【神田カレースタンプラリー(5)】Gravy
2024年8月末
Aちゃんが辞めるのとほぼ同時期に、1年ほど働いていたBさんという派遣さんも就業終了になった。
私の「空白」期間が終わったのは、このBさんの受け持っていた仕事を私が引き継ぐことになったからだった。
Bさんから1対1で研修も兼ねた引き継ぎを受けた。
Bさんのレクチャーは本当に細やかで、Bさんの真面目さがよく分かった。
「もう残り少ないですが、ランチとか行けたらいいですね」とBさんは気を遣って言ってくれたけど、昼休みまでBさんに気を遣わせるのが忍びなくて、結局行けなかなった。
Bさんの就業終了に関しては事前に責任者から全体に向けて通達があり、最終出勤日にも全員が集まってお別れのご挨拶の時間があった。
Aちゃんとの差を感じて辛い気持ちになる。
ちなみにBさんが辞めるのは配偶者の転勤が理由だそうだ。
昼。
神田カレースタンプラリーの対象店が3軒集まっている一角に狙いを定めて行ってみる。
外から中の様子が見えたので、この日はネパールカレーの「Gravy(グレビー)」に決定。
中に入ると日本語が上手でフレンドリーな店員さんが1人掛けの席に案内してくれた。
半地下の店内は意外と広く、3,4人のグループも何組かいた。
本当はダルバートがかなり魅力的だったのだが、相当ボリュームがありそうだったのと、1500円という価格に怯んでしまった。
1000円の2色カレーというメニューがあったので、そちらを注文。すぐ運ばれてきた。
まず盛り付けがかわいい。
申し訳程度のアチャール。ほんのちょこっとがむしろ嬉しい。
チキンと半熟卵もポイント高い。
カレーの詳細忘れてしまったが、それぞれ特徴的な風味のカレーで、意外性を楽しめた。
(よく自分で2種類カレーを選べるお店があるが、食べると似た味で後悔することがある。その点、このお店の2種はベストなコンビ。どっちの味で終わるか悩みながら食べた。)
よく覚えているのはライス。
長粒のバスマティライスの炊き具合が絶妙で、カレーに合ってすごく美味しかった。
ということは、おそらくビリヤニも美味しいお店なはず…
AちゃんとBさんがほぼ同時にいなくなったことで、私は「社風」について考えていた。
この会社にはBさんのような人が多く、ルールは全てBさんのような人が働きやすいように作られている。
Bさんのような人、つまり、真面目で他人に気を遣いすぎるような人が、深刻にならずに働けるように、ルールによって守られている。
誰も言葉では教えてくれない暗黙のルールも実は多くある。
それを察して空気を読む人たちが集まっている。
Aちゃんは空気を読まない。
服装は自由と言われたら本当に自由な服を着るし、なんでも質問してくださいと言われたら本当に全部質問する。
そんなAちゃんの態度に私はいつも救われていた。
何を着るか少しだけ悩まなくなったし、Aちゃんの質問は大抵私もはっきりとは分かっていないことだったので、代わりに聞いてくれてありがたかった。
みんながAちゃんのようだったら、私はもっとやりやすくなるのだが、この会社にとってはそうではないらしい。
Aちゃんのようでいたいと思っているだけの私は見逃してもらえたが、Aちゃんはきっちり排除された。
なにも仕事がない「空白」の期間に、ちゃんと見抜かれていたのだ。
そう思うと、あの穏やか天然責任者を尊敬してしまう。
経歴的に申し分なく、コミュニケーション能力も高いAちゃんを、「社風」基準でばっさり切った。それなりのコストも惜しまずに。
その感覚と勇気がこの「社風」を作ってきたのだろう。
彼は穏やか天然風になるしかなかったのかもしれない。
お会計の際、店員さんが陽気にキン肉マンカードを手渡してくれて、なんだかこちらも笑顔になってしまう。
QRのスタンプもいただき、昼休み終了。
仕事に戻った。
この日ランチしたお店
Gravy
【いただいたメニュー】
2色カレー 1000円