【神田カレースタンプラリー(45)】レストラン1899お茶の水
2024年12月20日
神田カレー街食べ歩きスタンプラリー最終日。
とうとうこの日が来てしまった。
Aちゃんが辞めてしまった8月末からずっと、週3日神田で働く私の支えになっていたカレースタンプラリー。
今日は、忘年会の開催日。
幹事の社員さんが「是非」と言ってくださって、結局私を含む大多数の派遣さんが出席の返事をした。
定時まで働いた後、場所を移動して忘年会がある。
12月の第3金曜日はダサセーターの日。
みんなでダサいセーターを来て参加しようということになった。
社員と派遣の垣根無くみんなでそんな愉快な計画を企てるくらい、私はいつの間にか社内で打ち解けていた。
というわけで、今日は誰よりもダサいと自負しているセーターで出勤している。
トイレに行くたびに別の会社の人が慌てて目を逸らすので、私は自分の優勝を確信していた。(別に勝者を決するわけではないのだが。)
そんな格好で、一体どこへランチに行けば良いのだろう。
今日がスタンプラリー最終日。
ダサセーターで入店してもご迷惑でないカレー店はどこか。
大丈夫か、どこでも。
今日はコートを着て行こう。
会社から比較的近くに、まだ行っていないお店がある。
歴史あるホテルのレストランで、和風のカレーを出しているらしい。
おしゃれな高級ホテルのようなので、良い雰囲気のお店だといいな。(自分ダサセーターなのに?)
小川町の交差点を駿河台方向に進み、新御茶ノ水駅の入り口あたりまで上がった。神田方面から向かうと緩やかな上り坂。息切れ。
本当ならコートがいらないくらいの陽気だ。
スタンプラリーののぼり旗を発見し、ここが今日のお店「レストラン1899お茶の水」だと分かった。
緑のパラソルがおしゃれなテラス席の脇を通り店内へ。
店内はほぼ満席。
ちょうど片付けたばかりの壁側の2人席に案内された。
席まで向かう途中、他のお客さんたちを見ると私のように時間に追われている雰囲気の人が1人もいない。
みなさんゆったりとアフターヌーンティーなどを楽しんでいらっしゃる様子。
ひょっとして、この店料理が出るのもゆったりかもしれない。
前を歩いていた店員さんが「こちらのお席どうぞ」と言った次の瞬間、私は立ったまま「カレーひとつお願いします」と言った。
異常にせっかちな客だと思ってもらって構わない。このタイミングで注文しておくのが一番スムーズなはず。
この店であまり遭遇しないであろうテンポ感に戸惑う店員さん。戸惑いながらもさすがプロ、瞬時に笑顔に切り替えた。
「カレー…和出汁キーマカレー、1点、でよろしいでしょうか。ごはんは大盛りになさいますか?」
「普通でお願いします。」
「かしこまりました。」
注文できた。
恐る恐るコートを脱いで席に座る。大丈夫、誰も私のダサセーターには気づいていない。
他のメニューでも見ながら待つか、と思いテーブルを見ると、一枚の注意書きが。
あ、QRコードから注文しなきゃいけなかったんだ。
それは店員さん戸惑うはずだ。申し訳ない。
でも、結果一番スムーズに注文できたことは間違いない。自分の勘の良さに心の中でガッツポーズ。
参考までにもたもたスマホでQRコードを読み取っていると、店員さんがお水を運んできて
「カレー注文できておりますので!」
と、スマホで注文しなかった罪深い私を安心させてくれた。
テーブルに水を置き、にっこり微笑んだ顔が、私のセーターに気づいた途端に崩れた。
嗚呼。
本当に申し訳ない。
様子のおかしい客をさっさと追い出すべく、店史上最速で「1899和出汁キーマカレー」が提供された。
運んできた店員さんはさっきまでと違う人だった。
たぶん今頃裏で「ダサセーター」ってあだ名付けられてる。
望むところだ。メリークリスマス。
「ホテル龍名館」は明治32年(1899年)に創業し、神田お茶の水で100年余りに渡って愛されてきたブランドホテル。
2014年にホテルがリニューアルした際にメインダイニングとして開業したのが、この「レストラン1899お茶の水」だそうだ。
「茶を食す」和食レストラン をコンセプトとしており、この「1899和出汁キーマカレー」にもお茶が使われているらしい。
小鉢、お吸い物、そしてカレー。
これまでに食べたどのカレーとも違うアプローチにわくわくする。
カレーも気になるが、まずはお箸を手に取ってみたくなった。
奥の小鉢は大豆やこんにゃく、根菜とひじきの煮物。ほっとする味がして、やっぱり日本人は和食だという気持ちになる。
手前の小鉢は野菜のピクルス。私は実は福神漬けの甘さがあまり好きではないので、カレーと一緒に食べる漬物としてピクルスはかなり嬉しい。
スプーンに持ち替え、カレーを食べてみる。
和風!出汁が入っているからだろうか。
子供の頃から親しんできたカレーに、和の要素を加えて洗練させたような一品。日本人みんな好きな味。辛さはほぼ無い。
お茶の味は感じないが、きっと隠し味として人知れず良い仕事をしているのだろう。
トッピングもどれも良い。
揚げたレンコンはサクサク、ごぼうはしっとり。
エリンギはプリプリ、カボチャはやわらか。
ブロッコリーは蕾の部分?のつぶつぶひとつひとつの食感が生きている絶妙な蒸し加減。
断面が美しい半熟卵は出汁に漬け込まれたもののようで、一手間加わった美味しさがあった。
食材のひとつひとつが丁寧に磨き上げられている。
お吸い物とカレーもまた合う。
和出汁による調和。
こういうのもいいな、と思えた和風カレーの成功例だった。
ごちそうさまでした。
入店から会計まで20分。
レジで「スタンプラリーのQRコードを…」と言うと、店員さんが出してくれて読み取らせてもらった。
「カードは配布終了しております。申し訳ございません。」と丁寧にアナウンスしていただいた。
「ありがとうございました。」と深く礼を言い、店を後にした。
40店舗目のスタンプだ。
スタンプポイントも合わせた取得スタンプ合計は45個。
これにてチャレンジ終了。
全てのカレーは私の血となり肉となり、働く理由となった。
ありがとう。ありがとう。
メリークリスマス。神田の皆様。
静かな達成感に包まれながら坂を下って職場に戻った。
その夜の忘年会は大いに盛り上がり、ダサセーターの仲間たちとたくさん写真を撮った。
Aちゃん以来誰ともLINEを交換してこなかったが、初めて職場の人とLINEを交換し、写真を送ってもらった。
どの写真も私は笑っていた。
この日ランチしたお店
レストラン1899お茶の水
🍛神田カレーグランプリ RESTAURANT 1899 OCHANOMIZU
【いただいたメニュー】
1899和出汁キーマカレー 1200円