(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)
恥ずかしながらユヴァル・ノア・ハラリ氏の著作を読むのは初めてだと思います。
私たちが現在直面している21の重要テーマについての論考です。
もちろんどの考察も興味深いものですが、それらの中から特に私の興味を惹いたものをいくつか覚えに書き留めておきます。
まずは、「2 雇用」の章での「AI」について論じているくだり。
さすがに “現代の歴史学者” の知識は技術的ジャンルでも一流のようです。というより、そういった科学的知見も有しないと「人類の歴史」は語れないということでしょう。
次に「3 自由」の章での「自動車自動運転アルゴリズムと倫理」についての議論。
「トロッコ問題」における採るべき行動について何が正しいのか、アルゴリズムの実装においては何らかの明確な選択が求められます。
「AI」が社会で実働するということは、人間に代わって “AIにこういった「倫理(哲学)的判断」を委ねた世界を受け入れる” ということなのです。
そして「14 世俗主義」の章での「陰の面を認める」ことの価値について。
教条主義の自信過剰よりも非教条主義の慎ましさに信を置く考え方です。それは、ソクラテスの “無知の知” にも通底するものです。
さて、本書を読み通しての感想です。
“このところ休業状態だった脳のパート”を使おうとあがいてみたのですが、予想どおりなかなか思うようにはいきませんでした。情けないことに集中力が「2行」と持ちません・・・。休業中だと思っていたものが、実際はどうやら “消滅” していたようです。著者の論理の筋道を何とか辿れたのは、全体の1割にも満たないでしょう。
とはいえ、著者の抱く現代社会が直面している “危機感” は大いに伝わってきました。それだけでも本書を手に取った意味はあると思います。
やはり、時々は、こういったしっかりとした内容の著作に触れるトライだけはし続けたいものですね。