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今日、ホームレスになった ― 13のサラリーマン転落人生 (増田 明利)

(注:本稿は、2012年に初投稿したものの再録です)

 妻が図書館で借りていたのですが、ちょっと内容が気になったので読んでみました。

 2006年発行の本なので、紹介されている多くは、バブル崩壊を契機としたリストラ等で失業した方のレポートとなっています。

 40歳代後半から50歳代になると再就職といってもとても厳しく、これといった落ち度がなくてもホームレスという境遇に陥ってしまう。著者はそういう現実を13人の方々へのインタビューで明らかにしていきます。

 数年前の年の瀬、日比谷公園での「年越し派遣村」が話題になりました。NPOによる活動が注目され、ホームレスの自立を支援する法律も十分ではないにしても少しずつ整備されていきました。

(p109より引用) 行政が行っている自立支援システムについてノブさんはまったく知識がない。というより、それなりの調査をしなければ分からないシステムを、どうしてホームレスの人が知り得るだろうか。

 さて、本書の内容ですが、「不況」の底深さが痛切に伝わってきますね。
 もちろん、一部には「自己責任」と言わざるを得ないケースもありますが、それも100%本人に非があるわけではありません。
 帯には「自分が彼らのようにならないという保証はあるのか」とありますが、採録されているケースは特異なものでもなく、それだからこそ2003年当時の調査で全国に25,000人ものホームレスの人が確認されているのです。

 本書が書かれてから6年経った現在、厚生労働省による「ホームレスの実態に関する全国調査(平成24年1月実施)」によると、全国のホームレス数は10,000人を切り減少傾向は続いています。
 しかし、体感的にはそれほどの改善が図られているのか・・・、形としての「ホームレス」は減少しているのでしょうが、いわゆる中間層の厚みはまだまだ回復していません。

 2002年8月7日に施行された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」は施行後10年で効力を失う限時法でしたが、2012年に5年間の延長が決まりました。

(注:そして、今は2022年。こういった「貧困・格差社会」はまったく改善されていないどころか、ますます酷い状況に陥り、“自己責任”“自助”といった言葉が大手を振って世にこだましています。この世情は“政治の無策”の結果以外の何物でもありません。)



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