サリームの祖父、アーダム・アジーズが骨粗しょう症のような症状(小説内に病名の明示は無いのですが。)に苦しめられたのち亡くなるのですが、その大きなターニング・ポイントになったこの出来事は Rashdie 得意のジョークと言えるでしょう。その事件には実際にあった事件とのかかわりが創作されています。 New York Times 紙のアーカイブに、この出来事に対応する事件が見つかりました。その見出しは
" 3 Kashmiri Moslems Held In Theft of Prophet's Hair "
この新聞の日付は February 18, 1964。1963年12月26日にあった髪の毛の窃盗事件の犯人が逮捕されたとあります。同記事の終わりにはヒンズー教徒とイスラム教徒の乱闘事件を引き起こしたとも書かれています。"The theft of the hair led to communal riots in East Pakistan and the adjoining Indian areas of Calcutta and West Bengal, where many Hindus and Moslems were killed."
2. Aadam Aziz は 70 才弱、弱った身体にも拘らずか弱ったからこそか生まれ故郷の街に向かって列車に乗ります。
《注1》 General Zulfikar はアーダム・アジーズの娘の夫で金の面では一族の内で最も成功している家族。イスラマバード(パキスタン)に居住。アーダムと「高邁な母」の夫婦はアゴラ(インド)を離れ、老年期をこの家族の居るパキスタンで過ごす計画していた。 《注2》 imprecation: [noun] a curse (= an offensive word that is used to express extreme anger) は implication とは別の単語です。 implication: [noun] 1. a possible effect or result of an action or a decision 2. something that is suggested or indirectly stated