寂聴 残された日々 (瀬戸内 寂聴)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
瀬戸内寂聴さんの著作は一冊の本になっているものとしては読んだことがないのですが、単発のエッセイを拝読したり、マスメディア等に登場してあれこれお話ししている姿は時折見かけたりしていました。
また、30年以上前ですが、私の友人の弟さんが寂聴さんのお手伝いをしていたことがあり、そのころから何となく気になっている方でした。
本書は、朝日新聞に連載されたコラムを再録した寂聴さんの最晩年のエッセイ集です。
そこに記されている様々なエピソードから最も私の印象に残ったものをひとつ書き留めておきます。
「中村哲さんの死」。
2019年12月12日に掲載された寂聴さんの悲痛な思いが迸る一文です。
中村さんの功績を知りその半生を思うにつけ、改めて素晴らしい人柄の稀有な人物だったと感じ入ります。
中村さんの不運を悲しむ人は世の中にそれこそ数限りなく・・・、この不幸は、まさに、不条理。理不尽の極みです。