細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入門 (森 和俊)
(注:本稿は、2016年に初投稿したものの再録です)
ブクログという書籍サイトから頂いたので読んでみました。
細胞内で営まれているの生命活動の基本機能を平易な言葉で解説してくれます。ただ、言葉は平易ですが、内容は私にとっては「入門書」の域を越えていました。
たとえば、遺伝子とゲノムについて説明しているくだり。
「ゲノム=遺伝子」ではありません。「ゲノム⊃遺伝子」です。
この程度の記述内容なら誰でも理解できると思いますが、DNAに書き込まれた遺伝情報がRNAに写し取られる「転写」や、RNAに写し取られた遺伝情報がタンパク質のアミノ酸配列に転換される「翻訳」のプロセスの詳細な説明になるともうだめです。mRNAの登場までが限界で、RNAポリメラーゼ、キャップ形成因子、TATAボックス・・・???
しかし、著者の解説を読めば読むほど生命の礎としての「遺伝の仕掛け」に驚愕せざるを得ません。
一体どういったプロセスでこういった仕組みができあがったのか・・・、近年、“人工知能が人間を超える”といったニュースが話題になっていますが、「人工」が「生命」を超えることは絶対にないだろうと思いますね。こういう仕組みだと分かったとしても、そういう仕組みを「0」から創り出すことは・・・、まさに生命の驚異・宇宙の神秘です。
たとえば、細胞内でのタンパク質生成のプロセスの一部を説明しているくだりです。
こういったタンパク質の生成にはじまり、小胞体ストレス応答として解明された自律的な修復や破壊のプロセスまでがゲノムに組み込まれて実際駆動しているのですね・・・。
さて、本書は京都大学での著者森和俊教授の講義内容を書籍化したものとのことですが、「おわりに」に記された著者のメッセージを最後に書き留めておきます。
教育者、学究の先達としての著者の励ましの言葉ですね。
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