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捨てられる銀行 (橋本 卓典)

(注:本稿は、2019年に初投稿したものの再録です)

 大いに話題になっていたのでとても気になっていた本ですが、ちょっと読むのが遅くなってしまいました。

 2015年、森信親氏金融庁長官に就任しました。
 本書でテーマとされた森長官の改革は、金融機関の事業性を評価する新基準の制定、金融検査方法の変更をはじめ業界再編も視野にいれたもので、地方銀行にとってはコペルニクス的転換を求める衝撃的な内容だったようです。

 「はじめに」に記された著者の指摘は、とても明瞭にこれからの地方金融機関の在り様を突いています。

(p6より引用) 顧客本位の営業とは無縁の飽くなき貸出規模の拡大と低金利での貸出競争に明け暮れ、地元企業の苦境や人口減の末路に目を向けていないとしたら、地銀は一体何のために存在するのか

 本書で紹介されている森長官の改革の具体的アクションとそれに関わる登場人物の姿はリアリティに満ちていてとても興味深いものでした。

 もちろん、着手した地銀改革は森氏の在任中に完遂される訳でもありません。大きな業界変革の胎動は始まったばかりです。

(注:そういえば、森氏が金融庁長官に就任した2015年ごろは、ちょうど私も地方銀行さんをお客様とした仕事をしていたころでしたね)



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