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日蓮伝説殺人事件 (内田 康夫)

 かなり以前に読んでいた内田康夫さん“浅見光彦シリーズ” ですが、このところ、私の出張先が舞台となった作品を、あるものは初めて、あるものは再度読んでみています。

 ただ、私の出張先も以前勤務していた会社のころを含めるとそこそこの都道府県にわたるので、どうせなら “シリーズ全作品制覇” にトライしてみようと思い始めました。

 この作品は「第34作目」です。今回の舞台は “山梨”

 「山梨」には、最近、今の会社の出張で太陽光発電設備の視察に行ってきました。
 プライベートでは、河口湖や山中湖といった富士五湖あたりには家族ドライブで何度も訪れています。山中湖のほとりの「森のアルム」という可愛らしいカフェがお気に入りだったのですが、もう長い間顔を出していないですね。

 ミステリー小説ですからネタバレになるとまずいので内容には触れませんが、なかなかの力作だと思います。
 ラストにずっと引っ張ってきた “謎解き” を残して収束させる構成も(少々強引なところもありますが、)秀逸です。

 とはいえ、本作、内田さんにしては珍しく舞台となった “山梨” にはかなり厳しい感想を開陳しています。
 「宝飾品業界の旧弊」にはじまり「チグハグな都市設計」「看板倒れの名物ほうとう」・・・、もちろん、物語の舞台設定上、意図的に大袈裟に描いているようでもありますが、どうやら以下のようなくだりをみると、そうとばかりは言えません。

(p491より引用) その皮肉な顔に、浅見は保守王国と言われる甲州の体質を見たような気がした。・・・どこかに浪花節めいた、しがらみの濃さを感じさせる。・・・あえて「正論」を通すことをしないのも、やはり義理人情のしがらみに自ら縛られているためなのだろう。

という光彦の頭の中の思いは、まさに内田さんのそれなのでしょうね。

 さて、取り掛かってみている “浅見光彦シリーズ制覇チャレンジ”、それほど強い意志をもって完遂しようとも思っていませんので、まあ、“どこまで続くことやら”です。

 次は、35作目の「琥珀の道(アンパーロード)殺人事件」ですね。



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