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スローなブギにしてくれ (片岡 義男)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 ちょっと前に片岡義男さんの最近の書き下ろしエッセイ集「僕は珈琲」を読んだのですが、その独特の感性が気になって、彼の往年の代表作を読んでみようと思い立ちました。

 1975年に雑誌「野生時代」で発表されたとのことなので、もう50年ほど前の作品です。

 本書は、表題作「スローなブギにしてくれ」をはじめとして「モンスター・ライド」「ハートブレイクなんて、へっちゃら」「マーマレードの朝」「さしむかいラブソング」の計5編を集めた短編集。
 どの作品にも、街々の情景描写、男女のキャラクタ設定、オートバイ、たばこ、ファッションといった小道具類に、当時の時代が色濃く映し出されています。

(p229より引用) 昼のあいだ、美紀は、なんとなく学校にかよっているようだった。ノートや辞書をブック・ベルトでしばって持ち、出かけていく。

 “ブック・ベルト” といっても、今の人には分からないでしょうね。ちなみに私も学生時代には使っていました。
 こういった “ヴィヴィッドな時代感” は、今はもうどこにもなくなったようです。

 後年、映画化されたときの主題歌、南佳孝さんの「スローなブギにしてくれ (I want you)」も記憶に残る名曲ですが、彼らの曲が、また“シティ・ポップ” として脚光を浴びていますね。
 やはり、“あの頃” のインパクトは格別でした。



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