3つの成功サイクル (川西 茂)
パラダイム・マジック
新しい一歩を踏み出すことを妨げている大きな要因は、一人ひとりが持っている「パラダイム(固定観念・既成概念)」にあります。
「7+3=☐」の☐を考えさせるのは、「ひとつの答え」を求める画一的な教育であり、「☐+☐=10」の☐を考えさせるのは、「多様な可能性」を求める柔軟な教育です。私たちは多くの場合、幼い頃から前者の思考スタイルに慣らされてきています。
(p28より引用) 知らず知らずのうちに固定的に物事を考えてしまうことを、私は「パラダイムマジック」と呼んでいます。・・・
多くの人は自分の可能性や行動範囲について、まるでそれが「揺るぎない真実」であるかのように思いこみ、その考え方から抜け出すことができないでいるのです。
著者は、「考える」際に私たちが陥りがちな6つの問題点を指摘しています。
問題1 制限を受ける
問題2 固定観念にとらわれる
問題3 パターン化してしまう
問題4 むずかしく考えすぎる
問題5 部分しか見ていない
問題6 近視眼的に見てしまう
これらの思考における無意識の指向を打破することが「パラダイムシフト」であり、新たな発想の原点となるのです。特に私の場合は、「問題3」の陥穽に陥りがちなので気をつけなくてはなりません。
「パラダイム」を変えること(=パラダイムシフト)の応用形として有益な示唆がありました。
「環境を変えたければ自分を変えればよい」とのアドバイスです。自分だけの力で環境を変えるのは困難ですが、自分を変えるのは自分だけでできるはずです。
(p306より引用) 変えられないはずの「過去」は変えることができる「今」を変えることによって変わってくる。変えられないはずの「他人」は、変えることのできる「自分」を変えることによって変わってくるのです。
「自分」を変えることによって、「対象との関係性」を変化させるのです。それによって、変えられないと思っていたものの位置づけや意味づけを変化させようという考え方です。
サイクルを回す12の歯車
著者によると、最高の成果をあげている人は、3つのサイクルをバランスよく回していると主張しています。
1 パフォーマンスサイクル (1目標 2思考 3行動)
2 パワーサイクル (4情報力 5段取力 6自律力 7改善力)
3 キャラクターサイクル (8自覚 9主体性 10楽しむ 11徹底 12継続)
このサイクルの12の歯車は、具体的には以下のようなストーリーの中で動き続けます。
(p478より引用) まず、「目標」を立てることが最も重要である。目標を達成するためには、「情報」を入手して「思考」し、「段取り」よく「行動」を起こし、「自律」して行動することで、「結果」が生まれ、「改善」することで、次の目標は、さらに高い目標設定が可能となる。そういったサイクルをより強力に回すために、本人が「自覚」をもって「主体的」に「楽しみ」ながら行動し、「徹底」して「継続」することで、BPPと言われる人と同じような、最高の成果を上げることができる。
本書は、上記のサイクルのひとつひとつのステップについて、例示をあげながら分りやすく説明していきます。
たとえば、「情報力」の項では、「オズボーンの発想チェックリスト」が紹介されています
(p250より引用) 1つのアイデアを「転換」するのに役立つチェックリスト
1.転用・・・ 2.応用・・・ 3.変更・・・ 4.拡大・・・ 5.縮小・・・ 6.代用・・・ 7.置換・・・ 8.逆転・・・ 9.結合・・・
「段取力」の項では、米国のコラムニスト、シドニー・ハリス氏によるこんな辛口のフレーズも紹介されていて、少々耳痛いものがあります。
(p262より引用) 「いつも急いでいる人は、自分がエネルギッシュだと思い込んでいるけど、ほとんどの場合、単に仕事の効率が悪いだけだ」
また、「行動力」に関する著者のアドバイスです。
(p188より引用) 人間の「行動する力」もオートマチック車と同じで、欲求や責任感によって常に前に進もうとする力は働いています。しかし、なかなか進まないとすれば、それは何かのブレーキがかかっているのです。
まずは何がブレーキになっているのかを見つけ、その要素を取り除くことからはじめなければなりません。
サイドブレーキを引いたままで、いくら「がんばれ」といってもダメだというわけです。
ここでの「ブレーキ」の取り除き方として著者が薦めている方法は、「小さなハードルを設定して、それをクリアすることにより、やればできるという成功体験を積み重ねる」ことです。これは、以前紹介したロバート・マウラー氏が「脳が教える! 1つの習慣」で紹介している方法と全く同じです。
ただ、いずれにもまして最も重要なことは、自分の「目標」を立てることです。自分の「ポーラスター」は自分で見つけなくてはなりません。
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