見出し画像

限りある時間の使い方 (オリバー・バークマン)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 通勤で利用しているJR駅のエキソトにある書店で平積みになっていました。気になっていたのですが、いつもの図書館にも所蔵されていたのでさっそく借りて読んでみました。

 「時間管理」をテーマにしたHowToモノはよく見かけますし、最近では「コスパ(コストパフォーマンス)」と並んで「タイパ(タイムパフォーマンス)」という言葉も一部で使われているようです。

 紹介文を読む限りでは、本書はちょっと切り口がユニークそうですね。私の興味を惹いたところから、2、3覚えに書き留めておきましょう。

 まずは、著者の議論のスタートとなる「時間管理」についての基本スタンスです。

(p56より引用) どんなに効率的にやっても、忙しさは終わらない。その事実を理解していれば、いつか平穏な日々がやってくるのではないかという非現実的な期待を持たなくてすむ。理想的な未来を待ちわびるかわりに、今の生活に平穏を見いだすことができる。

 “ひとつのことをやり終えたと思っても、すぐその余白はすぐ次のことが埋めてしまう”、そしてそういった現実に加えて “自分ができることには限界がある” ということを理解するのです。

 限界を意識すると、「将来」に期待する無意味さと「今」の大切さに気づきますね。

(p156より引用) 実際、人生のあらゆる瞬間はある意味で「最後の瞬間」だ。時は訪れては去っていき、僕たちの残り時間はどんどん少なくなる。この貴重な瞬間を、いつか先の時点のための踏み台としてぞんざいに扱うなんて、あまりにも愚かな行為ではないか。

(p159より引用) 人生の「本当の意味」が未来にあると信じることで、今この時を生きることから逃げているわけだ。

 “未来を夢見る” ことが全く無意味だとは思いませんが、それがために “今” を軽んじるのはある種 “無責任” ですし、確かに目の前の現実からの “逃げ” であり、その “言い訳” とも言えます。

 本書を通じて説かれている著者の主張は、
「時間を効率的に使って、やるべきだと思うことを全てやろうとしても無理。目の前にある『次にすべきこと』『それしかできない』ことをやろう、すなわち“今、やれることをやろう”
ということのようです。

 そのアドバイスは直截的で首肯できるものです。
 ただ、そのことを伝えるのに本書の説明はあまりにも冗長です。ページを繰るごとに立論が深まっていくのではなく、同じところをぐるぐる回っているだけのような説明ぶりです。
 それこそ “タイパ(タイムパフォーマンス)” が悪い本でしたね・・・。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?