妻と別れたい男たち (三浦 展)
(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)
ちょっと心情的には複雑なのですが、妻が「ザッと読んだので」といって渡してくれた本です。
ただ、内容は、かなり「?」なものでした。基本的には、首都圏1都3県在住の40~64歳の男性2201名へのインターネット調査をベースにした考察です。
たとえば、こういった分析結果が書かれています。
さて、この結果をどう評価しましょう。
前述したように、調査の母集団は首都圏の男性のみ。しかも、2000人程度のサンプルに過ぎません。学歴とか職業とかの説明変数も大雑把で、結果の評価にあたっても、有意水準の仮説検定を行っているようには見えません。
たとえば、第三章「夫婦の地域格差」では、1都3県を26ブロックに分けて考察していますが、2000名程度のサンプルを26に分けると平均して80名程度。それで何か有意な傾向を求めようとするのが無理な話です。ブロックによっては一桁のサンプルの場合もあるようです。
と著者もコメントしていますが、それは当たり前でしょう。あまりにも統計的方法論が粗雑過ぎます。
とのコメントに表れているように、著者は本テーマを「階層問題」としてとらえようとしているようですが、示されているデータでは十分な説得力は(残念ながら)ないですね。
そして、最終章で、家族や会社の同僚以外に友人を作れと主張されると、正直、これまでの立論?はなんだったのかという気になります。
久しぶりに、とんでもなく内容・構成ともに貧弱な著作を読んでしまいました・・・。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?