横浜中華街 ― 世界に誇るチャイナタウンの地理・歴史 (山下 清海)
(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)
いつも利用している図書館の新着本の棚を観ていて目に付いた本です。
ちょっと前、横浜中華街の聘珍楼閉店のニュースが流れました。
今から30年以上前、結婚して最初の社宅が横浜(南区)で中華街まで歩いて行けるところでした。20数年前、神奈川支店勤務時のオフィスは中華街そばのビルでした。
その後も時折訪れることがあり、中華街は私にはとても馴染みのある街です。
その中華街をテーマにした解説本ということで手に取ってみました。
あれこれと興味を惹いたところがありましたが、そのいくつかを書き留めておきます。
まずは、「はじめに」に記されている「横浜中華街の特徴」です。
なるほど、そうなのですね。
とはいえ、中華街には街を作り街で暮らす華僑の人々の生活の歴史がありました。
江戸時代末期、1859年(安政6年)。横浜開港を機に外国人居留地が作られたのが始まりです。
この後、華僑密集地域が居留地の一部に形成され、「チャイナタウン」としての形態を整えていきました。
この横浜中華街の華僑の人々にも、中国本国の政治の動きは大きな影響を及ぼしました。大陸派と台湾派との対立構造です。
この対立を融和に導いたのは、1986年1月の不審火で消失した関帝廟の再建事業でした。
本書は、横浜中華街の成立から現在に至る歴史的経緯にとどまらず、中華街の人々の暮らしや観光地としての中華街の特徴や変遷、さらには日本国内や海外の「中華街(チャイナタウン)」の紹介と比較等々、多様な観点から「横浜中華街」の実像を描き出しています。
その内容は、フィールドワークに基づく実証検証を経たものも多く、とても興味深いものでした。
欲をいえば、多数掲載された「写真」がもう少し大きく鮮明だったらと思います。せっかくの貴重な史料ですから、もったいないですね。
まあ、ともかく、最近の私の “中華街との関わり” は、デパートの惣菜コーナーで時折買い求める「華正樓」の餃子・麻婆豆腐ぐらいになってしまっているので、また、久しぶりに中華街を訪れてみましょう。