人間ってなんだ (鴻上 尚史)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
いつも聴いているピーター・バラカンさんのpodcastの番組に著者の鴻上尚史さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。
20年以上にわたって鴻上さんが「週刊SPA!」に連載していたコラムから、これはという作品を選りすぐって書籍化したものとのこと。
通底するテーマは「人間」です。
執筆当時ならではのエピソードもあれば今でも相変わらずといったネタも並んでいて、とても興味深いのですが、それらの中から私の関心を惹いたところを書き留めておきます。
まずは、演出家蜷川幸雄さんが主催する「ニナガワ・スタジオ」というグループに所属している若者たちを見て鴻上さんが感じ、考えたこと。
「夢を見続ける」こと、そこには “強い意思と弛まぬ行動” があります。それをどこまで続けられるか。「才能がない」と悟るのは「続けられなくなったとき」ということでしょう。
鴻上説では、“才能の有無” は “(続けられたかどうかという)結果” であって、“あきらめない心を持ち続けられる”のが “才能” であり、その意味において “才能は成功の要因になる” ということのようです。
もうひとつ、鴻上さんが手掛けているオープンキャンパスでのエピソードです。
神戸で開いたオープンキャンパスの参加者に「進行性筋ジストロフィー」を患った車椅子の方がいました。二日間のプログラムが終わっての交流会の席上、車椅子の彼女も交えた参加者と鴻上さんとの会話です。
心に染み入る素晴らしいやりとりですね。こういう瞬間を大切にしたいものです。