ルワンダでタイ料理屋をひらく (唐渡 千紗)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着書リストの中で目に留まりました。
ちょっと前に服部正也さんの「ルワンダ中央銀行総裁日記」を読んだところだったので、“ルワンダ” という文字に反応して手に取った本です。
内容は強烈です。似たようなテイストの旅行記ならそこそこありますが、これは、シングルマザーである唐渡さんが、旅行で一度行ったことがあるだけのルワンダで「タイ料理屋」を開くという大奮戦記です。
当然起こる想像を絶するエピソードからいくつか紹介します。
まずは、定番の現地のノリとのギャップ。
“時間の進み方” が違うというのは、日本でも、以前の沖縄がそれに近い感じですが、それをも遥かに超越した “おおらかさ?” ですね。
そして、「買い物をお願いして、渡したお金の残りを自分のものを買うのに使ってしまう」とか、「店に自分の家の洗濯物を持ってきて洗う」とか、「店の装飾品を客の求めに応じて勝手に売る」とか、「外出制限時間に遅れそうになり配達を諦め、自分でその料理を食べてしまう」とか・・・、さらには、雇っていたドライバーから脅迫されたこともありました。
彼らの行動は、私たちでは到底思い至らないような背景や厳しい現実の反映でもあるのでしょう。
さて、本書を読み通しての感想です。
今までも様々国々への旅行記のようなものは何冊か読んでいるのですが、本書のような「外国に移住して店を開く」といった経験を綴った体験記はあまりありませんでした。(山口絵理子さんの「裸でも生きる―25歳女性起業家の号泣戦記」が似たようなテーマですね)
旅行ですら思いもよらない経験をするのですから、住んで働いてとなるとその驚きの程度は桁外れなんですね。
そして、その紹介されているエピソードが、単なる習慣の違いというレベルにとどまらず、人種的背景・歴史的経緯等をバックボーンとして生起していることは、とても衝撃的ですし、さらに、そういったショッキングなトピックを現地の人々が平然と語る姿にも深く考えさせられました。
今もコロナ禍真っ只中のルワンダで、現地のスタッフと一緒に、一心不乱に苦労をともにしている唐渡さんは、本書の「おわりに」の章でこう語っています。
さらに、
この気づきのインパクトは絶大です。心に沁み入るメッセージですね。