「ビートたけし」という芸人でもあり、「北野武」という映画監督でもあるたけしさんのエッセイです。
芸能関係の方の本はあまり読みません。エッセイというジャンルでは、高倉健氏による「旅の途中で」以来でしょうか。
本書で、たけしさんは、「品」とか「粋」とかについて、自身の経験を踏まえた考え方を開陳していきます。
たけしさんの考える「品」は、いたずらに「夢を追わない」「身の丈にあった」ところにあります。
「他人に迷惑をかけない」「礼儀をわきまえる」といった普段の心遣いが大事だというのです。
さらに「粋」となると、ただ「品」が良いだけでなく「かっこよさ」が加わります。
この「気遣いの仕方」がポイントです。そこで登場するのが、あの高倉健さんです。高倉健さんの周りの人への気遣いの凄さは、常に「高倉健」を演じきっている姿だとたけしさんの目には映ります。
さらにたけしさんの師匠の深見千三郎さんの「粋」な台詞も紹介されています。
これには、シビレますね。
本書の「あとがきにかえて」で、たけしさんの詩が載っています。
さて、「品」「粋」に続いて、たけしさんの話題は「作法」に広がります。
どんな世界にも「作法」があり、作法が「品格」につながるのです。辛口で知られるたけしさんですが、「悪口」を言うにも作法があるといいます。
この本でも、高倉健さん・渡哲也さんら実名が出ている方々は、すべて「褒め言葉」の対象ですね。
最後に、たけしさんらしいフレーズをひとつ。