ビジネスマンへの歌舞伎案内 (成毛 眞)
(注:本稿は、2015年に初投稿したものの再録です)
著者の成毛眞さんに指摘されるまでもなく、是非とも常識として知っておきたいジャンルのひとつが「歌舞伎」です。
私も以前からとても気になっているのですが、今までに一度しか実際の上演は観たことがありません。
本書は、まさにそういった私のような人にとっての歌舞伎入門書です。
特に、著者が紹介している「歌舞伎の楽しみ方」には興味深いものがあります。ストーリーも重要ですが、オーディオ・ヴィジュアルな世界として歌舞伎を捉えるのも面白いですね。
たとえば、ヴィジュアル。曾我物のひとつ「寿曾我対面」の著者評ですが、見所は唯ひとつだといいます。
もうひとつはオーディオ。取り上げられたのは、歌舞伎十八番のひとつ「勧進帳」です。
白紙の勧進帳を読み上げ、主である義経を打擲する弁慶の姿が見せ場のひとつですが、著者が挙げるのは、聞き取りにくい弁慶と関守の富樫とのやり取りでした。
こういったユニークな切り口からの歌舞伎の楽しみ方は、初心者にとっての初めの一歩を踏み出すハードルを大きく下げてくれますね。
もちろん、歌舞伎ビギナー向けの事細かなアドバイス、たとえばチケットの取り方から上演前後の過ごし方、お弁当のお薦め等々にも触れられていますし、代表的演目の解説も豊富です。
また、歌舞伎座の回り舞台の装置を手掛けたのは、はるか昔の人気クイズ番組「アップダウンクイズ」のゴンドラ昇降装置を手掛けた会社だといったような “トリビアねた” も随所に散りばめられているので、読んでいて楽しいですね。
私も、今年は久しぶりに、歌舞伎座に足を運んでみましょうか。
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