あきらめない気持ち。湘南ベルマーレ、J1残留!
J1からJ3まで3つのディビジョンに分かれたJリーグでは、
最高峰のJ1で16位になると、その下のJ2で3位から6位のプレーオフを
勝ち抜いたチームとのJ1参入プレーオフ決定戦(一般的には入れ替え戦)
をJリーグ最終試合として戦うことになる
(J1/17・18位とJ2/1・2位は自動的に入れ替え)。
そして、私の応援する湘南ベルマーレは、J2・4位の徳島ヴォルティスと
J1参入プレーオフを戦うことになった。
今年、2回しかスタジアムで応援できなかった私は、
12月14日(土)、最後の最後、この決戦に間に合った。
いきなりの失点で降格危機
座席はもちろん「Shonan BMW スタジアム平塚」ホームゴール裏、
いわゆるサポーター席だ。
しかし年数回しかスタジアムに行かず、
しかもガンバ大阪と清水エスパルスも応援している
私は、もちろんサポーターではない
(詳しくは、いつかサポーターに関するnoteで)。
それでもゴール裏では前後半90分の試合中は立ち続けて応援し続ける。
いや、正確に言えばキックオフ前に選手を乗せた
バスが到着するときから声を張り上げる。
そして私は、入場時のチャント
(一定のリズムをもった応援歌あるいは声援)を、
青空に反響している感覚にひたりながら、歌った。
ベルマーレ ビッグウェーブ オーオーオオーオーオーオー♪
試合は開始数分はベルマーレの動きがよく
「やっぱりJ1とJ2は実力が違う」などと高を括っていた私は、
その後、ミスが続きシュートに消極的なベルマーレのプレーに
ため息をつき続けることになる。いや、それ以上にスペイン人監督に
鍛えられたヴォルティスの組織的なサッカーに翻弄されてくるのだ。
そして前半20分にあっけなくゴールを許してしまう。
一瞬、静まるサポーター席。しかし、数秒でチャントを始める。
(手拍子)ベールマレ! (手拍子)ベールマレ! (手拍子)ベールマレ!
引き分けならJ1側チームのJ1残留というルールはあるが、
得点機会の少ないサッカーの試合で、先制点の占める影響は大きい。
もちろん、このままで終われば、ベルマーレはJ2に降格し、
再びJ1に昇格できる保証はない。
あきらめるな、前を見よう!
0対1のまま前半が終了し、後半戦開始の直前だった。
サポーターをまとめるコールリーダーが拡声器でこんな
意味のことを言った。
「(劣勢だが)僕たちは、沈んではいられない」。
そして、ヴォルティスに先駆けて、選手入場前にチャントを開始したのだ。
このとき私は、この気持ちがあれば、ゴールできる、と思った。本当に。
そのチャントは、後半キックオフ前に、ベルマーレのシンボルでもある
あのフレーズに変わる。
BMWで共に闘う 俺らは歌うのさ 湘南のために♪
すると、後半から投入したクリスラン(ブラジル)がフォワードの柱となって
攻め込む機会が増える。そして後半19分、ゴール前で
そのクリスランがスルーしたボールが転がり、
松田天馬がゴール右隅に蹴り込んだ。
歓喜のスタジアム!
ゴォ~ル!のスタジアムアナウンス!
突き上げる拳!
周囲の見知らぬサポーターとのハイタッチ!
しかし、すぐさま試合は再びヴォルティスがペースを握り、
危ないシーンが続く。
最早、チャントはその不安をかき消すような気持ちで続けていると
言ってもよいほどのゲーム展開となった。
90分を超え、(試合中断時間を加える)アディショナルタイムは4分。
1点の失点も許されない状況下でこの4分は、しびれるほど長い。
どんな時でも 何も恐れず 自分を信じ闘え♪
残り1分もない時間帯で、このチャントを歌う。
終わり! 終わり! とサポーターが叫び、私も叫ぶ。
そして、そして、ようやくタイムアップ。
再び、BMWに歓声が上がった。
シーズンの逆境のなかでの勝利
ベルマーレの浮嶋 敏監督は、試合後のインタビューで
次のように語っている。
「逆境のなかで乗り越える、っていうのが湘南のDNA」。
今季、ベルマーレは、8年間、チームの指揮を執り
攻守で先を追い越すように走る“湘南スタイル”を築き上げた
チョウ・キジェ監督がパワハラ問題で8月に出場停止に追い込まれ
その裁定決定も2か月にわたって延びたため、
その間を事実上の指揮官不在のままプレーしなければならず
ついにはパワハラによる指揮官辞任という
Jリーグ史上で例がない絶望的な出来事を経験した
(この事件に関しては憶測で語ることはしない)。
したがって浮島監督の「逆境」という言葉は、大げさでも何でもないのだ。
ベルマーレサポーターは、つまり夏から何度もあきらめかける思いを
強いられ続けながら、この日のJ1残留を勝ち取ったのだ。
だから本当に「ようやくタイムアップ」だったのだ。
そして私はBMWで、「あきらめない気持ち」を、サッカーから学んだ。
最後に、徳島ヴォルティスの選手・サポーターの皆さん、
素晴らしい試合を、ありがとう。
つぎは、再来年、J1で。
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