見出し画像

【神田カレースタンプラリー(40)】インドレストラン マンダラ

⏮️最初から読む
◀️前回のお話

2024年12月上旬

ベテラン派遣さんが12月半ばで契約満了を迎えるにあたって、私もその方の仕事をいくつか引き継ぐことになった。
お時間をいただき、一対一で引き継ぎを受ける。
ベテラン派遣さんとは働いているフロアが違うため、ちゃんと話すのは今日が初めてだった。

とても責任感が強い方で、面倒なことは全て解決した上で私に仕事を渡せるように、有休消化の合間にかなり頑張ってくださったようだった。
どの案件もあとは行く末を見守るだけの状態。ありがたい。
私も辞める時はこの状態を目指そう、と近い将来のことを想像した。

他に聞いておきたいことはないかと聞いてくださったので、思い切って元責任者のことを尋ねてみた。社員さんが教えてくれないなら、一番長くいる派遣さんに聞くしかない。
なぜ責任者を辞めさせられたのか、本当にパワハラが原因の告発があったのか。

「私も決定的なことはわからないけど」と前置きした上で、原因らしきエピソードをいくつか教えてくれた。
その中で、
「自分の型に嵌めようとする」
という言葉が出た。
絶対に他人の型になど嵌まらないAちゃんが辞めさせられた理由がはっきりわかった気がした。

すぐに切られた派遣はこれまでに何人もいたらしい。
この会社の派遣さんがやたら空気を読む人ばかりなのは、そういう型に嵌まってくれる人だけを残したからだ。
ベテラン派遣さんは「これからはもっと働きやすくなるよ」と言った。切ない。


昼休み、混んでいるだろうなと思いつつ早足で「インドレストラン マンダラ」に向かう。

先週末テレビで無印良品のレトルト食品を評価する番組が放送されていて、神保町の有名カレー店代表の方が評価員として出演していた。
「神田カレーグランプリ殿堂入り インドレストラン マンダラ」というテロップが出ていて、私としたことが、この時初めてそのお店のことを知った。
あの番組を観た人は全員行ってみたいと思ったに違いない。

神保町すずらん通りを抜け、信号を渡るとさくら通り。
その信号で引っかかった。
この信号長いんだよ、と苛立ったが、信号の向こう側でギターを持った人が歌っているのに気がついた。

救世軍本営。そう書いてある格式高い建物の大きな十字架の下で、男の人が「きよしこの夜」を弾き語っている。
オフィス街のランチタイムの喧騒の中で、「きよしこの夜」が人々に平等に降り注いでいた。
Aちゃんは今頃どうしているだろうか。
責任者を辞めさせられた彼は何を思って働いているのだろうか。
ベテラン派遣さんの頑張りは誰かに正当に評価されたのだろうか。
みんなに救いがありますように。
信号待ちの間だけ私は神に祈ってみる。
歌のパートが終わって、ハーモニカによる後奏が始まったところで信号が青に変わった。

さくら通りに入ってすぐのビルの地下1階に「インドレストラン マンダラ」はあった。

この裏にびっしり並んでた

曼荼羅風の大きな絵にわくわくしつつ階段を降りると、折り返したところにびっしり5人も並んでいた。
あの信号にさえ引っ掛からなければ…と先ほどの祈りを無下にする。
やはりテレビ放送直後は避けた方が良かったか。
私の後ろにもすぐに3人並び、あっという間に長蛇の列になった。
しばらく待ち、あと1分待って列が進まなかったら別の店にしようと思った次の瞬間、列が一気に動き、間も無く席に案内してもらえた。
今思うと神の加護だったのかもしれない。
席数も従業員も多い。

注文はBランチセット。
(30円安いCセットとの違いは、サフランライスがつくこと。)
カレーは6種類の中から2つ選べるとのことなので、「Fish(メカジキのカレー)」「Egg(卵のカレー)」を選んだ。
理由はなんか珍しかったから。
チキンやエビやマトンはよくあるが、メカジキのカレーと卵のカレーは珍しい。
期待して待つ。
注文が済んだ時点で昼休みは残り30分。いける。

Bランチセット(左:メカジキのカレー、右:卵のカレー)

来ました。
あ、カレー2つとも同じ色。
またしても2種のチョイスで似たものを選んでしまう失態。
全然違う味である可能性に期待して慎重に味見。

まずはメカジキのカレー。すごくおいしい!
マイルドでクリーミーだが辛さもしっかりある。
メカジキは塊がいくつか入っており、魚もカレーにするべきなのだという真理を教えてくれる。

続いて卵のカレー。こちらもおいしい!
が、やはり、恐らく、メカジキのカレーとベースは同じ。
卵は煮込んであるとかカルボナーラ風というわけではなく、単にゆで卵がトッピングしてあるようだ。

大きな違いとして、メカジキの方にはカレー全体に黒い点々が観測できる。
その黒い点々独自の味を感じようと、メカジキのカレーと卵のカレーを行ったり来たりするが、わからない。似た味。

素人にこの二つのカレーの繊細な違いはわからないのかもしれないと諦めて、ここでナンを食べてみることにした。
ちぎろうと手に持って少し浮かせて驚いた。重い。
ちぎろうとすると、んもっちもちっ!
ずっしりと水分量が多く、低反発。
今まで他の店で食べてきたナンとは違うと感じた。
好き嫌いはそれぞれだと思うが、これは神田で一番気合いの入ったナンかもしれない。

ナンが美味しすぎて少し霞んでしまったが、サフランライスもありがたくいただいた。
ターメリックではなくサフランでおいしく炊いたお米にレーズンが乗っており、それだけで評価爆上がりの嬉しさだった。

フルーツライタ

食後に出てきたのはフルーツ入りヨーグルトのデザート。
メニューには「フルーツライタ」と書いてある。
舌に乗せるとひんやり甘く、口の中を占拠していた辛さを一掃していく。
カレーの後に体が欲するのはやはりヨーグルトであるとしみじみ。

お会計を終え、40個めのカレースタンプをもらって店を出る。
まだ歌っているかなと少し期待したが、もう彼はいなくなっていた。
帰りはちょうど良く信号も青になったので、勢いづいてすずらん通り中程まで走ってみた。
大人になってから全く走らなくなったが、そういえばカレースタンプラリーをやり始めてからは結構走っている。
昼休みがちょうど終わる時間にめでたく自席に着席した。

あと1個…!
いつの間にかnoteの話数とスタンプの数が一致していた。

この日ランチしたお店

インドレストラン マンダラ

📍Google Map

🍛神田カレーグランプリ インドレストランマンダラ

【いただいたメニュー】
Bランチセット 1295円

次のお話▶️

いいなと思ったら応援しよう!