まれるのかを考えてみました。
私の考察ノートのページをここに貼り付けます。
4. Study Notes の無償公開
Study Notes を無償公開します。A-4 の用紙に両面コピーすると A-5 サイズの冊子ができるように調製しています。裏表併せて全部で 11 ページです。