あっぱれ! 日本の新発明 世界を変えるイノベーション (ブルーバックス探検隊・産業技術総合研究所)
(注:本稿は、2024年に初投稿したものの再録です。)
日本経済新聞のサイトに紹介記事があったので、気になって手に取ってみました。
ここ数十年の日本産業界の衰退ぶりは顕著ですが、それでも地道な研究開発の営みは続けられています。
本書では、日本の代表的な公的研究機関・産業技術総合研究所における多彩な成果が紹介されていますが、その中から私の興味を惹いたものを1、2、書き留めておきます。
マルチマテリアル研究部門セラミック組織制御グルー プ 研究グループ長の福島学さんが取り組んでいる「熱伝導率の低いレンガ」の製造。その過程で「不規則な孔」の発生を抑える技術が必要になりました。
その解決策として浮かんだのが、北海道センターで行われていた「不凍タンパク質」の研究でした。
研究開発の成果が花開く道のひとつは、こういった “偶発的な発想の出逢い” かもしれません。
そうですね、私もそう思いますし、そうであって欲しいですね。
そして、研究開発の醍醐味を研究者自身が語っているくだり。
「音楽情報処理」をテーマに研究を続けている情報技術研究部門主席研究員後藤真孝さんの言葉です。
この研究開発から実用化に至るプロセスにおいて直面する障害は、研究者にとって、遥か以前から “死の谷” “キャズム” などの名前で呼ばれていた究極の課題ですね。
本書を読み通して、この課題を克服するひとつのヒントが、「産業技術総合研究所」という “基礎研究の総本山” の存在にあるように思いました。
研究テーマ同士、研究者同士の “セレンディピティ(Serendipity)” が実用化へのブレイクスルーになることを大いに期待したいものです。
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