【神田カレースタンプラリー(43)】カレーハウス ボルツ
2024年12月中旬
案の定、年内にいろいろ間に合わせようという魂胆の取引先が今になってみんな一斉に連絡を寄越して来た。
年末年始休業まで残り2週間も無い。
先週までの暇は、「嵐の前の静けさ」というやつだったのだと知る。
私は週3日しか勤務してない派遣なので、できる範囲でやるしかないし、できないことはできないと諦めるしかない。
正社員だったらもっと頑張りようがあるのかもしれないが、派遣の私にはイレギュラーな頑張りは求められていない。
最近大規模な席替えがあって、社員のSさんが隣の席になった。
実務が割り当てられて以降、Sさんは私の先生のような存在なので、隣の席になれたのはありがたい。
これからはもっと質問しやすくなる…と思いきや、隣になって初めてSさんの膨大な仕事量が視界に入るようになり、私ごときが質問していいタイミングなど本当は無かったということがわかってしまった。
(それでも恐る恐る話しかけると「全然大丈夫ですよ」といつも相談に乗ってくれる。)
Sさんは入社してから結構経っているが、「ここまで忙しい12月は初めてかも」とおっしゃっていた。
大変そうな姿を普段人に見せないSさんが忙しいとおっしゃるのだから、余程のレベルの忙しさなのだろう。
いつも早く帰っていたSさんが、今月は残業までしているようだ。
派遣の私には何も手伝えないのでもどかしい。
取引先からお歳暮でいただいたお菓子コーナーから自分の分のついでにSさんの分も取ってくることくらいしかできることがない。
私は契約の範囲内で嵐が過ぎ去るのを祈る。
昼休み、席替えでフロアが変わったら1分フライングでチャイムが鳴るようになった。
鳴り終わるとちょうど昼休憩の時間らしい。
これまでは鳴り始めた瞬間に飛び出していたので、鳴り終わるまで1分間待つのはなんだか気持ちが悪い。
チャイムが鳴り終わった瞬間席を立つ。
そういえば、昼休みにチャイムが鳴る職場なんてここが初めてだなといまさら思った。
今日オフィスを飛び出して向かうのは「カレーハウス ボルツ」。
錦町川岸の交差点を細い道に一本入った場所にある。
私の前を歩くスーツの男性5人組。
まさかね、と思いながら後ろをついていくと、なんとこの5人もボルツだった。
昭和の雰囲気漂うとても小さなお店。
5人なんて入れるのか?と他人事ながら心配したが、店の奥に5人でも座れるテーブル席が1つあるようで、そこが空いているかどうかを聞き、空いていたらしくすんなり入店していった。常連さんだ。
初来店1人客の私は入り口付近のカウンター席に通された。
カウンターの中には凛々しいおじいさんが1人いて、このおじいさんが1人で調理や盛り付けを担当しているらしい。
私は祖父が現役で飲食店をやっているので、カウンターの中のおじいさんに祖父を重ねて勝手に親しみを感じた。
コンパクトな店内では、にこやかなお姉さんが、料理を運んだりお会計をしたり、忙しく動き回っている。
なんだかほっとする、実家みたいな店だ。
急に飲食店の孫の勘が働いた。
注文があの5人組の後になったら、カレーが来るまでかなり待つかもしれない。
そう思い、お姉さんがお水を持ってきてくれたタイミングですかさず注文する。
カウンターに貼られたメニューを見て初めてこの店のカレーがジャンル的に「インドカレー」だと知る。
パッと目についたものをあまり考えず注文。
カレーは「ビーフとトマト」、選べる辛さは「ホット 程よい辛さ」で注文した。
初心者なので、追加で課金せず味わえる辛さを一度知っておく必要がある。
辛くなるほどオプション料金がかかるのはカレー屋さんではよくあるが、一番辛くない「ソフトマイルド」も50円かかるのが面白い。
「お子様向け生クリーム入り」と書いてある。
ちょっと食べてみたいけど、大人も頼んでいいのだろうか。
お姉さんがおじいさんにオーダーを通すと、すぐに5人組が「注文お願いします」とお姉さんを呼んだ。
私の勝ちだ。
おじいさんが手際よくライスを盛り付け、カレーを注ぐのを眺めていたらあっという間に出来上がった。
カウンター越しにおじいさんがお皿を手渡してくれる。
カレーはよくある銀のグレイビーボートではなく、手で包み込みたくなるようなコロンとしたフォルムの白い器に入っている。
レードルスプーンが添えられているが、私はこのタイプの時は最初にご飯に全掛けするタイプなので。
私のかけ方下手…もっと映える感じにできたらよかったのだが申し訳ない。
カレーはシャバシャバなタイプ。トマトは柔らかそうな大きい塊。ビーフもたくさん入っている。
食べてみると、ちょうど「程よい辛さ」!
しっかりスパイシー。
トマトは絶妙な煮込み具合で最高。
ビーフは「肉を食っている」感が良い。
ここで卓上に置かれた漬物類をいただいてみる。
左から、玉ねぎヨーグルト、福神漬け、大根の漬け物。
人生初の玉ねぎヨーグルト。
カレースタンプラリーに真剣に取り組み始めて4ヶ月。
思えばたくさんの初めてを経験してきたが、この玉ねぎヨーグルトの衝撃はランキング上位に入るだろう。
ヨーグルトがカレーに合うのは自明だが、玉ねぎもまたほとんどカレーそのもののようのものなので、当然カレーに合う。
ヨーグルトがカレーの辛さをマイルドにするかと思いきや、生の玉ねぎの辛さに泣かされるので注意。
10分くらいで食べ終わるまでの間に、カウンターには新しく3人のお客さんが座ったが、全員辛さに課金していた。
そして人気があるのはあさりと生卵らしい。
また来よう。
入店時は5人組と真剣勝負をしていたので気づかなかったが、帰りに店を出ると賢そうな犬の置き物が見送ってくれた。
記念に写真を1枚。
また来るよーと視線を送って、ちょっと早めにオフィスへ戻った。
この日ランチしたお店
カレーハウス ボルツ
【いただいたメニュー】
インドカレー ビーフとトマト 900円