見立て日本 (松岡 正剛)
(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)
いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。
松岡正剛さんの著作は久しぶりです。
もともとは10年ほど前の週刊誌連載記事の再録ですが、それをベースに現在までの小文を大幅に追加したものとのことです。
正剛さんが切り出したキーワードと写真(撮影:太田真三さん)とのシナジーが楽しみで手に取ってみました。
さっそく、その中身ですが、冒頭記したように「週刊ポスト」の連載なので “文章” は軽めのエッセイ・テイストで、いつもの “編集をコンセプトにした論考” とはかなり趣きは異なっていましたね。
とはいえ、その中でも、ちょっと “正剛” 色の出ていると感じたところをいくつか書き留めておきます。
まずは、「苗代」がテーマの小文から。
このあたりの言いぶりは、呪文のようで妙に心地よく響いてしまいます。
もうひとつ、「纏う」と題する一文から。
こういった「語句(コンセプトワード?)」の出自をテンポよく語るくだりも “セイゴオ節” ですね。
ただ、読み終わってみて、どうでしょう。この本、ちょっと私には合いませんでした。
チャレンジングな企画だとは思いますが、「日めくりカレンダー」のようなパラパラと乾いた感じがして、一枚一枚の写真を受け止めてそれに呼応する正剛さんの感性を味わうだけの力量が私にはなかったようです。残念。