多読術 (松岡 正剛)
松岡正剛氏の本は、今までも、「17歳のための世界と日本の見方―セイゴオ先生の人間文化講義」、「日本という方法‐おもかげ・うつろいの文化」、「白川静 漢字の世界観」等をはじめとして何冊も読んでいます。
それらの著作からも垣間見ることができるように、松岡氏の読書の量はとてつもないものがありますし、その読書の守備範囲もまた極めて広きに及んでいます。まさに、「読書の超人」であり現代の「読書の先達」のひとりです。
そういう松岡氏は、「本を読むこと」をこんなふうに例えています。
従来より松岡氏は、「編集工学」という方法論を提唱しています。
松岡氏によると「編集工学」は、「意味的な情報編集のプロセス」を研究して、人々の世界観がコミュニケーションを通じてどのように形成されていくか、変容されていくかを展望することを目的としているとのこと。
松岡氏からみると、「読書」は、数ある「編集」活動のひとつであるということになります。
松岡氏は、これからの読書論は「方法としての読書」として提案されるべきと考えています。
その立場から、本書では、松岡氏流の多彩な「読書術」が披露されていますが、その中のひとつで私が関心をもった「方法」を書きとめておきます。
もちろん中核は「読中術」ですが、「そもそもどんな本を選ぶのか」から読書は始まっています。自分の「好み」を大切にして「キーブック」から連鎖的に広げて行くというイメージでしょうか。ただ、「自分の好み」だけに重きをおくと、意外な本とのめぐり合いのチャンスは少なくなります。
「キーブック」を見つける際にも、また、読書の幅を広げる際にも、大事な方法が「他者からの推薦」です。
松岡氏が高校卒業のとき、中学の国語の恩師から薦められた本は、伊藤整訳「チャタレイ夫人の恋人」の初版本だったとのことです。
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