(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
著者の半藤一利さんの著作は、今までも何冊も読んでいますし、先日も「墨子よみがえる」や「戦争というもの」を読んだところです。
やはり、半藤さんの戦争反対・平和希求への想いや言葉は強く心に沁み入ります。
本書もそういった流れの中で手にした本です。
澤地久枝さん、保阪正康さん、戸髙一成さん、加藤陽子さん、梯久美子さん、野中郁次郎さん、吉村昭さん、丸谷才一さん、野坂昭如さん、宮部みゆきさん、佐野洋さん、辻井喬さん。これら12人の方々と半藤さんとの対話からどんな新たな気づきが得られるか、楽しみで読み進めましたが、その中で、私の印象に残ったところをいくつか書き留めておきます。
まずは、「指揮官たちは戦後をどう生きたか」との章で、保阪正康さんが語るあまりにも酷いエリート軍人の言葉。
戦時中ではなく、戦後、生き残った人の言葉ですから、なおさら最低です。
次は、半藤さんの「山本五十六」評。
基本的には、反戦派だった山本五十六を評価している半藤さんですが、真珠湾攻撃の際の彼の姿勢を捉えて、こう語っています。
そしてもうひとつ、「戦後六十年が問いかけるもの」との章で、思想のない玉虫色の憲法改正草案を材料に語る辻井喬さんが紹介した三島由紀夫のエピソード。
辻井さんと半藤さんとの対談は、お二人ともご自身の頭の中でしっかりと整理された思想を基に話されているので、とても勉強になりますね。
さて、多彩なテーマの興味深い対談が盛りだくさんの本書ですが、採録された対談の内容でも示されているように、「昭和史」といえば「太平洋戦争」の記憶と記録は外すことはできません。
保阪正康さんとの対談の最後ではこういうやり取りが交わされていました。
決して忘れないように、決して風化させないように。
今日の世情を鑑みるに、半藤さんの警句がますます重みを増してきたようです。