高峰譲吉文集 いかにして発明国民となるべきか (鈴木 淳(編))
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
高峰譲吉氏は、嘉永7年(1854年)生まれで、明治~大正期に活躍した化学者、実業家です。タカジアスターゼ、アドレナリンを発見したことで有名ですね。
本書は、その高峰氏が自らの半生を振り返りつつ、研究・起業等への情熱を綴った文集です。
研究者として、実業家としてアグレッシブに活躍した高峰氏の行動や言動には大いに興味を惹かれました。それらの中から2・3、覚えに書き留めておきましょう。
まずは、貿易不均衡への日本の対応に関する高峰氏の憂慮が語られているくだりです。
外国から加工製品を輸入する半面、原材料品中心の輸出に止まっている状況を捉えてこう指摘しています。
西洋のニーズに合わせた付加価値製品化の勧めです。
また、1907年、日露戦争勝利後、「実業之日本」で発表された「いかにして発明国民となるべきか」との論にて、高峰氏は、「今後の平和の戦争において勝利する方策」として日本産業の目指すべき「発明のすすめ」を強く訴えています。
そして続けて、こういった“先見の明”を示した言葉もあります。
さて、本書を読んでの感想です。
ともかく、本書に採録された高峰氏の講演・論稿・寄稿文等からは、高峰氏の「日本国民の可能性」に対する “熱き期待” が迸り出ています。
それらには、自ら為した実績とそれに至る辛苦の裏打ちがあるだけに、その言の重さは極大です。
とてもインパクトのある刺激的な内容に溢れた良書ですね。