【神田カレースタンプラリー(4)】喫茶プペ (再訪)
2024年8月末
ついにAちゃんが辞めてしまった。
Aちゃんがいなくなって最初の朝のミーティング、さすがに責任者からAちゃんに関して言及があるかと思い、ドキドキしていた。
ところが責任者は席につくと、満面の笑みで「今日はいい天気ですね〜」と言った。凍りついた。
責任者がAちゃんについて言及することはその後一度もなく、まるで最初から存在しなかったようにスルーだった。
この責任者が派遣の管理をやっている。私の面接もこの人が担当した。(Aちゃんもそうだったと言っていた。)派遣会社との連絡や、採用の決定も全てこの人が行っている。
つまり、Aちゃんを切ったのもこいつだ。
やたら穏やかでちょっと天然風のこの男性責任者が、完全に敵になってしまった。
毎日顔を合わせなくてはならないのに。
ミーティングに一緒に参加していた先輩派遣さんに、Aちゃんのことを聞いた。(あまりにもみんなスルーだったから、Aちゃんは私にだけ見えていた幻なんじゃないかと不安になった。)
先輩は、さして気にした様子もなく、「前にも1ヶ月で辞めちゃった派遣さんいたみたいですよ。多分自分の意思ではなく」と言った。
この会社、やってんな。
昼になった瞬間職場を出た。ドアばーん!だ。
クソ暑いから日傘さす。
朝の「今日はいい天気ですね〜」を思い出してしまって、頭痛がした。
逃げなければならない。
私とAちゃんの取り決め。
昼になった瞬間職場を出て、(なるべく同じ会社の人が居なさそうな)飲食店に逃げ込み、人間らしさの回復に努める
神田錦町のオアシス、「喫茶プペ」を目指す。
前にAちゃんと行った店だ。
前回特製カレーを食べたので、今日はドライカレーにした。
やっぱり目玉焼きとマヨネーズがそそる。
偶然にも前回と同じ席。目の前にAちゃんがいない喪失感が際立つ。
今日も隣におじさんが座った。前とは違うおじさん。テレビでは『虎に翼』がやっている。
ドライカレーも美味しい。大満足の量。
でも、気分の問題かな、前回Aちゃんと一緒に来た時に食べた特製カレーの方がもっと美味しかったような気がする。思い出補正がかかっているかもしれない。
そんなことを考えながら食べていると、隣のおじさんにめちゃくちゃ美味しそうなものが運ばれてきた!
マヨネーズが全体に惜しみなくかかった、山盛りの白いパスタ?
なんだあれは?なんという料理だ?メニューは下げられてしまっていて、わからない。
次回はあれを食べに来よう。
(調べたところ「ミラネーゼ」というメニューらしい。おじさんのがっつきっぷりから察するに、あれが喫茶プペの知る人ぞ知るやみつきメニューであることは間違いなさそうだ。)
食後のアイスコーヒーを飲みながら、朝先輩派遣さんが言っていたことを思い出していた。
1ヶ月で切られる派遣さんが前にもいた、という話。
まぁ、そうか。派遣って、そういうふうに使い捨てできるところが企業側のメリットだもんな。
自分も切られる前提でいないと。
でも、やっぱりおかしい。
あんなに圧倒的に素敵な人を…
「梢とランチするのだけが楽しみだったよ」と最後にAちゃんは言ってくれた。
なんの仕事もさせてもらえなかったけど、楽しいことが1個でもあって良かった。
私は意外にも、もう少し梢でいたかった、と思った。
Aちゃんが、その人間性を活かしてここよりもっと良い会社で働けますように。
それか、自営業で大成功しますように。
プペで祈りを捧げて、前回もらいそびれたスタンプを今度こそゲットし、オフィスに戻った。
この日ランチしたお店
喫茶プペ 神田錦町
【いただいたメニュー】
ドライカレー 1000円