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大前研一 洞察力の原点 プロフェッショナルに贈る言葉 (大前 研一)

(本稿は2011年に初投稿したものの再録です)

 私は “大前教” の信者ではありませんが、氏の著作は30年ほど前の「企業参謀」をはじめとしてある程度は読んでいます。

 本書は、大前氏の数多くの著作の中から、Twitterの「ohmaebot」のノリで代表的なキーフレーズを選び出して採録したものです。約250のフレーズが、
「第1章 答えのない時代に必要なこと」
「第2章 基本的態度」
「第3章 禁句」
「第4章 考える」
「第5章 対話する」
「第6章 結論を出す」
「第7章 戦略を立てる」
「第8章 統率する」
「第9章 構想を描く」
「第10章 突破する」
「第11章 時代を読む」
「第12章 新大陸を歩く」
「第13章 日本人へ」
といった項目ごとに分類され、原本のまま引用されています。

 たとえば、「第1章 答えのない時代に必要なこと」から。

(p22より引用) 生命力の強さ
誰かに答えを教えてもらうことに慣れた人間より、自分に忠実であり、自分なりの解を出せる人間のほうが生命力が強いに決まっている。 『考える技術』

 こういった「自分で答えを出せ」という姿勢は、多くの大前氏の著作で共通的に発せられているメッセージですね。

 本書の「第10章 突破する 正解への道」の中でも「答えのない時代」でのサバイバル方法としてこんなフレーズが紹介されています。

(p190より引用) 正解への唯一の道
答えのない世界では、新しいことにトライして、試行錯誤していく能力が問われる。「リスクを取る」ということが、正解への唯一の道となる。リスクを軽減しながら、答えのない危険な道を歩むことが、成果を出すための当たり前の方法となるのだ。 『大前の頭脳』

 また、同様の問題意識からのコメントが、最終章の「第13章 日本人へ」でも繰り返し述べられています。

(p245より引用) 答えは自分の外側にあるのか?
日本人は「どこか自分の外側に答えがある」と勘違いしている。そのため、何か困ったことに突き当たると、最初から「この問題の答えはどこにあるのか、何なのか」と考えてしまう。自分が「解決すべき問題はそもそも何か」を考えずに、目先の問題への答えばかりを見つけようとする。 『日経コンピュータ』2008年3月24日号

 そのほか、よく言われる「変化への対応」についての大前氏のアドバイス。

(p99より引用) 変わるべきは自分である
自分の思い込みや思考のクセを排除し、ファクト・ベースで考え、議論する。その結果、変わらなくてはいけないのは自分であり、自社である、という発想ができるかどうかがいま問われているのです。 『ザ・プロフッショナル』

 「自分が変わるべき」という指摘であればどんな書き物にも見られます。大前氏はさらに一歩踏み込んで、自らが変わるための動機づけのステップとして、「ファクトベース」の議論を薦めています。
 とはいえ「事実からの気づき」を具体的な自己変革のアクションに結び付けられるか、なかなか難しいところですね。

 最後に紹介するフレーズは、「アイデアと独創性との関係」に言及したもの。「第9章 構想を描く」からです。

(p180より引用) アイディアの証明
新しいアイディアが生まれると、あとは計算と実験によってそのアイディアを証明することだ。だが、このアイディアだけを独創性と思い込む風潮が、ないでもない。アイディアは具体的な「道具」、計算や実験によってはじめて意味あるもの、すなわち独創性に変わるのだが、この当然なことが案外に私たちにはわかっていないようである。 『悪魔のサイクル』

 さて、本書、安易なつくりといえばそのとおりですが、改めてヒントになるアドバイスもそれなりにありました。ただ、もしこの手の体裁の本が好みであれば、「ドラッカー365の金言」から手に取るべきでしょう。



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