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もしいま、幸せじゃないと思っている人がいたら読んでほしい。「カニカマ人生論」清水ミチコ著/幻冬舎 【ご報告】読書の秋2022 幻冬舎賞受賞

私はnoteで「幸せって何だろう」と
書かれている方へのコメントで
「幸せだなって、思えたときが幸せ」
よく書く。

「幸せ」という言葉は、
いい会社に入っていい給与で働いていたり、
好きで好きでたまらなかった人と結ばれて
ミルク&ハニーな日々を過ごしたり、
なぜかある一定の身分を手に入れた
状態に偏って言われている気がする。
しかし、
もちろんいいコトばかり
起こる会社はないし、
ミルク&ハニーの味がずっと
甘い訳ではないのだ。          

                        *

清水ミチコは書く。

「まずまずの不運の中にいるけれども、
時折光がさす時がある。
それで充分なんだわ(続く)」。

つまり人生はもともと、そんなに
都合よくはいかないように
できているのだ。
だから「幸せだなって、思えた」
時折光がさす時に
幸せと感じて生きることができれば
それがいい。               

                      *

「カニカマ人生論」(幻冬舎)は、
人生の幸福を謳歌しているかのような
清水ミチコが、
あるいは「清水美智子」が、

「私にはまわりばっかりが幸せに見えて、
自分だけ不公平な思いをさせられていると
感じてたけど、自分だけではないのか?
誰もが儚い時間を並列に過ごして
いるのかもしれない」


と考えながら生きてきたという事実が
端々から伝わる半生記だ。
だからこそ全体にしみ込んだ
しっとりとした湿り気のあるトーンがいい。

もちろん清水ミチコには才能がある。
けれども、
あたかもサンキャッチャーが
忘れたころに反射させる光のように、
ふとした瞬間に幸せを感じることができる
清水ミチコの言葉で語られるとき、
この私でさえ似た思い出があると感じる
エピソードに満ちている。
私は彼女の内面を追ううちに、
いつしか自分自身の内面を見つめていた。
そして、私自身もこの本で救われた。

もしいま、幸せじゃないと思っている人がいたら読んでほしい。

このたび「#読書の秋2022」投稿コンテストで幻冬舎賞をいただきました。
本企画の趣旨に鑑み、ご報告させていただきます。
株式会社幻冬舎さまありがとうございます。






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