
ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2 (ブレイディ みかこ)
(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)
いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけたので早速予約して読んだ本です。
タイトルに「2」とあるとおりベストセラーとなった前作(ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー)の続編なので、期待と不安が入り混じった気持ちで読み始めました。
インパクトという点では前作が余りにも強烈でしたから、さすがにそれには及びませんが、やはり本書も大いに刺激になりましたね。
読んでいて印象に残ったところを少々書き留めておきます。
まずは、編入後学校に馴染めず登校拒否になっていた少女の話。
校長に勧められて入った音楽部での活動が彼女を学校に溶け込ませました。そして、春のコンサートでの少女のパフォーマンスは絶賛されました。
(p41より引用) 「みんな上手だった。みんなで一緒に練習して、みんなでベストを尽くしたからいい演奏になったんだ。あの子はみんなの中の1人に過ぎない」
ターバンの女性はきっぱりとそう言い、満面の笑みを浮かべて廊下の向こう側に手を振った。・・・
あの子はみんなの中の1人。
それは謙遜の言葉ではなく、ターバンの女性にとってとても重要な言葉なのかもしれないと思った。彼女たちも、長い時間はかかったが、ここまで来たのだ。
この親子にとって「みんなの中に溶け込むことができた」という感慨は、それは深いものだったのでしょう。
そして、もうひとつ。カトリックの学校に行かず公立中学を選んだことを「後悔している?」と尋ねられたとき、息子くんは「わからない」と答えて、こう続けました。
(p203より引用) 「『なんで君みたいな、いい小学校に行った子がここに来てるんだ』って教室で言う子がいると、ああ僕は大きな間違いを犯しちゃったのかなと思うし、音楽部でバンドの練習をしているときとかは、カトリックの学校じゃこれはできなかったなと思う。どっちが正しかったのかはわからないよ。僕の身に起きることは毎日変わるし、僕の気持ちも毎日変わる」
「でも、ライフって、そんなものでしょ。後悔する日もあったり、後悔しない日もあったり、その繰り返しが続いていくことじゃないの?」
息子くんは、「わからない」という返答に至った考え方をしっかりと持っています。
13歳の中学生は、自ら飛び込んだ環境の中で数々の貴重な経験をし、それらを自分自身の精神的な成長の糧として見事に活かしていますね。
ともかく、自分の心で感じたことを自分の頭で考えて、自分の言葉で話しているところが、何より素晴らしいです。
