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【神田カレースタンプラリー(33)】べっぴん舍

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2024年11月中旬

10月末にどかっと降ってきた仕事が1週間もかからず片付いてしまい、また元通りの暇。
今の派遣の仕事をするまで、「やることがない仕事」をしたことが無かったので、暇だと逆に疲れるということを知らなかった。疲れる。本当に疲れる。
コーヒーとトイレの回数を正の字で数えて過ごしていると友達に言ったら「洞窟の中にいる人が何日目か記録するやつみたいだね」と言われた。
そうか、ここは私にとっての洞窟なのかもしれない。

ただ恵まれているのは、昼休みに1時間だけ洞窟から出られること。
洞窟の外には、個性豊かな無数の飲食店が息づいていること。
ここは東京都千代田区神田。カレーの街。
疲れも吹き飛ぶ極楽である。

今日のランチは神保町の「べっぴん舍」に行くことにした。
こちらのお店は過去に神田カレーグランプリ「マイスター賞」を4度も受賞しており、食べログ百名店も常連のお店。
先日今年の神田カレーグランプリ決定戦にも出場していたが、大行列の人気だった。(並びからしてどう見てもここが優勝すると思っていたのだが、勝負とはわからないものだ。)
店舗の営業日が火木金土日と、平日に2回定休日があるため、週3勤務の私はなかなか行けていなかった。(前に来た時は並んでいて諦めた。)

お店のあるビルに着き、細い階段を下から見上げると、珍しく待ち列無し!
ドアを開けて1人だと伝えると、片付けてすぐに案内してもらえた。
カウンターかと思ったら、窓際の落ち着くテーブル席に案内されてラッキー。

カウンター6席、2人掛けのテーブルが4つの全14席の店内は、この日女性のお客さんが8割。
メニューを見ると、「赤のべっぴん薬膳カリー」と「黒のべっぴんカシミールカリー」の二つが「べっぴん」を冠した王道メニューのようだ。
「べっぴん」も「薬膳」も女性にはぐっとくるワード。
今日は「赤のべっぴん薬膳カリー」を注文することにした。

「赤のべっぴん薬膳カリー」は1〜6段階で辛さが選べるとのこと。
「1辛でちょっと辛いくらい、2辛で辛さにスパイシーさを足した感じ、3辛でしっかり辛い」
と、店員さんが軽快に説明してくださった。
では、2辛で!

赤のべっぴん薬膳カリー

赤いカレーも綺麗だが、黄色いごはんも美しい。まさにべっぴん。
ライスの量はなんにも聞かれなかったが、200gはありそうな感じ。

早速カレー(2辛)を食べてみる。
すごくおいしい。
さらさらの、スープカレーっぽい食べ応え。
確かな辛さとスパイシーさ。
際立って感じるのはカルダモンの風味。
私はカルダモン大好きなので香りだけでもうメロメロになる。
薬膳というくらいだから、いろいろなスパイスが使われているのだろう。
すでに身体が温まっている気がする。

具はれんこん、にんじん、なす、ブロッコリー、骨付き鶏肉。
野菜たっぷりが嬉しい。
骨付きの鶏肉は、スプーンでほろほろと崩せてつるんと骨だけ残った。お肉はとろとろでおいしい。

黄色いごはんをスプーンで掬って、カレーに浸し、具と一緒に食べていく。
いつも選べる時はごはん少なめを選ぶ私だが、本当はこれくらい食べたいよね、というちょうど良い量。
上に載っているフライドオニオン?とホールのスパイスのザクっとした食感も楽しい。

お水は「レモンの種が入ることがございます」と店員さんが丁寧に教えてくれたが、私のには種は入っておらず、レモンのフレッシュなフレーバーがとっても爽やかな気分にさせてくれた。
細やかな心配りが素敵。

厨房には男性、接客は主に女性の2名で切り盛りされているが、お二人ともすごく丁寧にお客さんに接していて気持ちが良い。
「お待たせしてすみませんでした」と皆さんに声をかけていて、人気のあるお店なのにとても謙虚だなと好感を持った。

カウンターの背後の壁には ベルナールビュフェの静物画が飾られていて、ただ明るいだけではない、まっすぐな切実さがある。
これを飾ろうと思うセンスからして、お店の方の細やかで謙虚な姿勢に納得がいく気がした。


私の席はレジの近くだったので、たくさんの人がスタンプラリーのQRコードを読み取って帰る様子を目撃できて嬉しかった。
仲間がいっぱいいる。
私も忘れずにスタンプをもらい、にこにこの店員さんに見送られて店を後にした。

これから帰る洞窟のことを考える。
体中に赤のべっぴん薬膳パワーがみなぎっているので、憂鬱さは全くない。
このあと5時間座っているくらい余裕だ。
私ベルナールビュフェに嫌われる自信あるな〜とふんわり思いながら、ただ明るいだけのオフィスに戻った。



この日ランチしたお店

べっぴん舍

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🍛神田カレーグランプリ べっぴん舍

【いただいたメニュー】
赤のべっぴん薬膳カリー 1000円

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