大人のための生物学の教科書 最新の知識を本質的に理解する (石川 香・岩瀬 哲・相馬 融)
(注:本稿は、2024年に初投稿したものの再録です。)
いつも利用している図書館の新着本リストで目についた本です。
高校生のときは文系クラスだったので、理科は「化学Ⅰ」「生物Ⅰ」を選択していました。そのころから生物はそこそこ得意で、今でも「生物学」については結構関心があります。
本書は、ブルーバックスの新刊ということもあり、さっそく手に取ってみました。
最近の話題を踏まえたテーマの選択は、私のような “生物学素人” にはありがたいですね。
それそれの章ごとに興味深い話は多々ありましたが、その中から特に印象に残ったものをいくつか覚えとして書き留めておきます。
まずは、「呼吸と発酵」。「呼吸」の基本で私が誤解していたところです。
「呼吸(酸素を利用した好気呼吸)」は「解糖系→クエン酸回路→電子伝達系」というステップでATP(アデノシン三リン酸)を生成します。
ミクロなレベルでは、“とても複雑な反応の連鎖” でエネルギーの生成がなされているのですね。
もうひとつ、“マクロ的視点” の話題、「森の意義」について。
そして、恐ろしいことは、その営々として積み上げられた時間の堆積が、一瞬の人工的営為で破壊されてしまうという今の現実なのです。
さて、本書を読み通しての感想です。
著者の相馬融さんが「あとがき」に、本書の構成(目次立て)の骨子をこう記しています。
まさにこの目次が示しているように、本書の魅力は、生物学への誘いとしての「体形的な網羅性」にあると思います。
私にとっては、はるか昔の学生時代の記憶を思い起こしつつ、最新の研究成果の一端に触れるという貴重な体験と新たな刺激を得ることができました。