人間は、自分で自分を鼓舞するしかないのである。
と言ったのは辻仁成さん
(『ボンジュール!辻 仁成の秋のパリごはん』)。
3度の離婚を経験し、
“シングルファーザー”として、
受験を控えた息子さんとパリで暮らす日々を
伝える映像からは、
うらやましいほど自由でアクティブな空気が伝わる。
とはいえ、カメラがない時間には
私たちと同じ人間としての
苦悩が渦巻くのだろうか。
冒頭のこの言葉は、
そんな背景を想像させる。
しかし、
息子と自分のために料理を作り、
現地のミュージシャンたちと
「オー・シャンゼリゼ」を歌い、
お気に入りの店で買い物をし、
顔なじみの友と道端で立ち話 をする、
その表情、その声の一つひとつから、
やっぱり、
うらやましいほどの幸福感が伝わる。
自分も、
「自分を鼓舞しよう」と
改めて思わせてくれるのだ。